2-2
(,,゜Д゜) 「そうだろそうだろ。ここは国で一番の市場だからな。許可証のだって金さえあれば手に入る。治安も悪くないから店を開くにはもってこい」
不意に横からの馴れ馴れしい声に驚いた。
(,,゜Д゜) 「この街に店を持つのを夢見た旅商人が危険を覚悟で交易品を運ぶ。あんたもそんな明日の店主を夢見る口かい」
(^ω^ )「まぁ、そんなところだお」
ブーンは少し考えてから、そう答えた。
(,,゜Д゜) 「ふぅん。あてはあるのかい? 何がどの辺りで高く売れるのかとか、どこで何が売っているかとか、そもそも金があるのかも俺は心配だな」
(^ω^ )「心配には及ばないお」
無意識に革袋に手を当てていたが、気がついてすぐに離す。
(,,゜Д゜) 「そうか。まぁ何かあったら遠慮なく言うんだぜ。例は出世払いでいいからな」
(^ω^ )「じゃあ一つ、いいかお」
(,,゜Д゜) 「なんだい」
男は少し嬉しそうな顔を見せた。
(^ω^ )「このあたりで人の集まる場所を教えて欲しいお」
(,,゜Д゜) 「それなら決まってるぜ」
手で賽を振る真似をしながら言う。
(,,゜Д゜) 「賭場だ。あまり品の良い奴はいないから、くれぐれも気をつけな。まぁ、見たところあまりカモにはされなそうだから大丈夫かな」
ブーンの体を見回す。男は頷きながら肩や背を軽く触りだすと、その硬さに少し驚いているようだった。
(^ω^ )「あ、後一ついいかお」
わざとらしく、今思いついた様な表情を作る。
(^ω^ )「王都に入るにはどうしたらいいんだお?」
ブーンはできるだけ興味が無いような口調で言った。男はまた驚いた顔をしたが、すぐに話し出す。
(,,゜Д゜) 「おぉ、これまた急だな。ふむ……。そうだな。あんたは良いとこの知り合い、例えば親戚がいたりするかい?」
ブーンは首を振った。
(,,゜Д゜) 「じゃあ、商人はいるかい? 商家への誘いが来る位の」
また首を振る。
(,,゜Д゜) 「でかい町の要職なんかには?」
首を振る。
(,,゜Д゜) 「厳しいね。王都はここ最近、相当に入り辛くなっているんだ。ちょうど王が変わった辺りからだな」
(,,゜Д゜) 「昔から許可証を持っていた商人でも、取り上げられたのがいるって聞くぜ。」
(^ω^ )「それでもなんとかしたいんだお」
自然と語気が強くなっていく。
(,,゜Д゜) 「……」
男は顎をさすりながら小さくうなっていた。
(,,゜Д゜) 「あぁ、そうだな。無くもないな」
(^ω^ )「なんだお」
隣に座る男の肩を掴み、急かすように揺する。
(,,゜Д゜) 「兵士だよ、兵士」
男が途切れ途切れにそう答えると、ブーンは手を離し、急いで詫びた。
(^ω^ )「それで、兵士って言うことは騎士に仕えるのかお?」
(,,゜Д゜) 「そうだな。そうすりゃ王都へ入る事とはできるぜ」
男は歯を見せて笑う。
(,,゜Д゜) 「いつでもって訳じゃないぞ」
男が思い出したようにそう告げた。
(,,゜Д゜) 「年に一度だ。それで、期間は三日くらいかな。騎士の順位を決めるために王都に集まるんだ。それで王に許可をもらう。王から直接、印を押してもらうらしい」
(^ω^ )「おっおっ。王様にも会えるのかお」
(,,゜Д゜) 「らしいな。まぁ俺は騎士じゃないから正確なところはわからないが。って、おい。どこ行くんだ」
(^ω^ )「どこって、兵士になりに行くお」
(,,゜Д゜) 「お前……。あてはあるのか?」
(^ω^ )「ないお。とりあえず賭場に行って話を聞いて回るお」
(,,゜Д゜) 「よく分からんが、行動力だけはあるようだな」
男が手を出した。
(^ω^ )「なんだお」
ブーンが男の手を握り軽く、揺らす。
(,,゜Д゜) 「いや、握手じゃない。金だよ。ここは何でも手に入る良い街だ。それでも、ただで手に入るものは何もない。仮に手に入ったとしたらそれは何か裏がある。それがここの常識だ」
男が再び手を出す。
(,,゜Д゜) 「ギコだ」
(^ω^ )「ブーンだお」
一番小さい銅を二枚、取り出す。
(,,゜Д゜) 「一枚で十分だ。これから色々大変だろう。そんな時に金はなかなか役に立つ。大事にするんだぜ」
一呼吸置いてギコが歯を見せて笑う。
(,,゜Д゜) 「ロクでもない騎士の下に就いちまって、そっから逃げ出す時なんかにな」
(^ω^ )「ギコさんは冗談が怖いお」
(,,゜Д゜) 「すまんな。だが騎士なんてのは大半が碌な奴じゃないぞ。まぁ俺が知ってる奴だけだがな。お前も気をつけるんだぞ。だめそうな奴なら他を当たるんだ」
ギコの顔は徐々にながら真面目な顔になっていった。