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航空祈動聯隊、敵ヲ討テ。 〜並行世界の日本は戦争を回避した。でも代わりに、超能力と銃と刀で怪物と戦っている!?〜  作者: 神田川 秋人
第2章 空を仰ぐ雛鳥たち

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第29話 模擬戦




 午前中の祈動(きどう)戦闘訓練では、初めての祈動刀きどうとうを用いた教練きょうれんのため、刀の持ち方や振り方などの基本動作を教わった。


 意外だったのが、訓練生の中には剣術の心得がある者もいたけれど、思ったよりも未経験者と差が出なかったことだ。


 ただ、これについては考えてみれば当然で、俺たち航空祈動士が祈動刀を扱うのは()()になるため、地面に足を着けた状態で振ることを想定している剣術とは、前提から何まで全て異なるのだろう。

 間合いの取り方にしても、2次元移動の地上と、3次元移動の空中では大きく異なる。


 逆に、俺のように剣術の心得が皆無で、先入観抜きに教練に集中できる方が有利かもしれない。

 事実、俺は空中機動が得意なので、必然的に祈動刀の扱いについても手応えを感じることができた。


 これは、幸先さいさきの良いスタートである。






 この日は、午後にも祈動戦闘訓練の教練があり、今度は祈動銃きどうじゅうを用いた教練を行うことになった。


「午後の祈動戦闘訓練では、いよいよ祈動銃の実戦的な取り扱いを想定し、模擬戦形式での教練を行う!」


 黒川教官が訓練生に宣言し、1人1人に祈動銃を配った。

 祈動銃については、既に訓練生全員が基本的な取り扱いを学んでいるため、それぞれ教練で習った通りに銃を保持して待機する。


「いま配った祈動銃は、形や重さは全て本物の祈動銃と同じだが、訓練用のペイント弾を発射できるよう改造されている。本日の教練はこれを用いて、2人1組になって模擬戦を行ってもらう。」


 黒川教官はそう言って、訓練生全員を4人ずつのグループに分けた。

 その4人のグループ内で、総当たり方式で模擬戦をやるらしい。

 俺のグループは、ターシャと常盤ときわの女子2名に、遠藤えんどうという男子訓練生1名の構成となった。






「よし!では、まず1組目の模擬戦を始める。命中箇所に関わらず、ペイント弾が身体に着弾した時点で終了となるから注意せよ!」


 黒川教官が注意事項を述べ、ホイッスルを口にくわえた。

 俺の最初の模擬戦相手は遠藤だ。

 すでに1組目の訓練生全員が、祈動を用いて空中で待機をしている。


「遠藤!よろしく頼むな!」

「こちらこそ。負けねえからな!」


 お互いに挨拶を交わして、教官の合図を待つ。


「では、今から模擬戦を開始する――」


 黒川教官が、ホイッスルに息を吹き込んだ。






 『ピィィィィ―――!!』






 ホイッスルの音が聞こえた瞬間、俺は祈動を用いて弧を描くように飛翔し、遠藤の背後を取るべく機動した。

 それを見た遠藤が慌ててペイント弾を放つが、S字機動を応用した動きで狙いを外させる。


 水平と垂直の2軸をミックスしたS字機動により、視界の中を青空と地面が高速で入れ替わった。

 たぶん、地上から眺めている人にとっては、空中で舞いを披露しているように見えると思う。

 その有機的な動きはやはり進路が読みにくいのか、遠藤の射撃は全て外れ、無事に回避に成功する。


 そして、射撃に夢中で一箇所に留まっている遠藤めがけて、ペイント弾を放つ。

 1発が遠藤の右足の太ももをかすめたが、命中とはいかない。

 やはり、空中機動が得意でも、俺の射撃の腕は未熟なようだ。




「しかし、そこは―――」


 遠藤は、俺からの攻撃を受けて、ようやく自分が一箇所に留まっていることを自覚したのだろう。

 やや焦ったような形で、俺から見て右側に飛翔した。

 遠藤には申し訳ないが、直線的で分かりやすい空中機動である。




「俺の得意な空中機動で――」


 遠藤の姿を右目のはしに捉えた俺は、祈動力を一気に底上げして急加速し、遠藤の進路を塞ぐような形で先回りする。

 遠藤の驚愕した顔が、うっすらと確認できるほどの距離である。




「――カバーしてみせるっ!!」


 あらかじめ構えていた祈動銃の向きを微調整し、遠藤の身体を射線に捉える。

 そして、銃身がぶれないように祈動力を腕力にも振り分けて、引き金を引いた。




「―――くそっ!!」


 遠藤が叫ぶと同時に、運動着の真ん中――腹部にピンク色の液体が付着した。

 今度こそ、誰がどう見ても命中である。


 俺は、悔しがる遠藤に近づいて、そっと肩を叩いた。


「今回は俺の勝ちだな。でも、射撃の腕は遠藤の方が上だと思う。俺も負けないよう、射撃を頑張るよ。」

「ありがとう。しかし、相変わらず広瀬ひろせの空中機動はすげえな!あのS字機動とか、全く進路が分からなかったぞ!」


 そんな感じで、他の模擬戦のペアよりも早く決着がついた俺と遠藤は、余った時間でお互いに気づいた点を共有し合い、技術の向上を目指して会話に花を咲かせた。




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