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航空祈動聯隊、敵ヲ討テ。 〜並行世界の日本は戦争を回避した。でも代わりに、超能力と銃と刀で怪物と戦っている!?〜  作者: 神田川 秋人
第2章 空を仰ぐ雛鳥たち

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第16話 校門を抜けて




「もう!志道しどうくんはいじわるですねっ!もっと違う伝え方とかないんですか!」

「ごめんってターシャ。でも、頭に花を咲かせたまま、入校式に出る訳にはいかないだろ?」

「そうですけど……!」


 むすっとしている彼女と一緒に校門をくぐる。


 校門から祈動きどう学校内に入ると、目の前に校舎が並んでおり、その先に運動場のような広い敷地があった。


 事前に送られてきた入校案内の手紙によると、正午から入校式のため、それまでに学生寮で入寮手続きを行い、荷物を部屋に置いてから午前10時までに小講堂しょうこうどうに集合せよとのことだった。

 学生寮は運動場の左手にあるため、俺とターシャは移動する。


「ターシャは地方出身なのか?」

「いいえ、出身は東京です。牛込うしごめ区ですね。」


 おおっと、都会っ子!


 ちなみに、この世界の東京は()()()特別区が23区ではなく35区もあり、牛込うしごめ区は元の世界の新宿区の一部に相当する。

 なぜそうなっているのか、いまの俺には調べようがない。


「志道くんはどちらですか?」

「俺は横須賀。地元だね。」

「そうなんですね!これは心強いです。外出許可が出るようになったら、ぜひ案内してください!」


 いや、俺も8か月しか暮らしていないから、あまり役に立たんかも……。


 そんな感じで雑談しながら歩いていると、すぐに学生寮に到着した。




 学生寮はもちろん男女別のため、ターシャとは寮の入口で分かれる。


「では、また小講堂で会いましょう。」

「ああ、また後でな!」


 そんな言葉を交わし、俺は男子寮の方へと向かう。


 寮の入口で簡単な入寮手続きを行ったあと、自分の部屋番号を告げられた。


 寮の中に入ってその部屋番号の部屋まで行き、扉を開けて中に入る。

 部屋の中には()()に簡素なベッドと机が設置されており、部屋の入口には2()()()のロッカーが置いてあった。


 そう、2人分――つまりは相部屋である。


 海軍航空祈動連隊では、最小単位として2人の祈動士で分隊を組むのが基本となっているため、学生時代からそれに慣れさせることが目的なのだとか。


 その相部屋の相方であるが、先に入寮手続きを済ませたようで、すでに部屋の中に荷物が運び込まれていた。

 空いている方の机やロッカーに荷物をしまう。


 元の世界を含めて、家族以外の人と暮らすのは初めてのため、期待と不安が半々というのが正直なところだ。


 部屋の相方が良いやつでありますように――


 思わずそう祈りながら、荷解きの終わった部屋のドアをそっと閉めた。






 小講堂は正門の方にあるため、来た道を戻る形になる。

 しばらく歩くと小講堂が見えてきた。


 小講堂はおそらく鉄筋コンクリート造りと思われる立派な建物で、洋風の意匠が採り入れられていた。

 これは、小講堂が来客や賓客を招いた際の式典会場として使われることも想定しているからだろう。


 小講堂に入ると、すでに10名ほどが着席していた。

 流石に私語ができるような雰囲気ではないため、空いている席に座って大人しく待っておく。


 しばらくすると、ターシャも小講堂に入ってきた。

 キョロキョロと周りを見渡していたので、無言で手を振ると、俺に気づいたターシャが嬉しそうに近づいてきて、隣の席に腰を下ろした。


 なんか可愛い。


 そんな邪念を消しながら、じっと待っていると、残りの人も次々と小講堂に入ってきて着席する。


 最終的には21名が席に着いた。


 予想はしていたが、めちゃくちゃ少ない。

 祈動士適性のある人自体が、統計的に人口の2万分の1であり、その中から航空祈動士の適性がある人は5分の1とのことなので、満18歳に限るとだいたいこれくらいなのだろう。


 これからこの21名で2年間、切磋琢磨するわけだ。




 午前10時ちょうどに扉が閉まり、講壇に教官らしき人物が立った。


「諸君。帝国海軍航空祈動学校への入校おめでとう。」


 その言葉に、小講堂に集まった新入生たちは背筋を伸ばす。


「正午から始まる入校式だが、まずは式次第しきしだいを伝える。」


 そう言って、講壇の後ろにある黒板にチョークで文字を書いた。


 そこにはこう書かれていた。




一、国旗掲揚

二、開式の辞

三、国歌斉唱

四、学校長式辞

五、海軍大臣訓示

六、入校生答辞

七、閉式の辞




 少し見慣れない単語もあるが、基本的には元の世界の学校の入学式に似ているようだ。


「これから入校式の練習を行うが、その前にまず、入校生答辞(とうじ)を行う代表者を決める。『我こそは』というものは挙手せよ。」


 え、こういうのって、事前に学校側が決めているんじゃないのか?


 俺が目を白黒させていると、俺以外の全員が一斉に挙手をした。

 隣のターシャですら、真剣な顔をして手を挙げている。


 ――え、みんな積極的過ぎない!?


 俺は慌てて、みんなから遅れて手を挙げる。


 教官は、そんな俺の様子にちらっと目をやったあと、俺の後ろの方に座っている男子学生を指名した。


神崎かんざき、お前に任せる。」

「はっ!その名誉、つつしんでお受けいたします!!」


 神崎と呼ばれた男子学生は勢いよく答えた。


 その後、俺の困惑をよそに、全員で小講堂の机や椅子を整理したあと、入校式に向けて練習を始めた。




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