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第01話 ログイン

 俺は妹から新作オンラインゲームに誘われた。

 そのゲームは『BBB』こと『ブラッディ―・バーニング・ブレード』。

 とある石油王の莫大な資金と、史上最強のプログラマーがタッグを組んでリリースしたVRゲームと噂されていて、現実と区別のつかない半端ないリアルさは今までのゲームとは一線を隠している。

 ベータテストの時はあまりの人気で本来無料であるベータテストの参加権が300万円で取引されていたとも噂されている。


「おにいちゃん~、始めようか」 


 妹は嶺奈≪レイナ≫。

 公立の中の上程度の普通科に通う高校一年生だ。

 今のところ彼氏は居ないらしい。

 容姿は兄の俺のひいき目補正を入れて上の中、補正が無くても中の上は確実に超えてると思う。

 美人と言うよりもどちらかと言えば可愛い系で、髪は高校推奨のセミロングでごく淡く栗色に染めてるだけでいかにも年相応の高校生って感じ。


 ちなみに俺は嶺史≪レイジ≫。

 レイナと同じ高校に通う高校二年生。

 なぜ妹と同じ高校に通ってるかと言うと、レイナはもっと偏差値の高い高校に入れる学力を持っていたのにわざわざ俺の通ってる高校を受験してこの春に入って来たのだ。

 上の高校に行ける学力があるのになんでわざわざ俺と同じ高校に来たのかと聞くと『高校生活ぐらい自分の好きな夢を追わないとねっ! ちなみに私の夢はお兄ちゃんとラブラブになって結婚することだよっ!』と訳が解らないことを言ってたのを思い出す。

 いわゆる『ブラコンな妹』でバカと言う奴も居るが、俺を慕ってくるレイナが好きであり可愛かった。


 俺たちは居間のソファーに対面で座り、今さっき宅配便で届いたVRゴーグルを目の前にプレイしようとしていた。

 ちなみにオヤジとおふくろは今日と明日の二日間、旅行で出掛けていないので二人で思う存分徹夜でこの新作ゲームをプレイするつもりだ。


 俺は普段VRゲームなんてものはやらないので本体も一緒に購入。

 先ほど宅配便でソフトと一緒に届いたばかりだ。

 セットアップをする為にゲーム機を箱から取り出して電源コンセントに入れ、ネットの設定をする。

 ネットの設定は無線親機とゲーム機の無線登録ボタンを同時に押すだけで設定が済む非常に簡単なものだった。

 ま、俺がやったんじゃなくベータテスト経験者のレイナがやってるのを横で見てただけなんだがな。


 BBBにログインするキャラクター名は、実名しか使えないので住基カード情報から『レイジ』と自動的に決められた。

 ゲーム内で使うアバターは写真撮影で顔と全体像の写真を何枚か撮れば自動生成してくれるのでキャラメイクという作業は無く簡単だった。


「おにいちゃん、こっちむいて~」

「今度は後ろ向いて~」

「はい、そこでガッツボーズ!」

「何かギャグをひとつ言ってみて~」


 本当にギャグが必要なのか問い詰めるとレイナの嘘で、本当は音声データ作成用に『あいうえお』と言うだけでよかった。


 レイナに言われるままに動いていると写真撮影が終わり、俺とそっくりのアバターが作成された。

 そこには乙女ゲーに出てくる容姿端麗のイケメン……すまん嘘です、至って普通の冴えない顔した貧弱な17歳高校生のアバターがそこに有った。

 顔は自分補正で並、身長も170センチメートルにちょっと足りない如何にも日本の平均的な高校生のモブアバターの姿がそこにあった。


「おにいちゃん、ジョブは何にする?」

「どんなジョブが有るんだ?」

「えーとね、最初に選べるのは戦士、武闘家、盗賊、魔法戦士、魔法使い、僧侶だよ」

「そう言われても普段この手のゲームしたことがないから解んないなー」

「解んないなら、戦士、武闘家、魔法戦士あたりがいいかな?」

「どれでもおんなじ?」

「最初は殆ど同じだけど、成長するとちょと違うかな」

「詳しく頼む」

「戦士は剣で殴って、武闘家はパンチ、魔法戦士は戦士のちょっと弱い版だけどすこし魔法使えるよ。戦士は割といい防具と武器使えて、武闘家は攻撃力と速度が高いけどその分ちょっと防御が弱めの皮鎧系、魔法戦士は魔法を載せた剣で戦うから攻撃力はまあまあだけど基本的に防具は布の服かな。剣で敵を倒すような前衛プレイを楽しみたいなら戦士がお勧めと思う」


 レイナがなにを言ってるか良くわかんないから、おすすめそのままでいいか……。


「それじゃ、戦士でよろしく」

「わかった、じゃあ戦士でジョブ選んどくね」

「ほい」

「これを、こうしてと……よしと、キャラ作成終わりっ!」

「ありがと」


 レイナはこのゲームに慣れてるだけあって、かなり手馴れた感じだった。

 俺はゴーグルを掛けるが、使うのが初めてなので勝手がよくわからない。

 真っ暗い背景画面の中、1~2m先にシステムメニューが浮かんで見える。

 システムメニューの中には今回購入したVRゲームのアイコンが見える。

 コントローラーは無いんだけどこれどうやって操作するのかなと思ってたら何やら画面内にFPSみたいに腕が表示されている。

 面白いことに俺の腕を動かすと同じように動いてる。

 きっとこれでアイコンのパネルを押せばいいんだな。


「このアイコンを押せばいいのかな?」

「ま、待って~! まだ押さないで~!」

「ん? どした?」

「このゲームのゲーム内の時間は現実世界の時間と比べて10倍の速度で進む世界だから一緒に始めないと待ちぼうけする事になるからダメだよ~。お兄ちゃんが先にログインしたらせっかく一緒に始める意味ないじゃん」

「そうだったな」


 俺の掛けたゴーグルの先のソファーでレイナがゴーグルを掛けてるのか、ガサゴソ音をたてている。


「いいよ、始めるよ。いっせいのせでね。一緒に手を繋いでゲームの世界に降り立つんだよ」

「了解」

「「いっせいのせ!」」


 俺とレイナは一緒にアイコンを押した。

 だが俺はゲームを始められなかった。


 俺の画面には、


───────────────────────────

 VRMMO:BBBをお楽しみいただくには最新ファームウェアが

 必要です。


 ファームウェアアップデートを始めます。

 しばらくお待ちください。

 

 アップデート中は絶対に電源を抜かないでください。


 残り時間 00:10:15

 03% ■□□□□ □□□□□

───────────────────────────


 と表示されている。

 ゲーム機本体のアップデートが始まったらしい。


「ちょっと待てよ! いきなりアップデートかよ。しかも10分も掛かるのかよ」


 俺はゴーグルを外し向かいのソファーに座るレイナに謝る。


「ごめん、本体アップデートで少しログイン遅れる」


 と言ったが、レイナの反応は既に無かった。

 レイナはソファーに座ったまま腕を太ももにあずけ小刻みに体全体を震わしてる。

 既にヴァーチャル世界に突入しているようだった。


「聞こえてる?」


 俺はレイナの肩を軽く揺すってみたが、なにも反応は無い。

 今の壁掛け時計を見ると時刻は二時五分過ぎ。

 10分もアップデートに掛かるとすると、ゲームの中ではだいぶ待つことになるぞ。

 こりゃ絶対に怒られる。


「でも、今はプレイ中だからさすがにゴーグルを外したら怒るよな……。戦闘中にゴーグルを外されたらゲームの中のキャラが死んじゃうもんな。外すのはやめとこ」


 俺はゲームの中でレイナに謝ることとし、ログインを急いだ。

 俺はゴーグルの中で表示されるアップデートのプログレスバーを凝視していた。


 ――94% ■■■■■ ■■■■□


 ――95% ■■■■■ ■■■■□


 ――96% ■■■■■ ■■■■□


 バーの進行が遅くてイライラする。

 きっとレイナは向こうの世界で俺がログインしないので待たされている事だろう。

 リアルの時間1分でゲームの中の時間の10分。

 10分間遅れてログインしたんだから100分の遅れ。

 つまり1時間半ほど待ちぼうけさせてる事になる。

 とりあえずログインしたらすぐに謝らないとな。

 俺はプログレスバーの進行をかなりじれったく凝視していた。


――97% ■■■■■ ■■■■□


――98% ■■■■■ ■■■■□


 もうちょい!


――99% ■■■■■ ■■■■□


 あと少し!


 ――100% ■■■■■ ■■■■■


 ――アップデートが完了しました。

 やった!


 プログレスバーが100%になるのと同時に今まで1~2m先に表示されていたアイコンの画面が消えて、視界の全周を覆うVR世界に突入した。

 そこは遥か彼方に水平線のみが見える草原で、空には雲一つない青い空、まぶしく輝く太陽、地には収穫時期になった腰ぐらいの高さまで有る小麦の様な草が見渡す限りに生えている。

 歩くと足の裏から感じとれる草を踏みしめた瞬間の感触やら土の匂いまでするのには驚いた。


「すげーな、これ」


 なんでゴーグルしか掛けてないのに匂いや音までするのかが不思議でならない。

 それにしても、なんで平原スタートなんだ?

 レイナの話だと、冒険者の街の入り口を訪れるところから始まると聞いていたんだけど。

 やっぱりベータテストの時とは少し違うのかな?

 リアルさ重視でこんなとこから始まるんだろうか?

 普通、ロールプレイングゲームっていえば街の目の前とか、街の中とか、チュートリアルの戦闘から始まるものだろ?

 俺はしばらく辺りを歩いてみたが大木を一本見つけただけで、あとは街なんてどこにも見当たりもしない。


 ログインして20分ほどすると妹のレイナからカットインメッセージで連絡が入った。

 カットインメッセージからは心配そうなレイナの声が聞こえる。


「お兄ちゃん待ってたよ。なんでこんなに遅かったの?」

「ごめん、ゲーム機本体のファームアップデートでログインに手間取ってゲームに入るのに時間かかったんだ。本当にごめん!」

「じゃあ罰としてログアウトしたらコンビニでアイスおごりね」


 俺と会えたことで喜んでるのか妙に明るいレイナの声。


「ところで、草原の中に降り立ったんだけど、ここからどうやって町に行けばいいんだ?」

「えっ? 街の中から始まらなかった?」

「いや草原からスタートだった」

「ちょっと待って位置調べてみる。迎えに行くからパーティー組むよ」


 レイナからパーティー申請のカットインメッセージが来たので『はい』を押しパーティーに加入する。


「パーティーに入った。よろしく」

「何処にいるのかな? えっ!? そこって中ボスの城の前でしょ? なんでそんなとこに!」


 レイナが本当に驚いてるのがカットインメッセージの表情から解る。


「そんなこと言われてもな~。今ログインしたばっかりだし」

「今すぐ隠れて。声も出しちゃダメ! そこは敵が結構強いから、見つかったら即死だよ」


 冗談だろ?

 いきなり中ボス前の城?

 俺はレイナの指示通り、この辺りで唯一ある物陰の大木の根元に座り込み隠れた。

 3時間待ってもレイナは現れなかった。

 辺りは感動するほどの真っ赤な夕焼けから、月明かりのみが頼りの漆黒の闇に変わっていた。

 月と星だけが見える上空からバッサバッサと羽根音が聞こえる。

 見ると巨大な鳥のようなものが空を飛んでいた。

 それは獲物を狙う鷹のように上空を旋回している。

 一匹ではない。それは4-5匹の群れである。

 地上でも槍を持った大柄な兵士のようなものがひと塊となり何人も歩いていた。

 兵士の話す声が聞こえる。


「この辺りに侵入者が居るって聞いたんだが見つからんな……」

「また誤報じゃないですか?」

「誤報ならいいんだが……本当に侵入者が居たら俺たちの首が飛ぶぞ」

「ですよね。もう少し探しましょう」


 その時、妹から連絡が入った。


「あと少しで着くから、もう少し待ってね」

「まだなのか! 周りには敵みたいなのがウロウロしてるんだぞ! 早く来てくれ! たのむ!」


 俺はレイナがちっとも来てくれないのでついイラついて大声を出してしまった。


「なるべく急ぐね……」


 俺に怒られて悲しそうにつぶやくレイナ。

 不意に兵士のハッキリとした声が聞こえた。


「こっちで声が聞こえたぞ!」


 俺の声を聞きつけたのか、兵士が大木の方にやってくる。

 俺は身をかがめて大木の陰に隠れていると兵士が索敵しているのか俺の目の前を通る。

 なにやら鼻を使い臭いを嗅いで探してる様だ。

 

 目の前の兵士は人ではなかった。

 身長は2メートル近くもあり、かなりマッチョな感じの大柄な体躯。

 顔面の上唇の端がある辺りから上向きの大きなキバを生やした二足歩行をするイノシシであった。

 手にはかなり頑丈そうな槍を持ち、体の動きの邪魔にならないようなシンプルなデザインながらかなりしっかりとした感じの皮鎧を着こんでいる。

 俺はその大柄な身体を見ると恐怖で思わずのけぞってしまい、足元で『ポキッ』と小枝の折れる音が響いた。


 イノシシがこっちを向く。

 そして視線が合ってしまった!


「ここに居たぞ!」

「捕まえろ!」


 やばい!

 見つかった!


 俺は慌てて大木から走り去り、草原の中へと逃げ込んだ。

 イノシシなのにこいつら人間の言葉を話すぞ!

 俺は逃げ回るがこのなにもない草原では隠れる場所なんてものは無く、野獣のような体力を持った敵にすぐに追い詰められてしまった。

 上空には大鳥に見えた鳥人間が、俺が逃げ出さないように監視するかのごとく多数旋回している。


「こんなところに一人で潜り込んで来たから勇者かと思ってビビったら、ただのドブネズミじゃないか」


 イノシシのボスみたいなのが下品に笑う。


「ちょっと遊んでやってから、殺しましょうか?」


 物騒な事を言う大鳥。


「そうだな、それがいいかもな」


 イノシシもそれに同意。

 とんでもない事を言う奴らだ。

 俺、開始早々完全に終わった感じ。

 いきなりゲームオーバーだな。

 コンティニューしてやり直すか。

 大鳥が俺に聞かせるように話す。


「じゃ、ちょっくら二~三回お空のお散歩にでも行きましょうかね?」


 そんな散歩要らないって!


「いきなり殺すなよ。楽しみがなくなる」と下品に笑いながら話すイノシシ。


「了解!」


 ――ギケーッ!


 という鳴き声と共に大鳥が上空から急降下で襲ってきた。

 大鳥は明らかに遊んでるらしくて、すぐには俺を捕まえず地面に近づく度に逃げ惑う俺の背中を何度も爪で切り裂く。

 

 ──ジャキッ!


 俺の服と背中の肉が裂ける音が辺りに響く。

 そして背中に激痛が走った。


「ぐあああぁぁっ!」


 思わず俺は叫んだ。

 痛い!

 物凄く痛い!

 背中の肉が思いっきり裂けた。

 ゲームなのに背中に激痛が走った。

 なんでゲームなのにこんなに痛いんだよ!

 こんなところまでリアルにする必要なんてないだろ!

 

 大鳥が爪で俺の背中をもてあそぶ度に、背中に更なる激痛を感じ悲鳴をあげる。

 背中でねっとりと血が服に染み込んでいる感覚がする。

 服が血で濡れて明らかに重く感じる。

 必死で逃げたが、俺は疲労と背中の激痛で歩くのさえやっとの状態で逃げていた。

 

「なんか、こいつもう弱ってきたな。あんまり活きが良くないぞ」

「地面に叩きつけて動かなくしてから、部隊長に渡すか」

 

 大鳥が物騒な事を話してる。

 俺の肩に激痛が走る!

 少し油断をしている間に、大鳥に肩を捕まえられてしまったようだ。

 

 俺は左右の肩を大鳥二匹の鉤爪かぎつめで掴まれ『バッサ! バッサ!』と言う羽音と共に空へ空へと持ち上げられた。

 羽音が立つと共に爪が食い込み肩に激痛が走る。

 結構な速度で宙に上がったのか地面がかなり遠く見える。

 地上の大イノシシが豆粒のように見えて、大木がこぶりなプチトマト位の大きさに見える。

 ここから落とされたら足を折るどころじゃなく即死だろう。


「この辺りでいいか?」

「もうちょいだ」

「そうか。なら上がろう」

「もう少し高いとこから落として、確実に足をもいでやろうぜ」


 バッサ! バッサ!

 大鳥はさらに高いところに俺を持ち上げる。


「こんな高さでいいか?」

「そうだな。こんなもんでいいだろう」


 地上を見ると大イノシシがゴマ粒のように見える。

 こんな所から落とされたら即死通り越して、ぐちゃぐちゃになって何にも残らないぞ……。

 しにたくねー!

 俺は死の恐怖で必死に大鳥の足にしがみついた。


「ふへへへ、こいつ最後の悪あがきしてやがるぜ」

「楽しいね~」

「楽しいな~」

「もう少し高いとこまで飛んでやるか」

「だな。もっと高いとこまで上がってやろう」


 ヒャッヒャッヒャ!と下品に笑う二匹。


 だめ、もう、無理!

 大鳥の足にしがみついた手が痺れる。

 あまりの高さで目がくらみ手に力が入らない。


「ここいらでいいかな」

「ここでいいな」


 上昇するのを止めた大鳥は俺の肩を持つのを止め、今度は左右に分かれて飛び始める。

 まるで俺の腕を引きちぎるかのように。


「ほら、もっとしっかり持ってないと落っこちて地面に真っ逆さまだぞ!」

「がんばれ、がんばれ、死ぬまでがんばれ」

「ぎゃはははは!」


 俺を墜落死させようと楽しんでいる。

 体重と左右への引っ張りで腕が引きちぎれそうに痛い。

 おまけに大鳥の足はツルツルしていて手が滑る。

 俺は必死に握っていたが、1分もせずに限界が来た。


「あっ!」


 俺は手を滑らして大鳥の足から離れた。


「ぎゃああああ!」


 うわあああ!!

 しまった!!!

 俺は頭を下にして凄まじい勢いで落下した。

 はるか上空で大鳥たちの下品に爆笑する声が聞こえる。


「落ちたぞ。ギャハハ」

「逃げたな。ギャハハ」


 俺は刻一刻と速度を増し地面に近づき激突しようとしていた。

 眼前に地面が物凄いスピードで迫る。


「死ぬ!!!」


 何とかしないと!

 必死にもがくが息が切れるだけでどうにもならなかった。

 今まで見えなかった地上の草木がハッキリと形を見てとれる。


「じ、地面に激突する!」

 

 と諦めかけたその時、空中で何者かに抱え上げられた。


「お待たせ! お兄ちゃん!」


 それは淡く光る純白の鎧を着て夜空を颯爽と飛ぶ妹レイナの姿であった。


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