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航空祈動聯隊、敵ヲ討テ。 〜並行世界の日本は戦争を回避した。でも代わりに、超能力と銃と刀で怪物と戦っている!?〜  作者: 神田川 秋人
第2章 空を仰ぐ雛鳥たち

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第18話 同部屋の相手




 最後に進行役が閉式の辞を述べて、海軍航空祈動(きどう)学校の入校式は終了した。


 来賓の方たちが退出後、俺たちは再び小講堂に集められ、教官から明日以降のスケジュールについて聞かされた。

 明日から早速、講義と訓練が始まるらしい。


「それと最後に。本日の入校式をもって、お前たちは正式に祈動学校の生徒になった。これからは訓練生として扱うので、教官の指導に従い、校則の遵守を忘れるな。」


 教官から念を押される。

 その言葉を聞いて、入校生たち――いや、訓練生たちは気を引き締め直し、この日は解散となった。






 解散後、みんなで男子寮へと戻る。


 俺は、近くを歩いていた訓練生に声をかけ、これからの講義や訓練に関する話をしながら歩いていると、あっと言う間に寮についた。


 「明日から頑張ろうな!」

 「ああ、お互い、立派な航空祈動士になろう。」


 他の訓練生たちとは寮の入口で挨拶をして分かれ、それぞれの部屋へと向かった。


 俺も自分の部屋に向かい、扉を開けて中に入った。

 すると、俺の部屋の相方がすでに到着していた。


 入寮時には会えなかった、その相手を見て驚く。




 ――なんと、()()神崎かんざきだった。


 先ほどの堂々とした答辞を聞いた後なので、思わず背筋が伸びる。

 俺は、答辞を褒める言葉を心の中で用意し、神崎に話しかけた。


「かん―――」


 すると、俺の言葉に被せる形で、神崎が口を開いた。






貴様きさま、あのとき、なぜ手を挙げなかった?」

「―――!?」




 き、貴様きさま!?


 俺は、人生で初めてそのような呼び方をされ、思わず口を閉じてしまった。

 それにあのときって――入校式の前に集まった小講堂で、入校生答辞の立候補者を募ったときの話か。


「――まさか、立候補制だとは思わなかったんだよ。」


 俺は面食らいつつも、かろうじてそう返した。


「受け身だな。」


 神崎に即答される。


 受け身って……確かに、手を挙げるのは遅れたけど。

 そこまで言われるほどか。


「貴様以外の全員は、すぐに手を挙げただろう?なぜか分かるか?」

「………………」


 俺は、答えることができなかった。


「みな、自分の責務を自覚しているからだ。自覚し、その責務を果たそうと、覚悟をもって祈動学校に入校している。」


 答えることができないまま、神崎の言葉だけが、無音の部屋に響き渡った。


「だから皆、全てを成長の機会と捉え、貪欲に吸収しようとする。」


 そう、厳しい言葉を突きつけられる。




「先ほどの答辞。あれは、俺の嘘偽りのない本音ほんねだ。祈動士は、選ばれし存在だ。選ばれたものは、選ばれなかった者たちを――力無き者たちを、守る義務がある。」


 祈動士の、義務……。




「そして、先人たちの――死んでいった者たちの意志を継ぎ、彼ら、彼女らが守りたかったものをまもらなければならない。後を託された者として、その命に報いるためにも。」


 俺は、何も、言い返せない。




「もし、お前が何の義務も覚悟も抱かず、ただ流されるがまま、この場にいるのなら――」


 神崎は、まるでき出しの刀のような、恐ろしいほど研ぎ澄まされた眼差まなざしで、俺のことをじっと見つめている。






「――物見遊山ものみゆさんの客は不要だ。祈動士なんて、辞めてしまえ。」


 そう告げて、神崎は自分の机に向かって歩いていった。




 ――俺のことは、一度も振り返らずに。




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