2話
学校に着いて、下駄箱前に張り出されているクラス割り表を見た。
(同じクラスのバスケ部は拓真と純の2人だけか…。
あとはバラバラって感じだなぁ~。)
そんなことを思っていたところで、
他の生徒が続々とクラス割り表の前に集まってきたので、
下駄箱に移動し、靴を履き替えていると、
「青山!!同じA組だったね!!」
とテンション高めな女子の声が、後ろから聞こえてきた。
振り返ると、女子バスケ部の佐野 紗良が、
キラキラした目で立っていた。
「ははっ…朝から元気すぎ。佐野もA組か。1年間宜しくな。」
「こちらこそ宜しくっ!教室まで一緒に行こーよっ!」
「おう。」
佐野が靴を履き替えるのを待ち、一緒に教室に向かう道中
「あれ?青山…背伸びた??部活の時は、気づかなかったけど…」
「今朝、家族にも言われたよ。やっぱ伸びたかな?そうだと嬉しい。」
「やっぱり…。これでまた男子バスケ部との試合形式の練習するとき、
ディフェンス厳しくなるのかぁ~!!」
そう言いながら佐野は口を尖らせた。
「佐野とは、同じポジションだから必然的にマッチするもんな。」
「まぁ、プレースタイルが全然違うから、得るものも多くていいけどねっ♪」
「それは、お互い様だよ。また試合形式の練習があるときは全力で頼む。」
「うん!!」
そんな話をしていたら、あっという間に教室に着いた。
教室の前側のドアから入ると、
『★A組へようこそ 1年間宜しく★』
と黒板にでかでかと書いてあった。
黒板を見て、びっくりしていると、
「おっ!芽生ー!!」
と言って拓真が手招きしていた。
右手を軽く上げ、
「はよ。1年間宜しくな。」
と手招きされた方に近寄りながら言うと、
「芽生。こちらこそ宜しくな。」
と拓真の隣にいた純が言った。
「私も同じクラスだよ!!瀬戸も小澤も宜しくねっ!!」
と俺の後ろに隠れていた佐野が、ひょこっと顔を出して挨拶した。
「おお!!佐野も宜しくな!」と拓真
「佐野、宜しく。」と純がほぼ同時に言った。
「あと佐野、同じクラスだし、バスケでも顔合わすし、
苗字で呼ばれるのはあんまり好きじゃないから、名前呼びでいいよ!」
と拓真が佐野に言った。
「じゃあ、瀬戸のことは拓真って呼ぶね!!」
「あ、俺も小澤じゃなくて、純でOK。」
と純も食い気味で佐野に言った。
「了解。じゃあ、青山のことも芽生って呼ぶから宜しく♪」
キラキラした目で佐野がこちらを見つめてくるので、
「どーぞ。」と軽く微笑んで返した。
すると急に、教室の入り口の方から、
「紗良ーーーっ!!!!」と佐野の名前が呼ばれた。
「あ、呼ばれた!!じゃあ行くね!芽生、拓真、純、またね!」
と早口で言い、
「同じクラスだねー♪」と言いながら、
教室の入り口付近で固まっている、女子の輪に入っていった。
「なんか、2年生始まったって実感してるわ俺…」
と自分の右手を握ったり開いたりするのを見つめながら
しみじみとした表情で拓真が言い始めた。
「その気持ちは何となくわかる。」
と素直に拓真の気持ちに同感した。
「2年は部活と勉強のほかに、色恋も頑張りますか。」
と大きく伸びをしながら純が言った。
「俺もそれ言おうと思った!! 1年生も入ってきてるし、早めに動くぜ!!」
急に顔を上げ、しみじみした表情から明るい表情に変わった拓真が言う。
「芽生もだろ?」
といじわるそうな笑顔で純が話をこちらに振る
「もちろん!」
と明るく返事してすぐに、
「でも、他の奴らにはいうなよ?
2人にはクールぶる必要がないから何でも言えるけど…」
少し不貞腐れた顔でそう言うと、
「困るのはお互い様だから大丈夫だって。」
と純が俺の肩に手をポンッとおいて、安心させようとする声で言った。
その手に自分の手を重ねて、
「さんきゅ。」と笑顔で言った。
(本当に、この2人と同じクラスでよかった。)
そう思っていると、校内放送が響きはじめ
『2年生と3年生の皆さんは、先に体育館への入場をお願い致します。
1年生は担任の先生に誘導してもらい、体育館へ行って下さい。繰り返します…ー』
と放送が入った。
(いよいよ、2年生ライフが始まる…)
ドキドキしながら、拓真と純と体育館に向かったのであった。
次話で出会いますよ~*。