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フォーデングリフ教

風が吹く。

石で囲まれた街を抜けた風は、まるで命を持ったかのように、まるで、言葉を学んだかのように語りかけてくる。

「む・・・。」

両目を閉じて座っている男は、風が語りかけてくる方向に向いた。

「なにやら・・・よからぬことが起こるそうだな・・・。」

男はゆっくりと立ち上がった。

そこへ、誰かが走り抜けていく。

臭いや足音からして、女の子のようだ。

走り抜けていく時、風が男に吹く。

「そうか・・・大丈夫だな。」

男は再びそこへ座り込んだ。



=宿屋=

「用意はできてるか?」

フォンが3人に振り向く。

「早く行くぜ!!

んで?どこなんだよ?」

「こっちだ。」

フォンは3人を裏道へ案内していく。

そこは大聖堂の裏、そこからさらに町の外へ出る。

「あそこだ。」

防風林の中に小さな小屋が見える。

その周りを数人の男が見張っている。

「ほぉ・・・。

んで?どうするんだ?」

フォンは剣を抜いた。

「真正面から殴りかかる。」



=防風林=

「あ〜・・・次誰の番だっけ?」

「おまえ。」

「うっそ!?」

男が二人、防風林の獣道を進む。

「俺死体の処理って苦手なんだよねぇ〜。」

「いいじゃねぇか、俺の時は爺さんだぜ?

おまえは若い女じゃねぇか。」

「そうだよなぁ〜。

あ〜殺るまえにーーーー」

「そこから先は禁句だ。」

「は・・・ぁ?」

男は地にひれ伏す。

フォンは鞘で男の後頭部を殴ったのだ。

「な!なんだてめぇ!」

「お姫様を救い出す王子様一行だ!!」

別の茂みからウォンカが飛び出す。

そして、地面と平行になるようにハンマーで男のミゾオチに叩き込んだ。

「ごぉっほぁ!!」

男は倒れた。

ウォンカは男を見下す。

「なぁ、こいつらさっき死体の処理がどーのこーの云ってなかったか?」

「・・・・急ごう!」




=防風林の小屋前=

ウルムが遠距離から門番に矢を撃ち込んだ。

先端が石のタイプなので気絶させただけだ。

「おっし!

いいぜ兄貴達!!」

フォンとウォンカが小屋に近づく。

中から男達が出てくる。

「な!なぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

セリフを言い切る前に、シーラの魔法で3人の男は防風林の外まで押し流された。

4人は小屋に飛び込む。

「姉御!・・・ぅっ・・・。」

「な!なに・・・!?」

「・・・。」

そこにはリンネの冷たい亡骸が横たわっていた。

「・・・・てめぇ!

何が命は大丈夫だだ!?あぁ!!?」

ウォンカはフォンの胸倉をつかんだ。

「ウォンカの兄貴!」

ウルムが静止に入るが自分よりはるかに大きい男を止めることはできない。

「無駄だ・・・誰もコレを止めることはできなかったんだ。

相手がフォーデングリフ教だったからな・・・。」

「んなの関係ねぇだろが!!

もっと早く来てりゃあ救えたかもしれねぇだろが!

全部わかった口きいてんじぇねぇ!!」

「ウォンカさん!やめてください!」

「黙っててくれリンネちゃん!!

こいつは・・・・ん?」

ウォンカは周りを見渡す。

そこには確実に4フォン・ウォンカ・ウルム・シーラしか居ない。

「え〜と・・・リンネさん・・・?」

「はい。」

ウォンカは亡骸を見る。

「・・・うぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

ウォンカはすかさずフォンの背後にまわった。

「しししし死体ががががががしゃべったたたたたたたぁぁぁぁ!!!」

「そんなわけあるか。」

フォンが言い捨てる。

「じゃじゃじゃじゃ!あれだ!

きっとリンネちゃんの亡霊だ!

救わなかったから怒ってるんだ!!

ほらフォン!謝っとけ!

リンネちゃんは優しいコだから謝れば許してくれる!!」

「はぁ・・・・。」

フォンは呆れたといわんばかりにため息をこぼす。

そして、リンネの亡骸に歩み寄る。

そこから一枚のカードを取り出した。

「おいおいおい!!フォン!!

そりゃマズイって!

死体からモノぱくるのはまずいって!!」

フォンは無視してカードを破った。

すると、リンネの亡骸は光の粒子となって消えた。

「え・・・?

ぁ・・・成仏してくれた?」

「ウォンカの兄貴・・・もしかして幽霊系はダメ?」

「・・・はい。」

ウォンカは小さくなる。

いつも明るい男が急に小さくなると、あまりにも見栄えが悪い。

「リンネ、いつまで隠れているつもりだ?」

「フフフ、ごめんなさい。面白くてツイ。」

紙を破る音がする。

そして、ゆっくりとリンネの身体が現れてくる。

しかしこの少女、かなり腹黒い。

現れたのはウォンカの背後だ。

「ウォンカさん。」

リンネは困惑状態のウォンカに話しかける。

「ナムアミダブツ・・・・。」

静かにそう云うと、ウォンカは白目になって倒れた。




〜数十分後〜

「っで・・・どういうことだ?」

ウォンカは座り込んでムスっとしている。

リンネが隣で機嫌をとっている。

フォンは破かれた2枚のカードを見せる。

「これはリーデニスがかなり前に持たせてくれた高等魔法陣の描かれたカードだ。

こっちは持ち主に似た人形を創るカード。こっちは透明になるカードだ。」

「すげぇ・・・。」

ウルムは関心する。

「んなモンいつ渡したんだ?」

納得がいかないと云わんばかりにウォンカは問う。

「昨日の夜。」

「あ〜、そういえば二人で話してたな・・・・ってこたぁおまえ・・・誘拐起こるのしってたな?」

「知っていたというよりは、こうなるように仕向けた。」

「はぁ?」

「昨日の街でフォーデングリフ教の紋章をつけた男が歩いてたんだ。

もし、何かしでかすなら、一般人に被害が出ないようと思ってリンネに一芝居うってもらった。」

「そういうわけです。」

リンネは笑顔をウォンカに向ける。

「なるほどね・・・でもよぉ・・そういうことなら先に云ってくれよ!

こんなこたぁ金輪際二度とゴメンだ!」

「安心してくれ、代理人形の魔法陣と透明の魔法陣は今ので最後だ。」

「でも、うれしかったですよ?」

「?」

「ウォンカさん、私のためにあんなに怒ってくれて。」

「お、おぅ!当たり前だろ!!仲間だかんな!!」

ウォンカはいつもの明るい陽気な口調に戻る。

ウォンカのテンションは完全に回復した。

リンネは3人に向かってウィンクする。

まったく侮れない少女だ。

「よし!んじゃあ帰るか!!」

ウォンカは立ち上がった。

「それはそうなんだが・・・。」

フォンは辺りを見渡す。

「どうしたんですか?」

ウルムが問う。

「いや、フォーデングリフ教がリンネをさらった理由を確かめて、元を叩かなければな、意味がない。」

「確かにな。」

ウォンカは奥にある祭壇に近寄る。

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

遠くから声が響いてくる。

「なんだ!?」

ウォンカはハンマーを構える。

「その祭壇にちかづくなぁぁぁぁ!!!」

見れば少女が走って突っ込んでくる。

「んだぁ!?新手か!!?」

ウォンカはハンマーで突きにかかった。

おそらくその一撃が華奢な少女の腹部にはいれば、少女は気絶するだろう。

しかし、少女は跳ぶと、ハンマーの頭を踏み台にさらにジャンプ。

一回転しながらウォンカの頭上を越えた。

そして、そのままの勢いで祭壇に走る。

半分のしかかるようにぶつかりながら、祭壇の上にあった長細い陶器をつかむ。

すると、それをあらゆる角度から眺める。

しばらくして、少女はガックリと肩を落とす。結構大げさに。

「あげる。」

暗い低テンションの声で言うと、少女は陶器を放り投げた。

フォンは陶器を受け取る。

そのまま超低テンションのまま小屋を出る。

「て、てめぇら・・・。」

すると、刃物をもった男が現れた。それは獣道でウォンカが殴った男だ。

男は刃物を振りかざす。

「しねぇ!!」

「うっさい!!ケチケチしやがって!こんのボケェ!!!」

少女は回し蹴りを男の頬にかます。

「げふぅぁ!!」

男は自分の身長と同じくらい吹き飛ばされた。

「ふん!」

そのまま少女は茂みに消えた。



「な、なんだったんだ?今の・・・。」

ウォンカは呆然と立ち尽くす。

フォンは陶器を見る。

「なるほど・・・コレが原因だったようだ。」

フォンは陶器を全員が見えるように差し出す。

「この陶器にアルヴァニカ信者の血を流すことによって、異教の民は救われる・・・フォーデングリフ教らしい考え方だ。」

「どういうことだよ?」

「詳しいことは帰って話す。

この件はアルヴァニカ大聖堂の導師に報告して・・・。」

フォンは陶器を叩きつける。

「これで解決だ。」

フォン達は帰路につく。


キャラクター紹介

名前:ウォンカ・シュートレン 22歳 男

一流の鍛冶師を目指す陽気な青年。

以外に物事を冷静に見えるほう。

父親が鍛冶師をつがなかったため、彼は父親を憎んでいる。

しかし、別に鍛冶師以外に生き方があったわけではない。

彼は自身の師である祖父を尊敬しており、いつか祖父のような鍛冶師になれるようにと日々精進している。

かなりの怖がり。あと、高所恐怖症。

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