白銀の町の悲劇
多分この作品はダークファンタジーです。
ダーク系は嫌いって方でも多分気に入っていただけます。
ウォンカ君がPT入りしたら少し明るい感じになっていく(予定な)んでお願いします^^ノ
「寒い。」
少年は布団から起き上がる。
窓の水滴が凍りついている。
質素な木製の家の小さな部屋は非常に寒かった。
世界の北に位置する国<ヴァリクラ>は年中雪が降っている。
ユラユラ降る幻想的な雪を想像しがちであるが、現実はそんなに甘くない。
<降る>というよりは<落下>に近いそれは、頬に当たる度に小さな衝撃を皮膚に与える。
「起きないと・・・。」
少年は冷たい床に素足を置いた。
ジワジワではなく一瞬で全身が凍りつくようだ。
リビングに下りると母親が朝食を作っていた。
「おはよう・・・。」
「ん?今日は早いわね。
ほら、顔洗っておいで。」
「うん。」
少年は洗面台へ向かった。
洗面台には<魔法陣>が描かれている。
これは火の魔法陣。
ゆえにこの洗面台からは湯が出る。
少年は顔を洗って席に着き、朝食を食べた。
「行ってきます!」
少年は元気よく声を上げ、家を出た。
空は珍しく青かった。
昨晩の吹雪で地面には白銀の世界が広がっている。
「おっす!」
友人が声をかけてくる。
少年は気前よく返事をして共に学校へ向かった。
「なぁなぁフォン、今日のテストなんだったっけ?」
「え?もしかして勉強してないの!?」
「悪いかよ?」
「悪いよ!だって、今回のテストで欠点取ったら君は留年じゃないか!!」
「大丈夫大丈夫、ここぞというときに覚醒して欠点は免れるから!」
「覚醒って・・・じゃあ今日の教科教えなくていいよね?」
「おぉ!それは卑怯ぞ!」
「・・・。」
「頼む!このとーり!」
友人は手を拝むように(ってか拝んでいる)合わせた。
フォンは呆れたようにため息をつく。
「はぁ・・・魔法陣学、範囲は水と闇と光。
あと歴史で勇者のとこ。」
「おぉ!勇者あたりは得意だ!
英雄と救世主のとこは話がややこしくて・・・・。」
「賢者のところはもっと難しいよ。ボク、先に勉強したんだ。」
「はぁ!?おまえバカじゃねーの?」
「・・・。」
「うぁ!そんな哀れんだ目で見るなぁぁ!!」
友人は1人で苦しがる。
「とにかくだ!
そんな勉強ばっかりじゃあ人生楽しめねぇぞ!!?
11歳といやぁ健全に女の子とお付き合いしても犯罪にはならねぇ!!」
「・・・。」
そんな会話を交わしつつ2人は学校へやってきた。
「はじめー。」
教師の合図により期末テストが始まった。
フォンはスラスラと答えを書いていく。
(えぇと・・・これは・・・・ん?こっちか、コレひっかけだな。
うわ!この虫食い難しい!・・・って、下に語群あるじゃないか!!
わかりにくいよ・・・。)
消しゴムと黒鉛の死闘が繰り広げられる中、終了の合図が学校中に鳴り響く。
全員が隣の席の友人と答え合わせをしている。
その間を教師が割って入り、答案用紙を回収する。
「っで?リコルは覚醒できた?」
フォンがイタズラっぽく友人に話しかける。
「ふっふっふっ、フォン、やはり俺は土壇場で覚醒する男だぜ!」
リコルは自慢げに答案用紙を見せた。
ざっと見た感じでは欠点ではなさそうだ。
「ちぇ。」
「なにその態度!?」
「いやぁ、やっぱここはお約束で欠点覚悟の展開でないと・・・。」
「んなわけにいくか!こっちは留年かかってんだよ!」
「じゃあそうなる前になんとかしようよ・・・。
ま、次の歴史もがんばって。」
「うわ!余裕の発言ムカツク〜〜〜〜!!!」
しかし、次に鳴り響いたのは試験開始の合図ではなく警報。
町で轟音が鳴り響いた。
「な、なに!!?」
全員が音のする方へ視線を向けた。
校門から黒紫の犬のモンスターが突っ込んでくる。
「モンスター!!?しかも4匹も!!!?」
「逃げろー!!!」
誰かがそう叫ぶ、教室にいた皆があわてて逃げる。
しかし、逃げ切るよりも先にモンスターの1匹が窓ガラスを貫いて飛びこんできた。
「きゃーーーー!!」
クラスメイトの女の子が悲痛の叫びを上げて絶命した。
そしてその隣にいた男の子も喉を引き裂かれた。
犬のモンスターは次の獲物はと当たりを見渡す。
フォンと目が合う。
(やばい!)
本能がそう告げる。
逃げなければ殺される。それはわかっているのに身体が動かない。
犬のモンスターは狙いを定めるかのように向き直る。
そして、強靭な後ろ足で床を蹴って飛び掛ってきた。
「うわぁぁぁぁ!!!」
目の前が真っ暗になる。
そして、ゆっくりと意識が遠のいていった。
こんにちわ!
いくつも同時連載小説を書いてるMr.Jです!
連載作品が重なるほど内容はよくなっていってます!
ゆえに!
この作品はかなり良いできになると思います。
皆様、どうか暖か目で見てください^^ノ