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第8話 承認欲求高めなSNS女子の「映え」の行方

20歳。私の人生は、SNSと「映え」が全て。

毎日のストーリー投稿、フォロワーからの

「いいね!」とコメントが、私のエネルギー源。

どうやったらもっとバズるかな?

どうやったらもっと私を見てもらえるかな?

そんなことばかり考えてる。


ある日、インスタをスクロールしてたら、

衝撃的な広告が飛び込んできた。

それは、キラッキラのラインストーンが

散りばめられた、とびきり可愛いベビードール。

「え、マジこれ!?超映えるじゃん!」

瞬時にフォロワーがドッと増える絵が見えた。


「……やばい、これは"買い"でしょ……!」


でも、ちょっとだけ、冷静な私もいる。

(え、これさすがに、攻めすぎじゃない?

もし炎上したらどうしよう?

でも、この映えは唯一無二……!)

葛藤が、私の頭の中で高速で駆け巡る。

「露出控えめ」とか「品のある」とか、

一応気にしてるフリはしてるけど、

やっぱり「バズりたい」気持ちが勝つ。

これは、私にとっての「映え」への投資だもん。


「……もう、これでフォロワー1万人目指すし!」


ついに、ポチッ。


画面が切り替わった瞬間、心臓がドカーン!

「え、マジで買ったし!」

普段は冷静を装う私も、内心は大興奮。

このドキドキ、やばい、まさに「映え」の予感!


数日後。


ピンポーン♪


「きたっ!」


玄関で受け取ったのは、

新しい映えスポット用の雑貨。

「あざーっす!」と、最高の笑顔で対応。

ドアを閉めて、「これで投稿も完璧じゃん!」

くるくる回る。


午後。


ピンポーン♪


「……っ!!」


今度は胸がドクドクうるさい。

(これ……ついにベビードール…!?)


「はーいっ!」


玄関を開けると、さっきと同じお兄さん。

にっこり。「○○さん、お荷物ですー」

「あ、はい、あざます!」

軽くて小さな箱。なのに、**私の手のひらに、

とてつもない「映えポテンシャル」が

ずっしり乗っかったような気がした。**


部屋に戻った瞬間。


「きゃーーーっ!!」


箱を抱えてぴょんぴょん飛び跳ねる。

ベッドにポスン!ゴロゴロ、

クッションを抱きしめる。


ぺりぺり…カサカサ…。箱を開けると、

ふわっと白いレースと、キラキラのラインストーン。


「……っやばい、想像以上に映えるじゃん!

優勝!」


そっと肩にかけると、冷たいレースがひやっ。

「ひゃっ…」思わず声が出た。


鏡の前でくるり。

「……っ!」

そこにいたのは、今までで一番、

「映える」私!

最高の自撮りアングルを探して、何枚もパシャリ。


ベッドにダイブして、足をバタバタ。

興奮で体中の血が沸騰してるみたい!

このままライブ配信したいくらい!


そのとき――


ピンポーン♪


「…………へ?」


(また宅配!?なにこれマジ!?)


でも、ベビードールと自撮りで気分がハイになってた私。

ふわふわした頭で深く考えずに、

「映え」への情熱のまま玄関へダッシュ!


ガチャッ。


「○○さん、こちらもお荷物ですー」


「あ、ありがとうございますっ♡」


にこにこ受け取って、受領のサインをカキカキ。


その時――


お兄さんの視線が、ふっと下に滑った。


私の肩から胸へ、ひらひらの白いフリルと

キラキラのラインストーンを

一瞬だけ見て、気まずそうにパッと目を逸らす。


(……えっ)


ズクン。心臓が一拍遅れて大きく跳ねる。

「え?今、マジで見たよね……?」

顔が一気にカーッと熱くなる。

冷や汗がドッと噴き出した。

でも、同時に頭の中で、

(え、これ、もしかして……バズるんじゃない?

超リアルなサプライズ体験……?)


「あ、ありがとうございましたっ!!」


どもって頭を下げると、顔から火が出そう。

慌ててドアを閉める。


カチッ。


玄関の鍵が閉まった途端。


「……………………………………やっば……」


ゆっくり自分を見下ろすと、そこには


ひらひら揺れる白いフリルとキラキラ。


「…………………………きゃああああああああああああああああああああっっ!!!」


頭を抱えてバタバタ玄関にしゃがみ込む。


(やばいやばいやばいやばい!!


 私、これ着たまま宅配受け取っちゃったじゃんっっ!!


 お兄さん絶対見た!!絶対気まずそうだった!!


 うわああああああ~~~~っ!!)


部屋に駆け戻って、ベッドにダイブ。

クッションを抱きしめてバフッと顔をうずめる。


「もうやだ~~~~っ♡マジありえない!」


声が裏返って、泣きそうで、でもちょっと笑ってしまう。

恥ずかしい、死にたい、消えたい……!

でも、鏡に映るキラキラのベビードール姿の私が、

やっぱりめちゃくちゃ可愛い。

そして、この「ネタ」のインパクト……。


(……まあ、いっか!誰にも言わないし、

これ、私だけの神コンテンツだし!)


顔を埋めたまま、胸の奥がドキドキ止まらなかった。


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