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アルヴァニカ大聖堂

=シルファ=

ここはアクエリアとミレルの中間に位置する町。

ここは世界三大宗教であるアルヴァニカ教の発足地である。

シュリクリム号はここで補給をし、そのままミレルに向かう予定だった。

しかし、国際指名手配犯オレオンの襲撃により、シュリクリム号の運行は停止。

しかたなく、フォン達は2日後に出るミレル行きの通常船に乗ることにした。


「おぉ!綺麗な街だなぁ!!」

ウォンカが大げさに叫ぶ。

「すっげぇ!おっきい家がいっぱいだ!!

ウルムも演技っぽく大声で棒読みする。

そして、二人は後ろを見る。

そこには明らかにテンションの低い男女が黙々と歩いている。

「くれぇよ・・・。」

ウォンカは静かに突っ込む。

「兄貴〜。」

「あぁ・・・。」

まったく心のない返事が帰ってくる。

「あぁ!フォン!あの術使いたくねぇなら使わなきゃいいだろが!!!

リンネちゃんも!!未熟で救えなかったと後悔するなら、次に誰でも助けれるように努力するのが王道だろ!!?」

「ウォンカさん・・・。」

暗い声でリンネはウォンカを見る。

側でシーラもうなずく。

「シーラちゃん・・・そう・・ですよね。」

リンネは手のひらを見る。

「落ち込んでいる場合じゃあないですよね・・・。」

「おぅよ!!人は日々進むんだぜ!!」

「・・・はい!」

リンネは今日始めて前を向いた。

「おぃ!おまえはいつまでそうしてるんだよ!?」

フォンは相変わらず上の空で歩いてる。

「あぁ・・・。」

難しい顔で返事をする。

「リンネちゃんも立ち直ったんだぞ!?

男のお前がクヨクヨしててどーすんだよ!?」

「・・・。

ずっと考えていたんだが・・・。」

「ん?」

全員がフォンを見る。

「明らかに不可解な点がある・・。」

「な、なんだよ。」

皆興味津々で、次のフォンの言葉を待つ。

「昨日と今日・・・明らかに金額分の食事じゃなかったよな?」

「はぁ!!!?」

心の底から声が出た。

何を考えているかと思えば、食事のことで悩んでいたとは、誰も思わなかった。

そもそも料金はルーキアス持ちなので彼らはタダ飯になる。

「おまえ・・・もしかしてボケキャラ?」

「は?」

「おかしいだろ!?

前回あんな終わり方してて冒頭の発言が飯の質のどうこうって・・!!?」

「しかし・・・一人23000ジムも取っておきながら昼食なしで、出てきたのが鶏のスープに・・・。」

「あぁ!はいはいわかりました!!

早く宿行こうぜ!!」

ウォンカはズガズガ歩き出した。

「アイツは何を怒っているんだ?」

「さ・さぁ・・・。」

リンネは苦笑で答えた。

「俺は怒ってねぇ〜!」

遠くからウォンカの叫びが聞こえた。

ふと、目の前を質素な服の男が通る。

フォンは一歩下がった。

「兄貴?」

ウルムがフォンを見上げる。

「・・・いや、なんでもない。」





「んぁ〜!!いい湯だったなぁ!」

ウォンカがタオルで頭を拭きながら部屋に戻ってくる。

フォンがウォンカに見えるようにウォンカのベッドにお金を置いた。

「明日は丸一日自由行動だ。」

「おぉ!小遣いか!

この街は骨董品で有名だぜ!?」

「できるだけ旅の荷物にならないものを買えよ?」

「わーってるって!」

ウォンカはベッドに飛び乗る。

「それから、リンネ。」

「はい?」

「ちょっと来てくれ。」

「?」

フォンはリンネを別室に呼んだ。

「なんだ?」

「さぁ・・・?」

ウォンカとウルムは顔を見合わせた。




〜翌日〜

=アルヴァニカ大聖堂=

「うわぁ・・・。」

「・・・!」

リンネとシーラはアルヴァニカ大聖堂のステンドグラスを眺めていた。

アルヴァニカ教の協会はアルヴァニカを信仰するものしか立ち入れないが、ここアルヴァニカ大聖堂だけは、たとえ異教徒でも入室することが可能なのだ。

黄色と青を貴重としたステンドグラスは、高さ12メートルにも及ぶ超巨大硝子細工だ。

これは常に水と関わりを持つガンデス独特の技法で作られている。


ひとしきり大聖堂を見学すると、二人は早々に外へ出る。

「綺麗でしたね。」

リンネはいつもの笑顔でシーラに話しかけた。

シーラも満面の笑みでうなずく。

そこへ一人の男が近寄ってくる。




「む〜・・・。」

ウォンカは硝子細工とにらみ合っていた。

「ウォンカの兄貴〜、買うのか買わないのかハッキリしてくれよ〜。」

「いやぁ・・・買わないけどさ・・・どうやったらこうなるか・・・不思議じゃね?」

「おまえは鍛冶師だろ?

硝子職人じゃない。買わないなら行くぞ。」

フォンは呆れた物言いをする。

そこへ、シーラが走ってくる。

それも全力で。

「どうした?」

フォンはしゃがみこむ。

シーラは少し息を整えると、紙切れを渡す。

そこにはシーラの字で文章が書かれていた。

「・・・。」

「兄貴?」

ウルムは紙切れを覗き込んだ。

「な!!姉御が誘拐!!?」

「何!

リンネちゃん、誰をさらったのか!!?」

「は?違う違う!!姉御が誘拐されたんだよ!!」

「なにぃ!!一大事じゃねぇか!!!」

ウォンカとウルムは慌てる。

しかし、フォンは冷静に何かを考えていた。

「アルケミスタが動いたか・・・それともアルヴァニカ?

いや、あの服装はどっちでもないか・・・・・・ここでさらうということは、少なくともフォーデングリフか・・・?」

「兄貴!!」

「ん?」

フォンは振り返った。

すでに二人は臨戦態勢だ。

「早く行くぜ!!」

「慌てるな、フォーデングリフだとすれば、場所の目星はついてる。

殺されもしないから安心しろ。

万全の体制で乗り込む。」

「なんでそんなことがいえんだよ!!?」

「職業柄・・・ハカリゴトは得意でな。」

フォンはゆっくりと歩き出した。



「ん〜〜〜〜〜!!!」

リンネは口と手足を縛られ、薄汚い小屋に押し込まれた。

外から声が聞こえる。

リンネは扉までなんとか移動し、話し声を聞き取る。

「あの娘・・・アルヴァニカじゃねぇぞ!」

「クソ!大聖堂から出てきたからてっきり・・・。

もう一人のガキのほうだったか・・・?」

「どっちにしても、生かしておくのは危険だ。顔を見られた!」

「くっそ!ドルコニスからわざわざ来たってのに!」

(ドルコニス?・・・それって確かフォーデングリフ教の聖地・・・。)

扉が勢いよく開かれた。

男が刃物を持っている。

「聞いてたのか・・・。」

リンネは男をにらみつける。

「悪く思うなよ・・・。」

男は細剣の切っ先をリンネに向けた。

「大いなる神フォーデングリフの名の下に・・・罪深き者に至福の時を・・・。」

刃が輝き、深々とリンネの右肺を貫いた。

紅い血がこぼれる。

そのまま左肺を引き裂く。

胸に紅い血の横棒が引かれる。

リンネはそのまま冷たい地面に倒れこんだ。

灰色の地面に紅い池ができた。

男はそれを見届けると、小屋の外へ出た。

サブ・キャラキター紹介

名前:ルーキアス・レネイ 25才 男

ガーディアンギルドのギルドマスター。

紅いショートヘアーの男がアクエリアを歩けば誰もが尊敬の眼差しを向ける。

元々ガンデスの軍人で、19歳の初陣のときフォンと出会う。

16際の時、宗教戦争によって両親を失い、誰よりも孤独の辛さを知っている。

実は甘党。


名前:ムー 18歳 女

いつもルーキアスの隣に居る少女。

実年齢より幼く見られることに悩んでいる。

対人戦においてはほぼ無敵、フォンに負けた時以外は全戦全勝。

幼いころ、孤児でアクエリアの裏町で瀕死のところをルーキアスに拾われ、レネイ家でルーキアスと兄妹同然に育てられた。

しかし、ムーはルーキアスの事を兄妹としてではなく異性として意識している。(純粋なんですよ^^)

9年前の宗教戦争をきっかけに、彼女は変わっていった。

毎朝毎晩牛乳をかかさない。

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