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陽気な鍛冶師見習い

=ヴァリクラ南東の平原=

フォン達はイカスネ村を早々に抜け、国境の町アヴァナンに向かっていた。

この平原にはモンスターが多く、一般人がここを通ることはまずない。

案の定、モンスターが目の前に現れる。

それは熊に似たモンスターだ。

「行くぜ!」

ウルムは弓に矢を装填する。

リンネは一歩下がり、フォンは剣を取る・・・・予定だった。

しかし、予定は未定とはよくいったもので、フォンの拳は空を握る。

「あ。」

「「え?」」

「しまった・・・・忘れてきた。」

そう、フォンの剣は魔法牢獄に突き刺さっているのだ。

フォン以外のモノはあの剣を持てない以上、現在もまだ魔法牢獄にあることになる。

ここまで来てフォンの特殊能力<なくす>が発動してしまったのだ。

イカスネ村にも剣は売っているが、急いでいたうえに夜中だったので買っていない。

「兄貴が戦えないってことは・・・オイラ一人・・・?」

「あ!私、簡易魔法なら・・・。」

一瞬、静かな時間が流れ、間合いに風が吹く。

「へ・・・へへ・・・いいぜぇ!やってやる!!

安心してくれ兄貴姉御!!オイラがアヴァナンまで連れて行ってやるぜ!!」

ウルムは装填していた矢をはずし、槍のように構える。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」

ウルムはモンスターに突っ込んだ。





=アヴァナン=

「ご苦労様です。」

リンネはウルムを病院に連れて行く。

「う〜ん・・・。」

あれから何匹かのモンスターと出くわし、その度にウルムは突っ込んだ。

モンスターは運良く群れていなかったので、ウルムの特攻で蹴散らすことができた。

「俺は忘れないうちに剣を買ってくる。」

「はい、ではこの宿屋に来てくださいね。」

リンネは宿をとった宿屋のメモを渡す。

「あぁ。」

フォンは受け取ると、まっすぐ武器屋に向かった。


アヴァナンは貿易の町だ。

港には毎日数多くの物資が送られ、出てゆく。

フォンは武器屋に入る。

「らっしゃい。

免許は?」

フォンは武器類剣種所得許可書を提示する。

「うむ、好きなの持ってきな。」

フォンはすぐに近くにあった一番安い剣をとった。

「これを。」

「おいおい、あんた・・・店に置いていてなんだが、こんな剣でいいのか?」

「あぁ、かまわない。」

「はぁ・・・・1200ジムだよ。」

フォンは袋から通過を取り出して支払う。

そしてすぐに剣を元々もっていた鞘の反対側に装備する。

「またどーぞ。」

フォンは、すぐに宿へ向かった。



「さすがにまだか。」

フォンは部屋に入るとすぐにベッドに入った。

目を閉ざすと、あらゆる事がマブタの裏によみがえる。

たった一夜のあの出来事さえ、何日も経った気がする。

心身共に疲れきっている。

フォンはゆっくりと夢の世界へと誘われた。



ーおまえが望むものを与えようー

〜ボクが・・・求めるもの?〜

ーおまえが望むのはチカラだー

〜チカラ・・・〜

ー与えよう、チカラを・・・ー

〜本当に?〜

ーただし、お前は我によって失うー

〜何を?〜

ー全てだ、家族、知人、親友、恋人、未来ー

〜え?〜

ーおまえの全てを奪う、その代わり、おまえはチカラを得るー

〜嫌だ!チカラなんていらない!!〜

ーもぅ逃れられない・・・頂くぞ、貴様の全てをー

〜嫌だ!返せ!返せ!!!!−



「返せ!!!!!!」

フォンは天井に向かって手を伸ばす。

「あ・・・すすすすまねぇ兄貴!!返すよ!返すよ!兄貴のプリン!」

ウルムが慌ててプリンを机に置く。

「フォンさん・・・そんなにプリンが好きなんですか?」

「は?・・・あ、いやそうじゃなくて。」

見れば、すでに日は落ち、リンネとウルムは夕食中だった。

「いいんじゃないですか?

男の人でも、その、プリン好きでも・・・。」

「いや、別にプリン好きでは・・・。」  <フォンは「プリン好き」の称号を得た!>



〜翌日〜

=市場=

「さすがにすごいですね。」

リンネは朝市の人の多さに呆気にとられる。

人々が活気にあふれている。

「ガンデスへはこの先の荒野を抜ける必要がある。

といっても、四時間も歩けば着くんだがな。」

フォンは品定めのために市場を歩く。

しばらくして、必要最低限の食料を調達する。

「おいおい!そこのヒト!!」

その陽気な声に3人は声がした方向に目線をむけた。

そこには明らかに陽気そうな青年が居た。

「そこのアンタさ、ずいぶん安っぽい剣持ってるな!見せてくれよ!」

青年に云われるがままにフォンは剣を抜いた。

「ん〜〜・・・未使用か・・・どれ。」

青年は背中に装備していた二つのハンマーを手に取る。

「ここじゃあ危ないな、こっちきてくれ。」

「待て、おまえ何者だ?」

「俺か?俺はウォンカ。

鍛冶師を目指してるんだ。」


ウォンカに連れられて路地角に来る。

「よし!あんたさ、その剣を構えてくれ!」

「?」

フォンは片手で剣を構える。

「行くぜ・・・びびるなよ。」

ウォンカはハンマーをグルグル回転させた。

ハンマーの頭から火が燃え上がる。

「たぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

ウォンカは構えられた剣をハンマーで何回も何回も殴る。

「っ・・・。」

「てやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

トドメと云わんばかりに大げさな振りで剣を叩いた。

「ふぅ・・・どうだ?」

「・・・・軽くなったな・・・それに、さっきよりも高質化しているようだ。」

「す、すげぇ・・・!」

ウルムが呆気にとられる。

「いうあぁ!いい仕事したぜ!」

「ありがとう、いくらだ?」

「いくら?いやいやいや!

俺は修行の身だ!

修行の身で金は取らないさ!

失敗したら弁償すっけどな!」

笑いながらウォンカは云う。

「んじゃな!縁があったらまた合おうや!」

ウォンカはハンマーを背中に戻すと、早々に歩いていった。

「俺達も行こう。」

「そうですね。」

リンネは小袋を持ち上げる。

三人は荒野へと向かった。

ウォンカのハンマーはゲートボールで使うハンマーみたいな感じです。

ゲートボールのハンマーがわからない人はゴルフのクラブのヘッドが左右についている感じの物を想像してください。



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