メルクマール
廃業し、再就職のために活動をしていた。短期のバイトで食いつなぎながら、何社かの面接を受けたが、採用とはならなかった。
遠い親戚の縁故によって、市営の体育施設の管理人になった。常勤ではないものの社会保険にも入ることができた。
来訪者から利用料金を徴収し、団体活動のサークルから提出される申請書を受領する。困った時には事務所の正社員にキラーパスを回せばいいから、責任の重圧はそこにはなかった。
これまでの勤務と違って営業目標もあってないようなもので、淡々と時間が過ぎていく。楽と言えば気楽なものだ。ただ、物足りない。かといって勇んで何かできる地位でもなかった。どちらかを取れば、片方が立たず、給料のためと割り切れば、張り切って業務改善するのも出すぎになってしまう。結局後者に気持ちを切り替えた。また新たなる一歩をいつか踏み出すための執行猶予と思うことにして。




