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賞金首

=アーデラス・ガンデス国境の草原=

フォンは懐かしい風を浴びる。

ここで戦ってからまだ一月たたない内にここへ来ることになるとは。

ここはアーデラスとの最後の戦いとなった場所だ。

死を覚悟した女騎士長を討ち取った、そして、リーデニスと一緒に陣を張った最後の場所だ。

まだ戦いの痕跡は残っている。

不自然に切り取られた草、焼け焦げた草。

「・・・。」

誰もここで自分が戦っていたなど知るよしもない。

「ここでなんかあったのか?」

ウォンカは歩きながら問う。

「ここ、ほんの少し前まで戦場だったんですよ。」

「へぇ〜、おっかねぇなぁ〜。」

リンネが答える。

ウォンカは素直な間奏を口にする。

「んでさ姉御、この先になにがあるんだ?」

「ん?この先には旅人が簡単にお金を稼げる施設がある町があるの。」

「えらく都合のいい街だな。」

一行は草原を抜け、アーデラスへと入っていった。



=アーデラス・辺境の町コールネシア=

ここアーデラスは別名<龍の国>と呼ばれる。

その理由は、国土の約3割を占める高地に実に数百種のドラゴンが住んでいるからである。

世界各地にもドラゴンはいるが、ここアーデラスのドラゴンはどれも強力で、種族によっては軍馬として飼育されており、竜騎士はこの国特有の部隊である。

国名でもあるアーデラスとは、過去において最強と謳われた伝説の紅龍レッドドラゴンの名前である。

竜はにはそれぞれ階級がつけられており、弱い順にブルードラゴン、ダークドラゴン、ホーリードラゴン、アースドラゴン、ホワイトドラゴン、ブラックドラゴン、ゴールデンドラゴンと決められており、希少種であり最強のレッドドラゴンがその頂点に居る。

レッドドラゴンは単独で行動しており、番が出会う可能性は非常に低いため、その数が増えすぎることはない。



=コールネシア総合案内所=

「んで?どの依頼にする?」

ウォンカは町の中央にある巨大な総合案内所のクエストボードを見る。

できれば一回の仕事で多額の資金を調達したい。

しかし、そんな虫のいい話はなかなかない。

ウォンカとフォンがクエストボードとにらめっこしていると、隣からスタッフが腕を伸ばす。

そこに新しいクエストが張り出された。

ウォンカは反射的にそれを見る。

「えぇ〜と・・・一十百千万・・・・十万!!?」

ウォンカは思わず声を上げた、そこへ他の賞金稼ぎバウンティハンターが駆けおおせる。

ウォンカはクエストペーパーをひったくる。

「へへ。」

他の賞金稼ぎに勝利の笑みを見せる。

「ちっ。」

賞金稼ぎたちは三々五々に散っていった。

「それ、どんなお仕事ですか?」

リンネはウォンカに歩み寄る。

「えぇと・・・『宝の洞窟探索大作戦!!』



ー宝の洞窟探索大作戦!!ー

私と一緒にアーデラス北西の火山洞窟の探索!

報酬は今の私の全財産!!

ただし!強くてカッコよくて頼りになって見つけた宝は全部私に譲ってくれる男性限定!!




なんじゃこりゃ?」

ウォンカは呆れたようにリンネに紙を手渡した。

リンネは隅々まで書かれた文章を読む。

「あまり内容に関しては書かれていませんね。」

リンネが紙を呼んでいる間、一人の男がクエストボードから紙を取り、受付へ持っていく。

ウォンカは明らかに異様な雰囲気のその男を凝視する。

受付を終えた男は武器を取った。

「死ね!!フォン・カマスティン!!!」

男はそのままフォンに突っ込む。

「な!!フォン!!!」

フォンは少しだけ視線を男に向ける。

「・・・。」

振りかざされた斧をフォンは自然な動きで受け止める。

「なに!!?」

「仕事の前に武器の手入れをしておくのは当然だ。」

見れば、その斧の刃はボロボロだった。

「おまえ、クエスト帰りか?」

「ちっ!」

男は一歩下がった。

「へへ、五百万の賞金首を目の前にしてじっとしてれなくてねぇ・・・。」

男は斧を構える。

「へぇ〜・・・じゃあフォンを役所に引き渡したらしばらく遊んで暮らせるな。」

「ウォンカさん!!?」

「はは、冗談冗談。」

ウォンカは笑いながら謝る。

男は遠めに二人の会話を聞いていた。

そこへシーラがフォン達の所へ駆け寄る。

二人の視線がシーラに向いたのを見て、男はニヤリと笑った。

「!」

「ははは!!」

フォンがソレに気づくよりも先にシーラは男に捕まった。

急に身体が宙に浮いたので、シーラは何がなんだかわからなくなった。

男に首を握られていると気づいたのは、その斧が首元に向かうのを見た後、息がつらくなった時だった。

「さぁフォン・・・こいつが俺に殺られる前にてめぇのクビをさしだしな・・!!」

「ちっ。」

フォンは手にしていた剣を放す。

シーラが口元をモゴモゴ動かしている。

「・・・・!

全員伏せろ!!!」

フォンは叫んだ。

他の全員が一瞬わけがわからないといった表情をしたが、シーラを見た全員がその意味を知ることになった。

その場で気づいてないのはシーラの後方に居る男だけだ。


シーラを取り巻くように雷が発生する。

「へ?」

雷は一瞬シーラの体内に入ると、一気に爆発するように放たれ、チャージコンデンサが炸裂した。

シーラを直でつかんでいる男はモロにその電撃を受けた。

「うががががががががが!!!!!!!」

男はガクガク痺れながら倒れた。

シーラはトンッと床に着地する。

そして走ってフォンの懐に飛び込む。

「兄貴〜言われたもの買ってきました〜〜。

って?あれ?何してるの?」

ウルムは案内所の全員が伏せている理由がわからなかった。



「・・・一体誰だ?

俺に賞金をかけたのは・・・・。」

フォンは案内所で依頼の手続きをしているリンネを待っている間、ずっと独り言を言っている。

腕の中でシーラが眠っている。

リンネが駆け足で戻ってくる。

「え〜っとですね。

町の北門で明日の午後に落ち合う予定です。」

「よっし!

じゃあ今日はゆっくりするかなぁ〜。」

「無理だな。」

「へ?」

フォンの一言にウォンカは背伸びしたまま振り向く。

「金がない。」

「・・・・うそ。」

ウォンカはサイフを確認する。

中はものの見事に空っぽだ。

「・・・。」

「さっきウルムの最後の金で今日の夕食を買って来てもらったとこだ。」

「えぇ!!?あれ夕食!!?」

ウルムが声を上げる。

「何かってきた?」

「干し魚・・・。」

「・・・・。」

「カ、カルシウムたっぷりですね。」

リンネは苦笑した。

「ってことはさぁ・・・。」

ウォンカは頭の中にある最悪の結果を浮かび上がらせた。

「野宿だ。」

フォンはそれを的確に言い当てた。








ドラゴン階級はこの作品独自のものです。

別に何かの資料とかを参考にしたわけではないのであしからず。


追記:シーラは魔法詠唱を声に出す必要がないため、口を動かすだけで魔法が使えます。

それはちょっと特殊な道具があってですね、それは今後出てくるので今はスルーしてください。

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