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航空祈動聯隊、敵ヲ討テ。 〜並行世界の日本は戦争を回避した。でも代わりに、超能力と銃と刀で怪物と戦っている!?〜  作者: 神田川 秋人
第2章 空を仰ぐ雛鳥たち

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第30話 空に舞う




 遠藤えんどうの次に常盤ときわとも模擬戦を行ったが、こちらも開始30秒ほどで決着を付けることができた。

 悪いが、俺の勝利である。


「うっわー。広瀬ひろせくん、強すぎるって。さっきの遠藤くんとの模擬戦を見て、私なりに対策を考えたつもりだったんだけど……」


 常盤が悔しそうにしているが、俺も決しておごり高ぶったりはしない。

 常盤がそうしたように、先ほど遠藤と会話した内容を取り入れて、射撃のタイミングなどを工夫したつもりだ。


「黒川教官に比べれば――って、俺みたいなひよっ子が比べるのも失礼か。俺もまだ未熟だよ。」


 空中機動演習の際に見せてもらった黒川教官の空中機動は、はっきり言って訓練生とは別次元だった。

 もはや何機動と呼べば良いのか分からない複雑な動きにより、気が付けば運動場の端から端に移動し、空中から消えたと思ったら目の前の地面に直立していた。

 マジで、黒川教官の空中機動は瞬間移動としか呼べないぞ……


 しかし、そんな黒川教官でも、“黒キ影”との戦闘で右眼を負傷したのだ。

 俺ごときがおごり高ぶっている暇など、どこにもない。






 祈動銃きどうじゅうを用いた模擬戦も、いよいよ最後のペアとなった。

 俺の相手はもちろん、最後に残ったターシャである。


「ふふ、志道しどうくん。お手柔らかにお願いしますね。」

「そんなこと言って、ターシャも空中機動が得意なこと、俺は知っているぞ。」


 俺は少しだけ苦笑いしながら答える。


 訓練生の同期21名のうち、他のやつらには申し訳ないが、空中機動において頭1つか2つくらい飛び出ている訓練生が3人いる。


 俺とターシャ――そして、忌々しいことに神崎かんざきである。


 俺は、ターシャと神崎以外には、余程のことが無い限り負けるつもりは無いが、ターシャと神崎だけはどう転ぶか分からない。

 気を引き締め直してのぞもう。




「では、最後の模擬戦を開始する――」


 黒川教官がホイッスルをくわえた。


 俺とターシャは、お互いに100mほど離れた場所で互いを見つめ合っていた。

 ずいぶんと離れているように感じるが、祈動で加速すれば一瞬である。


 そして、模擬戦開始の合図を待った。






 『ピィィィィ―――!!』


 ホイッスルの音が聞こえた瞬間、最大加速でターシャに接近する。


 だが、向こうも同じ考えだったのか、衝突しそうになり慌てて互いに進路を変える。

 俺は上に、ターシャは下に。


 俺は、位置エネルギーも利用しつつ、下を飛行するターシャにペイント弾の雨を振らすが、ターシャは地面すれすれを飛び、S字機動で全て回避する。




 ――やっぱり、ターシャは別格だ。


 他の訓練生であれば、現在の技量で同じことをすれば、地面に激突して模擬戦は終了していただろう。

 しかしターシャは、地面から1mくらいの位置を保持したまま飛ぶことができている。


 そして、まるで燕返しのように進路を180度変えて、再び俺の方に接近してきた。

 ターシャが持つ祈動銃が光る。


「―――くっ!!」


 今度は俺が地面に向かって飛翔し、ペイント弾を回避する。

 そして、地面を蹴り上げるかのように進路を反転させ、ターシャの真下から射撃を行う。


 しかし――




「嘘だろ!?」


 ターシャは、まるでその場で踊るかのように身体を最小限の動きで移動させ、ペイント弾をかわした。

 それは、まるで蝶が舞うかのような、優雅な動きだった。


 不用意に接近する形となった俺に、ペイント弾のお返しが来る。

 ターシャほど優雅ではないが、俺もその場で宙返り機動を行い、かろうじて射線から逃れることに成功した。

 あと50cmズレていたら直撃していた。


 そして、ここに至って、俺はターシャのさらなる才能に気がつく。


「射撃センス、良すぎだろ……!」


 空中機動は互角か、俺の方がやや上だが、射撃センスは間違いなくターシャの方が上だ。


 俺は、事前に予想していたよりも遥かに難敵であるターシャを前に、ゆっくりと口角を上げた。




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