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ブーンが兵士になるようです  作者: カジ
三話
16/50

3-3

(=゜ω゜) 「では続きを話します」


デレが部屋から出て足音が消えると、普段以上に真面目な顔で言う。


(=゜ω゜) 「とりあえず一月はみっちり訓練だね。ニンジャに鍛えてもらうよ」


( ^ω^)「刀を使うんですかお」


急変振りに戸惑いながらもうブーンが尋ねると、イヨウはすぐにいつも通りの柔和な顔に戻っていた。


(=゜ω゜) 「そうだね。もちろんそれだけじゃないけど、君らは最低でも自分の身くらいは守れるようになってもらわないといけないからね」


三人が小さく頷く。


(=゜ω゜) 「素人相手なら負けないってくらいになったところで、僕かニンジャと一緒に他の町やら村へ行く仕事について来てもらうよ」


(´∀`) 「緊張するモナ」


(=゜ω゜) 「まぁしばらくは勉強だからね。僕達がどんなものにいくらで売ったり買ったりしてるか見てるだけで構わないよ」


イヨウが立ち上がり伸びをする。三人も座ったままで、少し姿勢を崩した。


(=゜ω゜) 「よし。そういうわけだから、さっそく行こうか」


後についてくるように、手招きをすると部屋から一人先に出て行った。


(=゜ω゜) 「ここがうちの道場だよ。あまり立派なものじゃないけどね」


屋敷の中でも大きな間取りの部屋に家具は無く、壁にいくつか木刀が掛けられているだけで後は何もない。


( ´_ゝ`)「ほぉほぉ」


( ^ω^)「うちの家よりこの部屋の方が大きいお」


(´∀`) 「同じくモナ」


(=゜ω゜) 「ははっ。まぁ、僕が建てた屋敷じゃないからあんまり自慢できないんだけどね」


イヨウが三人を見回して笑う。


(=゜ω゜) 「とりあえず壁に掛かってるので素振りでもしていてよ、すぐにニンジャを呼んでくるからね」


部屋の中に三人だけになると、それぞれ壁から木刀を取る。


(´∀`) 「やっぱり、山で拾った木の枝なんかとは違うモナ」


( ^ω^)「たしかに、大分振りやすいお。それに、これだけあれば良い棒の取り合いにはならないお」


縦に横にと、木刀を試すように二人が振るった。


( ´_ゝ`)「山って。二人は山で剣術でも学んでいたんですか?」


( ^ω^)「あぁ、剣術なんて立派なものじゃないお。ただ木の枝で剣術の真似事、ちゃんばらをしてただけだお」


(´∀`) 「まぁ、それでも二人の間じゃ剣の稽古のつもりだったモナ」


( ^ω^)「恥ずかしいお」


( ´_ゝ`)「冗談のつもりだったのに……」


( ^ω^)「オトジャはどっかで習ってたのかお」


( ´_ゝ`)「いやぁ。習ってたような、習ってないような」


(´∀`) 「どっちモナ」


( ´_ゝ`)「見様見真似で少しだけ。でも真似をしていた相手に師は居ないので、型なんかはきっとめちゃくちゃだと思いますよ」


オトジャがはにかみながら言う。


( ^ω^)「じゃあ、後で誰が一番か勝負だお」


(´∀`) 「いいモナ。でも、 同じ木刀ならお互い言い訳はできないモナ」


二人がやや口角を上げて睨み合った。


|/゜U゜| 「悪い。少し待たせたか」


ニンジャは入ってくると、すぐに木刀を手に取り腰を降ろす。ただそれだけの動きに部屋の空気が張り詰めた。

三人は向かい合う形で並びなおす。


|/゜U゜| 「さて、何から始めようかと考えたんだが。まずは現状君達がどの程度の腕前か把握する必要があるな。それから一月の時間の割り振りを決める」


( ´_ゝ`)「割り振り?」


|/゜U゜| 「訓練と勉強だな」


ニンジャが笑った。


|/゜U゜| 「兵士としてはもちろんだが、商人としてもゆくゆくは半人前位にはなって欲しい。それがイヨウ殿の願いだ。励んでくれよ」


半人前とはいえ荷が重い。三人の感情が部屋に広がっていく。


( ^ω^)「勉強ですかお」


沈んだ顔でブーンがこぼす。


|/゜U゜| 「なに、足したり引いたりだけが勉強じゃない。もちろん必要だが、それは騙されない程度なら取り合えずはよい。それよりも商人としての知識を学んでもらう」


( ^ω^)「一応、ブーン達はただの兵士って事でここにきたんですお」


兵士としての仕事が身につく前から、その次の事まで言われブーン達は動揺していた。


|/゜U゜| 「商家の兵士はだいたいどこもこんなものさ。できる奴は兵士と商人を掛け持った様な仕事をする。まぁ、序列は一番か二番目くらいの兵士だがな」


ニンジャが難しい顔をする青年達に向けて「その分、禄は多いぞ」と付け加えるとブーンとモナーの表情がわずかに晴れた。


|/゜U゜| 「正直、こんなに負担を掛けるのはどうかと思っているんだ。イヨウ様も私もな。

だが、うちには余裕がない。数を増やして補うよりも、少ない数で広く深く仕事をこなして貰いたい。その分はもちろん金は見合うだけの額を用意する」


( ´_ゝ`)「余裕が無いと、仰りましたが」


オトジャが右手を小さく挙げて話し出す。


( ´_ゝ`)「そんなにお金が無い様には見えないのですが。それに、見合うだけの額と支払うのなら、結局は人数を増やしたのと変わらないのではないでしょうか」


|/゜U゜| 「あぁ、そうじゃないんだ」


ニンジャが小さく息を吐くと、これまでより低い口調で話を続ける。


|/゜U゜| 「金なら有るんだ。それこそ商家七位には多すぎる位だな」


(´∀`) 「それなのに余裕がないモナ?」


|/゜U゜| 「あぁ、無いな。金は有るが、それでもイヨウ様は七位なんだ」


( ^ω^)「どういう事ですお」


|/゜U゜| 「商家はな、金がいくら有るかで位が決まる。四年に一度、王都に商家が集まるんだが、その時点でいくらあるかがそれからの四年間の位になる」


( ´_ゝ`)「あまり下位のものが金を持ちすぎると面白くない。もし自分が抜かれているとしたらなおさら」


|/゜U゜| 「そういう事だ。今のイヨウ様の資産はざっと商家五位に並ぶ程だ」


( ^ω^)「そんなにですかお」


( ´_ゝ`)「それは、目をつけられるわけだ……」


オトジャが隣の二人にも聞こえるかどうかの大きさでこぼす。


|/゜U゜| 「まぁ、どうしたって劇的に現状が改善できるような要因は無い。何事も地道に進めるしかないな。

しばらくは金に見合うだけの力をつけないとな。もちろんそれはイヨウ様一人でなく、イヨウ家としてのな」


三人を見回すニンジャの顔は厳しいものだった。


|/゜U゜| 「そのために。さぁ、誰からにする。好きなように打ち込んで来い。お前達の腕を見てやろう」


木刀を握る右腕を大きく振り回すと、風を切る音が部屋に響く。青年達の背筋に気持ちの悪い感覚が走った。

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