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炎のギルドマスター

「こいつは景気の良い話じゃないな・・・。」

ルーキアスは煙草を吸いながら資料に目を通す。

「はい、いかがしますか?マスター。」

ムーは机の前で綺麗に立ってルーキアスの返答を待つ。

「とりあえず、フォン達には気づかれないように・・・これはこの街の問題だ。

異国の客人を巻き込むわけにはいかない。」

ルーキアスは紙束を机に置いた。

「とりあえず、今日明日どうこうという話じゃないからな。

あせることはない、各員の鍛錬を強化するか。」

ルーキアスは煙草を灰皿に置く。

「どうした?ムー。」

「マスター、お願いがあります。」

「なにかな?」

ムーは、滅多にお願いなど言わない。

珍しいことにルーキアスは興味しんしんである。

「実は、フォン殿とお手合わせ願いたく思います。」

「ほぉ。」

「ヴァリクラの英雄と言われるそのチカラ、この身で感じたく思います。

失礼ながら、私はあの方が一国の英雄と言われるほどの人物に見えません。」

「あはははは!

それは傑作だ!

まぁ本人も嫌とは云わないだろうね。

ちょうどいい、ギルド員達の闘志も上がるだろう。

じゃあ話をつけてくるよ。」

ルーキアスは煙草の火を消し、部屋を出た。



「あ〜、ここは気持ちいいなぁ・・・。」

ウルムはベッドに寝転がる。

「この国は気候はいいからな。」

フォンは剣の整備をする。

リンネとシーラは女同士で何かをしている。

花札というらしい。

異国のゲームなうえにルールが難しいのでフォンとウルムはパスした。

「居心地はどうかな?」

扉に背をあずけてルーキアスが立っている。

「かなり良い感じだ。」

「それはよかった。

では、フォン殿には少し働いてもらおうかな?」

「ん?」

ウルムとリンネはルーキアスを見る。

シーラはフォンの方を見た。

「実は、明日の午後、ギルド員総出で演習をするんだが、ムーとフォンに前座・・・というと言葉が悪いが、一騎打ちをしてもらいたい。武器は木刀だがね。」

「かまわないが・・・あの子はいいのか?」

「あぁ、彼女から言い出したことだからね。」

「兄貴〜何か気にさわることしたのか?」

「した覚えはないがな。」

フォンは剣を鞘に収めた。



〜翌日・午後〜

天気は快晴。

清々しい風が吹く。

「・・・。」

ムーはフォンの前に立つ。

総勢40名のギルド員全員がフォンとムーに注目している。

ギルド員の一人がフォンとムーに木製の武器を渡す。

ムーは武器を構えるとフォンをにらみつける。

静かな空間が周りの緊張感を強調する。

フォンは木製の武器を受け取ると、それを地面に捨てた。

「・・・どういうつもりですか?」

「いや、木刀とはいえ、女の子に剣を向けるのは気が引けるんでな。」

「な!・・・手加減は無用です!

こちらも本気で行きます。」

「もちろん本気でいく。でないと君が怪我をする。」

ムーのポルテージが急上昇する。

「覚悟・・・!!!!」

ムーは地面を蹴り、二本の木製の小刀を構えて突っ込む。

足が速いらしく、10mの距離は一瞬で縮まる。

「てやぁっ!!」

左手のナイフが天へ向かって振り上げられた。

瞬時に右手のナイフで突きを繰り出す。

それは一瞬の出来事だ。

しかし、フォンはソレを見切り、ほとんど動かずに避けた。

「ちっ。」

一回転しながらしゃがみこみつつ、水平に斬る。

そして、立ち上がりざまに身体のバネを利用して切り上げる。

そのとき、ムーは距離が間合いの外であることに気づく。

慌てて前へ出る。

それがスキとなった。

フォンはムーの左腕をつかむと、一捻りで彼女を反転させ後ろを取った。

そのまま左手の小刀を滑らせるように奪うと、首元にあてた。

「終わりだ。」

「くっ・・・。」

ギルド員達は呆気にとられている。

ほんの数十秒で自分達のアイドルともいえるギルド内最強(マスター省)のムーが素手の男に負けたからだ。

フォンはムーの拘束を解く。

「君は剣筋もスピードも申し分ないが、一つ一つの行動が単調だ。

もう少し、技に流れをもつといい。」

「・・・ありがとうございました。」

ムーは頭を下げる。

同じようにフォンも頭を下げた。

「すばらしい!」

ルーキアスはパチパチ手叩きながら二人を賞賛した。

「す・すげぇ・・・兄貴すげぇ!」

ウルムも感動の声をあらわにする。

一気に歓声が沸いた。

しかし、それを割るように一人の男がなだれ込んでくる。

「た、たいへんだぁ!

やつらが予定より早くきやがった!!!」

「!」

ルーキアスは男に歩み寄る。

「どこだ?」

「き、北と南と海から!!!」

「ちっ。」

ルーキアスは考え込む。

「各員、装備を整えて海と北に向かえ!!!」

「どうした?」

「・・・。」

「マスター。」

ムーがルーキアスの側に立つ。

「我々だけでは間に合いません。」

「しかたないか・・・。」

ルーキアスはフォンとリンネとウルムとシーラを平等に見る。

「すまないが手を貸してくれ。」

「わかった。

俺は北を、こいつらは南に。」

「頼む。」

フォンは3人を引き連れてゲストルームに急いだ。



「どうしたんですか?」

リンネは走りながら問う。

「この街は時々モンスターの襲撃を受けるんだ。

あの慌てようからして、時期が早まったんだろう。」

フォンは必要最低限の薬を確認する。

「北は比較的ザコいモンスターが集中している。

俺が一人で北へ向かう。おまえ達は南の迎撃に加わってくれ。」

「了解!!」

「わかりました!」

「シーラは・・・。」

フォンはシーラを見る。

その目は自分も加勢すると言っている。

「・・・・俺と一緒に!」




=アクエリア・南最終防衛地域=

「みなさんこっちへ!!」

ムーが二人を誘導する。

「すでに他の方たちがあらかた削ってくれています。

私たちはここでヤツラにトドメをさします。」

「はい!」

ムーは草原の方を見る。

「来ます!!」

3匹のタカのようなモンスターが飛び掛ってくる。

ムーはモンスターの一撃を避け、翼に切りつけた。

ウルムは突っ込んでくるモンスターの額に矢を打ち込み、絶命させる。

リンネは治癒魔法で援護した。


しばらく奮闘が続いた。

何十分かした後、モンスターの勢いは弱くなっていく。

「あと少しです!!」

その時、ムーの背後に巨大なクモのモンスターが現れた。

「きゃぁぁ!!」

重い一撃でムーは吹き飛ばされる。

「くそ!朱零弓!!」

赤い閃光を放つ矢はまっすぐにモンスターに飛ぶ。

しかし、モンスターの皮膚はその矢を弾いた。

その瞬間、矢は爆発する。

「どうだ!!?」

ウルムは腕を上げた。

モンスターのポルテージが上昇する。

「な!無傷!!?」

モンスターには傷ひとつついていない。

クモ型のモンスターは糸をムーとウルムに吐きかける。

ウルムは糸に絡まり、身動きが取れなくなる。

ムーはなんとか逃げようとしたが、糸が足と地面をつないでしまった。

「くそっ!」

ダガーで斬ろうとするが切れない。

「ムーさん!!」

モンスターはムーに近づく。

そこへ強力な水流がモンスターにぶつかる。

リンネはその水流の放たれた方向を見る。

「シーラちゃん!?」

シーラの魔法でモンスターは怯む。

しかし、すぐに体制を整えてムーを一飲みにしようとする。

巨大でグロテスクな口が開かれた。

「!!!!!」

ムーは目を見開いた。

その口の奥は漆黒の世界だった。

「ムーさん!!!!!」

リンネが叫ぶよりも早く、モンスターの前に男が立ちはだかった。

「ふっ。」

ルーキアスは不適に笑うと、片腕をモンスターの頭に当てた。

ルーキアスの手の甲に紅い紋章が浮かぶ。

『燃え上がれ。』

云うと同時にモンスターの全身は炎に包まれた。

一瞬、炎が強くなった。

その後、炎は現れた時と同じように1秒もかからずに消えた。

モンスターの身体は完全に炭化し、そよ風に吹き飛ばされた。

「大丈夫かな?」

「マスター・・・。」

ルーキアスはムーの足に絡まりついている糸を燃やした。

その直後、別の巨大なモンスターが飛び掛ってくる。

「マスター!!!」

「大丈夫、私たちには彼が居る。」

鉄がこすれる音が響く。

クマのようなモンスターの一撃を、フォンは片腕で持った剣で止めた。

「頼むからイチャつくのは終わってからにしてくれ。」

「心外だな、可愛い部下を身をていして守っているんだよ?」

「はぁ・・・。」

フォンはモンスターをなぎ払う

「刃斬激!」

モンスターが空中を舞っている間に強力な斬派で真っ二つに斬った。


「これで全部か?」

「あぁ、ご苦労様。」

フォンは剣を鞘に収めた。

「じゃあ帰ろうか。」

ルーキアスが帰路に着く。

「その前に。」

「ん?」

フォンはルーキアスを呼び止めた。

リンネがその後ろで苦笑しながらウルムを指差す。

「ん〜ん〜〜〜!!!」

ウルムは糸と格闘していた。

「あぁ!ごめんごめん。」

ルーキアスは笑って謝りながらウルムに歩み寄った。


この小説はケータイからのアクセスが多いようです。

私はPCで文を書いてるので携帯との画面の差が激しく思います。

だからといって文体を携帯で見やすいように書く技術は、私にはありません><

携帯で読んで下さっている皆様、非常に申し訳ないです><



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