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千載一遇  作者: ヘリオス
3/6

遠い目をする時

女性と二人で飲んでいる時に


『ヘリオスさんて、なんか子供が、

そのまま大人になったみたいね』と

微笑みながら言われる事が多々あります。


その際に意図してる事は

それぞれなんでしょうが


必ず続けて言われるのが

『イタズラばっかりしてたでしょ?』と

お決まりのセリフ


何故、一発で

見抜かれるのでしょうか?


『図書館とかで、静かに

読書してる姿は想像出来ない?』

そう聞いては、みますが


『ない、ない』と言って

広げた手を、左右に振ります。


そんな時に必ず決まってする話が

あります。


私が小学生の

高学年だった時の話です。


私達が遊んでいた広場の隣に

漫画に出てくるような

“雷親父”が住んでいました。


住んでいた場所が悪いのか?

遊んでいた場所が悪いのか?


遊んでいたボールが

雷親父の庭に入る事が頻繁にあり


『すいませ~ん』

『ボール取らせてくださ~い』と

庭に入っていくと


『コラ~』っと

ものすごい勢いで

私達を追いかけてきます。


事の発端は、

声をかけても反応がない時に

一人の友人が雷親父の盆栽が

入っている植木鉢を

足で、コツっとやってしまったのです。


それを影で見ていた雷親父が発見して

烈火のごとく、追いかけてきた。


それからは、毎日が

戦いの日々が続いたのです。


雷親父の家には、白い紀州犬かな?


ソフトバンクのお父さん犬のような

番犬がいました。


この犬が誰にでも尻尾を振るダメ犬で

私達が入ろうが、何をしようとも

パタパタと尻尾を振って見守っている


そんな犬に勝手に

、“ポチ”と名前をつけて


近所の駄菓子屋で買った、

よっちゃんイカをポチに

食べさせていた時です


『イカなんて、食べさせてー』と

雷親父が激怒して、

私達を怒ったのです。


今でこそ、犬がイカを食べるのが

良くないコトだと知りましたが


当時はヤンチャ盛りの小学生

そんな事などつゆ知らずに


『親父のヤロー』

『ポチと俺達が仲良いのに

ムカついたんだぜ』と


勝手に解釈をして、

逆恨みをしていました。


ならば親父に制裁を与えねばと

私達が立ち上がったのです。


作戦を決行すべく、

音もなく雷親父邸の庭に

侵入した私達3人組


自分に何が起きてるかも判らず

嬉しそうに尻尾を振っているポチ


ゲラゲラと笑い転げる私達の中

作戦は完了を迎えました。


その時です

『コラ~』っと言う雷親父の

怒鳴り声が聞こえました。


そして、ポチに走って近づき


『お前ら~』と言う声と共に

鬼の形相で追いかけてきたのです。


それは、常軌を逸した顔で

逃げ惑う私は生まれて始めて

死の瞬間を覚悟したほどです。


命からがら、逃げ延びた私達は

避難場所へ集合


『殺されると思ったよな?』とか

『親父の足って速かったよな?』と

思い思いの事をクチにした後


親父のその後が気になって

親父の家の前に舞い戻ったのでした。


それは放火魔が自分の起こした

火災現場を見に行く心境

だったかもしれません。


恐る恐る、木の植え込みから

親父の庭を覗くと


『アイツら、

ひでぇ事しやがる』と言って

ポチを洗う、

雷親父の姿がありました。


その横には何も判らずに

尻尾を振るポチ


その白い体の側面には

子供の書いた汚い大きい字で


“ポチ”


と力強く書かれていて


顔には情けなく

垂れ下がった眉毛が

黒インクで書かれていました。


当時、水性と油性の

区別がつかない小学生


家に有った油性ペンを

握りしめて行きました。


その話をする時に、

遠い目をする私に


『今と全然変わってないんだね?』と

呆れ顔を見せる女性


男にはそんな武勇伝が

いくつか有ります。



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