3-1
( ^ω^)「おはようございますお」
/^o^丁稚\ 「やぁ、おはよう」
丁稚の一人と入れ替わりで外へ出る。
屋敷に青年達が来てから一月が過ぎた。
荒らされた屋敷の修繕と周辺の見回りはとてもあの人数でこなせるものではなく、来てすぐの頃は全員がせわしなく動き回っていた。
ようやく数日前に作業の目処も立ち、屋敷の雰囲気が落ち着きはじめた。
(=゜ω゜) 「あぁ、ちょっと」
イヨウが寝巻きのまま屋敷の中から手招きをしている。
(=゜ω゜) 「今日はちょっとお願いがあるんだ」
ブーンが尋ねる前に答えると「僕の部屋で少し待ってて」といって奥へ消えていく。
( ^ω^)「おいすー」
(´∀`) 「お、ブーンも一緒みたいだモナ」
( ´_ゝ`)「そうみたいですね」
部屋にはモナーとオトジャが所在なさげに立っていた。
( ^ω^)「イヨウさんがお願いって言ってたけど、何だお?」
モナーとオトジャが顔を見合わせる。
(´∀`) 「モナ達も同じだモナ」
( ´_ゝ`)「内容は集まってから話すと。眠そうなイヨウさんが」
(´∀`) 「まぁ、最近まで目が回りそうな忙しさだったモナ。イヨウさんなんていつ寝てるか分からなかったモナ」
( ^ω^)「たしかに。朝から晩まで何かしら忙しそうだったお」
イヨウの机にはまだ作業の途中なのか、紙が散乱している。
(=゜ω゜) 「ごめんごめん。ちょっと寝坊しちゃったよ」
大きなあくびをしながらイヨウが部屋へ入ってきた。
(=゜ω゜) 「いやいや。少し落ち着いたと思ったらどっと疲れがね。歳はとりたくないね」
イヨウは三人に向き合う形で椅子に腰を降ろす。
( ´_ゝ`)「私達を呼んだ理由ですが」
(=゜ω゜) 「あぁ、そうだね。えっと、何から話したら良いかな」
イヨウが顎に手を当て考え込む。
(=゜ω゜) 「えっと。今、この屋敷に丁稚が随分いるだろう。何人いるか知っているかい?」
( ´_ゝ`)「私が会った事あるのは八人位ですか」
オトジャがモナーとブーンの方を向く。
(´∀`) 「モナもそのくらいだモナ」
(=゜ω゜) 「うん、十人だよ」
顎をさすりながらイヨウは答えると、椅子から立ち上がる。
( ^ω^)「会った事ない人もいるみたいだお」
(=゜ω゜) 「そうだね。朝と夜で分かれたり、屋敷の外で働いてもらっている人もいるからね」
部屋の中心に腰を降ろすと三人にも座るよう手で合図をする。
(=゜ω゜) 「ところで。不思議に思わないかい?」
四人の輪の中心へ顔を寄せてイヨウが言う。
( ^ω^)「何がですお」
(=゜ω゜) 「丁稚さ。本来、丁稚なんていうのは商人見習いだろ? それが今、君達と同じように見回りをしたり屋敷の修繕をしてる」
(´∀`) 「あぁ、確かにそうだモナ」
(=゜ω゜) 「ここだけの話ってほどでもないかな。商人やその周囲の人なら誰でも知ってる事なんだけど」
イヨウが不意に背筋を伸ばし、顔を後ろに持っていく。
(=゜ω゜) 「その前に、他の説明をしなくちゃ」
少し腰を浮かべて足を楽にすると、三人にも足を崩すように合図する。
(=゜ω゜) 「兵士ってのは特別でね。戦が起きると領主の治める町や村の住人は兵士として徴兵される。基本的には領主の下で働く事になるね。
戦の時だけの特別な決まりごとだから普段は平民として暮らしている。まぁ無職じゃなければこういう人たちは兼業軍人っていうのかな。
あとは君達みたいに、募兵に応じて戦のない時でも騎士の下で働いている人間。あ、ちなみに平時の武器携帯が許されているのは後者の方だけだよ。
で、後者の兵士は当然普段から兵士として働いているわけだね」
(´∀`) 「はぁ」
(=゜ω゜) 「ここからがミソなんだけど。兵士を持つ事が許されているのは騎士だけなんだ。
だけど大商人だったり、公家の血筋みたい金のありそうな家ってのはどうしても敵ができやすい。うちですら大変なんだからね」
イヨウが全員の顔を見回し、歯を見せて笑った。
(=゜ω゜) 「それなのに兵士を雇えないってなると、家も家族も守れないかもしれない。それじゃあ困るって事で、お金があるところは違った名目で兵士と変わらない仕事をこなす人間を雇うんだ。うちに来てる十人みたいにね」