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ブーンが兵士になるようです  作者: カジ
二話
12/50

2-3

(,,゜Д゜) 「今は戦がないが、始まっちまったら上にいる騎士が有能か無能かは自分の命に直結する問題だからな」


改めて言葉にされ、ブーンの表情が少し曇った。


(,,゜Д゜) 「すまん、すまん」


着いてくる様にと手で合図をしてギコが進みだす。ブーンは無言でその後を追った。


(^ω^ )「ありがとうだお」


賭場の前まで案内してくれたギコに礼を言って入り口へ進む。


(,,゜Д゜) 「金を出す時はできるだけ少なくな。この街の人間は金を稼ぐ事に誠実だからな。多く出しても平気な顔で受け取るぞ」


ギコは小さく手を挙げると来た道を戻って行った。

賭場の外観は、このあたりにある中では一番立派だ。

中に入ると、すぐに数段だけの下り階段がある。それを越えると一気に視界が開けた。

耳障りな大声が飛び込んで来る。

何人もの人が輪を作り、全員が一点を見つめている。異様な空間だった。


(^ω^ )「あの」


ブーンは集団と反対側で静かに作業をしている中年の女に声を掛ける。


(^ω^ )「ちょっと聞きたい事があるんだお」


少しだけブーンの方を見たがそのまま手は動かし続ける。


(^ω^ )「この街で兵士になれそうな家はあるかお」


女は手を止めて短い間考え込むように顎に手を当てた。

それから右手をブーンの前に差し出す。


(^ω^ )「頼むお」


ブーンは銅一枚を手に置いた。


/^o^6\「あそこに座っている男。黄で染めた帷子の男だ。あいつはこの街の商家の騎士の下で働いてる」


女が雑にブーンの前に取っ手のついた器を置く。


/^o^6\「今日新しく兵士を一人雇うらしい。あとは自分で話してみな」


それだけ言い終わると、女はまた食器を拭いて棚に並べる作業を再開していた。


(^ω^ )「ありがとうだお」


ブーンは出された飲み物に口を付け苦い顔をしながら、男の元へ向かう。

意外なほどに目的に向かって順調に進んでいる。そう思っているからか、初めての苦い酒も二口、三口と良く進む。


(^ω^ )「あの」


振り向いた男は兵士にしては細身で、薄暗い賭場の端では一層頼りなく見える。


/^o^7\ 「なにかな」


(^ω^ )「あなたは兵士様ですかお?」


/^o^7\ 「ん、あぁ。そうだよ。商家四位の元で働いてる」


体をブーンに向けて座り直す。

予想よりもいくらか上の四位という言葉に、ブーンは驚いたが表情は変えないように努めた。


/^o^7\ 「君は?」


(^ω^ )「ブーンだお。兵士になりたくて聞いて回っていたらあなたの事を聞いたので」


/^o^7\ 「あぁ。珍しいね。外がどうかは知らないけれど、この街じゃ男はみんな商人を目指す」


男は少し酒を含む。それを見て同じように右手の器を口元へ添えた。

男から放たれる警戒の色が少しずつ薄れていった。


/^o^7\ 「そりゃ、頭さえよければ儲かる仕事だ。何より死なない。だから他より少し裕福なこの街じゃ兵士のなり手は貴重さ」


(^ω^ )「おっおっ」


/^o^7\ 「でも悪いね。もう商談はまとまってしまったんだよ」


(^ω^ )「商談?」


/^o^7\ 「あぁ。兵士を一人買ったんだよ。出来るだけ力のありそうな若い男をね。かなり値は張ったが、うちの騎士さんも満足してくれるだろ」


男は「君くらいの体格なら文句無いんだけど」と付け足した。


/^o^7\ 「うちの騎士さんはケチが服を着てるのさ。だから君みたいな掘り出し物に投資はしちゃくれないんだ。必要なものは必要なときにできるだけ安く買う」


肩をすくませながら話す男をブーンは静かに見つめていた。


/^o^7\ 「そんなわけでね。申し訳ないけど、兵士はもう探していないんだ」


(^ω^ )「そうですかお」


/^o^7\ 「ここで待ち合わせでね。まぁ、仲介屋なんて言ってたけどあれは人買いだね。いや、でも売りもするから人売りかな」


男が笑いながら酒を飲む。ブーンはその姿から目を離さない。


/^o^7\ 「あぁ、君には悪いことをしたしね。そうだ、せめて宿屋くらい紹介させてくれ。俺の名前を出せば街で安くそこそこの部屋をあてがってくれると思うぜ」


(^ω^ )「助かりますお」


少しは気まずさを感じているような口ぶりだった。


/^o^7\ 「また次に機会があったら君に声を掛けるよ。この街じゃ募兵は期待できないからね。買う方がよっぽど早いし簡単だ」


そう言うと辺りを気にしながらブーンに顔を近づける。


/^o^7\ 「だけどね、そうするとどうしてもだめなんだ。忠誠心っていうのかな、国のためにとか騎士のためにってのがどうにも希薄でね」


さらに男は声を小さくしていく。


/^o^7\ 「さらに悪いのを引っ張ってくるとこれがまた。金目のものなんかを盗んで逃げるなんて事もあってね」


兵士から紹介された宿屋はたしかに、良い部屋を与えてくれているようだった。

他の部屋より一回りか二回り広く、風呂までついている。布団もしっかり干されていたようで、これまで当然だった湿った薄布とは感触が違う。

昼ごろは部屋に通された時は、まだ外が賑やかだったにも関わらず部屋の中までは音も入り込んでこなかった。

歩き続けて疲れきった体には、すぐにでも休める部屋がありがたい。

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