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千載一遇  作者: ヘリオス
4/6

アピールする女

昔、合コンに参加した時の話です。


IT関係に勤める女の子5人と

我々学生時代の友人5人が居酒屋で

飲んでいました。


自己紹介も済み、徐々にピンポイントを

狙った話に移っていった頃


『休みの日は、何をしてるの?』と

男性陣イケメンNo.1のタケシが

この日、女性陣No.1のミコちゃんに

質問をします。


すると

『お家で料理してる事が多いかな?』と

見た目ハデな85点とは違い


実は家庭的な部分を

さりげなくアピールすると


単純な我々は

『いいね~、料理出来る女の子は家庭的で~』と

まんま、彼女の思うツボの発言をすると


『アタシも料理が得意だよ』

『アタシもだよ』と

70点と65点の女の子も負けじと

女子度をアピールするように

手を上げてきたのです。


そこでミノルが、先に手を上げた

この日3番人気の、 ハナちゃんに

『得意料理って、何なの?』と聞くと


『得意料理?』と聞き返したまま、

固まってしまいました。


『そうだよ?』

『これなら俺らに、

ご馳走出来るってのは何かな?』と

笑顔で聞くと


しばらく考えた後に

『マーボー豆腐』と答えたのです。


それを聞いた瞬間に

『おーー』と、どよめく我々


そしてミノルが

『中国山椒とか、買うの大変でしょ?』と

聞くと


『中国山椒?』と

初めて聞いたアフリカの首都の名前を

聞く時のような顔で、

彼女が聞き返してきます。


それでも助け舟のつもりでミノルが

『そう、中国山椒だよ』と言うと


『ウチ、丸美屋だから』と

彼女は笑顔で答えてきたのでした。


その瞬間、我々の座席を沈黙が支配します。


そこで流れを変える為にミノルが

この日おそらく4番人気の女の子に

『マリちゃんの得意料理は何かな?』と

話を振ったのです。


すると、分かり易いくらいに

動揺した彼女は


同じく、しばらく固まった後に

『たまごかけご飯』と答えたのでした。


それは、もはや料理ではありません。


先の女の子のように突っ込まれたら、

どうしよう?


そう考えた彼女の自暴自棄とも取れる

彼女なりの苦肉の策だったのでしょう。


水を打ったような我々の席で、

その場を和ます為に


『俺の知ってる販売所の卵は

最高で』

『その卵で食べる、

たまごかけご飯は最高だよ』と

私がクチを挟んだのです。


私が車に乗って1時間かけて

買いに行く卵直売所は


私が知る限りでは、

世界最高の卵なんです。


10個で500円ほどと、

普通の店の倍以上の値段はしますが

値段に恥じぬ最高の味わいを

提供してくれます。


その卵は黄身がオレンジで味が濃い

そして常に産みたての卵なので


割り箸で黄身だけをつかんでも

割れる事もありません。


店のおばあちゃん曰わく

『家に帰ったら、卵黄に

爪楊枝を差してごらん?』

『10本位なら割れないから』と

教えてくれました。


早速、帰って爪楊枝を私が刺すと

本当に卵黄に爪楊枝が刺さるのです。


やがて、15本目で崩れましたが

モノ凄い弾力で、見た目だけでなく

味の濃さを兼ね備えた素晴らしい卵


『それと同じような飛びっきりの

卵なんだよね?』と

フォローを兼ねて私が彼女に聞くと


『ううん、近所のイオンの』と

せっかくの私の助け舟を容赦なく

沈没させる発言をしたのでした。


“ダメだ、こいつ”


おそらく男性陣全員が、

そういう顔をしたのでしょう?


それを感じとった彼女が

『でもね、聞いて』

『マリ、たまごの、

白みを飲めるんだよ』と


彼女が言った、そのヒトコト


男性陣が一斉に彼女の

クチを見ました。


“ピカピカ”とグロスのテカリが

眩しい彼女の唇


スゴイ技を持っているかも?


見た目65点の彼女が、

一気にその日の一番人気に

昇格した瞬間だったのです。





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