無垢なる人形の街歩き
美しい中世の街並ここは魔術国家アルセイン、そこを一人の白髪ロングの蒼瞳の美しい、白いローブを来た美女が荷袋を持ちながら歩く、彼女の名前は、フィリア・ルゼル、美しい首には刻印がついている。
彼女は人間ではなく、ホムンクルスという魔術師が作った人形である。
彼女は主の命令で魔術の触媒になる材料と夕飯のための食材を買いに出かけていた。
その道を歩く前にデモを行っている集団がいる。ホムンクルスによって仕事を失った魔力を持たない人間たちだ。
人々の荒い息遣いと、魔力を持たない者たち特有の埃っぽい体臭が混ざる。
怒号と罵声が、まるで獣の鳴き声のように響いていた。
この国では、急激な魔術の発展により生まれたホムンクルスにより、仕事がなくなり失業を余儀なくされた者たちが多く増えている。
フィリアは、ホムンクルスを廃止しろと叫ぶ集団を通り過ぎようとした瞬間、集団ににらまれ捕まってしまった。
集団の男「お〜〜〜こんな所に上級魔術師のホムンクルスがいるよ。随分な御身分だな!!」
集団の女「へ〜〜〜〜美しい顔ね。うらやましい!!」
集団の男の一人がフィリアの胸ぐらを掴みかかる
集団の男「おい!!なんとか言ったらどうだ!!人形野郎!!」
男が激昂しながら言う
フィリア「離してください、命令が遂行できません。」
フィリアは無表情で対応する。
集団の女「命令〜〜じゃ〜〜〜〜、私たちの命令も聞いてよ〜〜死んで!!!ぶっ壊れて!!」
女が笑いながらその言葉を伝えると同時に集団がフィリアを押し倒し、腹を蹴る。
フィリアの腹部に衝撃が走る。しかし彼女の瞳は瞬き一つしない。
「痛み」など、最初からないよう設計されてるためだ。
突然、空気を切り裂くような声が響く。
漆黒の制服に銀色の階級章をつけた魔術治安局の隊員たちが駆け込んできた
魔術治安局の男「貴様ら!!!!何をやっている!!!」
デモ集団が蜘蛛を散らすように逃げる。
魔術治安局の男がフィリアの様子を確認する。
魔術治安局の男「特に大きい損傷はないか、早く行け」
フィリア「はい」
無表情で彼女は命令のため急いで触媒を買いに行く。
彼女は触媒を買い終わり主の元に戻る。戻った先には壮大な館が建っている。
館の玄関に戻ると彼女の主が出迎える。
主「少し遅かったじゃないか?どうした?」
黒く美しいロングの髪に切れ長の美しい紫の瞳、服は黒く美しいローブを着ながらフィリアを出迎える。
彼女の名前はアリシア・クレインという。
この館とフィリアの主であり、国の中でも優秀な魔術師である。
フィリア「マスター、遅くなってしまい申し訳ございません。少し邪魔が入ってしまいまして」
アリシア「どうしたその傷?大丈夫か?」
よく見るとフィリアの肩に傷がついていた。
フィリア「はい、任務の遂行に問題ありません」
アリシア「大丈夫か?今治してやる。」
そう言うと手を肩にかざした。手からは青白い光が流れ、徐々に傷が治っていく。
アリシア「これで問題ないだろう。一体何があった?」
フィリア「街でデモを行っている集団に襲われました。」
アリシア「あ〜あの魔力を持たない無能な連中か、ホムンクルスに八つ当たりしても何が変わるわけでもないのにな。」
フィリア「私は大丈夫です。」
フィリアが笑いながら答えた。彼女は感情持つ人間のように答える。それはそう設計されたためだ、深い関係を築く者にはそのように設計されている。
二人は歩きながら魔術工房に向かう
アリシア「触媒を出して置いといてくれ、後は夕飯も作っておいて欲しい」
フィリア「かしこまりました。マスター、最近忙しそうですが、体調は大丈夫ですか?」
アリシア「あ〜〜大丈夫ではないよ(笑)一部ホムンクルスの暴走や事件が続いてる。術式エラーの調査に、人格や感情を持つ個体の確認……。闇の魔術師達の作る魔物の調査、やることが山積みなんだ。」
アリシアが気だるそうに言う
フィリア「そうなんですね。あまり無理はしないように気をつけてください」
フィリアが慈愛持った人間のように共感する。
アリシア「お前が感情や人格持ったらどうなるんだろうな、少し楽しみだ(笑)」
アリシアは楽しそうに喋る。
フィリア「そんなことはこの先ありえません(笑)私は作業に戻ります。」
フィリアは軽く笑い魔術工房を出て夕飯を作る。