リア充は俺の考えをぶっちぎる
さて、皆さんは知らないであろう俺の前で話している多樹修太(と思われる物体)。この物語を進める為にはまず、こいつの事を話しておかなければならない。
俺がこいつと知り合ったのは大体中学2年生の秋辺り。当時、K高等学校合格を目指していた俺はN塾に入った。その時塾に居たのがこの多樹だった。
彼はスポーツ万能、頭もいい顔もいいという最高のスペックを持っていた。そして当然の如く女にはモテて男には人気があり、塾では中心メンバーに入っていた。
……その時フツメンな俺は途中から入ったというハンデもあって空気だった。ダサメンじゃない、フツメンだからな?
まぁそんなスペックを持つ彼と俺はK高等学校に入ることができた(俺はギリギリだったが)。そしてイケメンな多樹は学校の中心、俺は空気として過ごすことになった。
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現在中学2年8月14日。先生達の都合だなんだで帰りが早くなった。うちは進学校だが同時に国の実験学校のような役割もあるため、こういうことは割と珍しくなかったりする。
「今日は快晴、雲一つなしっと」
俺の心とは対象的だな、全く。
最近修学旅行という行事がウチの学校にも取り入れられた。修学旅行が与える学生への影響とその結果を研究したいのだそうだ。
それ自体は喜ぶべきことなのだが今日は班決めが行われた。ボッチと空気には辛い行事だ。つまり両方を持ち合わせる俺は闇と光が合わさって最強に見える。
……ああダメだ、どっちも闇だから頭がおかしくなって死ぬしかない!
何よりも最悪なのは班が多樹と一緒。リア充なんて滅んでしまえばいい。
バス停へ着いて時刻を調べる。全く、実験校って言うからにはバスも実験で増やしてはくれまいか。
「何暗い顔してんだよ?」
「誰だ? うわぁ……多樹か」
「『うわぁ』ってなんだよ」
俺に後ろから話しかけてきた人物……多樹は苦笑をすぐに元の人懐っこい笑顔に戻して話し出す。
「班、一緒だな! よろしくな!」
「出来ればお前と違えば良かった、いやマジで」
「そんなこと言うなよ、大体お前一人だったじゃん?」
今回の班は各自自由に決めることが許されていた。もちろん俺に誘いが来るはずが無く、そこを多樹に拾ってもらった。
「いや、もし、もしもだ。今回の班決めがくじ引きだったならば俺は一人じゃなかったんだ!」
「当たり前じゃん」
冷静に突っ込まれてしまった……。
「ってかウチの班の女子怖すぎいやマジで」
「ほんと、なんでだろうな、すごいギラギラしてる」
お前を狙ってんだよ! リア充め。
「お、バスが来たぞ。早く乗ろうぜ」
「……そうだな」
俺の心を知ってか知らずか微笑みながらバスに乗り込むリア充。こういう姿も嫌味ったらしくならないのが、生まれながらのリア充という奴だろう。
バスの後ろから2番目の2人席に座る。普通の奴ならバスも空いていることだから、少々マナー違反だがその後ろか前の席に座るだろう。しかしリア充は俺の横に座ってきた。
「……なに」
顔をしかめてそこからどけオーラを出してみる。
「いや、ちょっと話したいことがあってさ」
そのオーラをリア充は一気に突破して来る。
「『アイキス』って面白いよな」
「……は?」
リア充は時々ボッチの理解の範疇を超えるらしい。
書き貯めるという概念が無いため一週間に一回のペースになると思う今日この頃。
……他の作品もちゃんと更新したい。