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Tomorrow Hunt (Re:make)  作者: hiro
3/14

面接

そこに仁王のごとく待ち構える男の名はガイダー。


この国にたった10人しかいないと言われているB級ハンターで、こんなところでたかがハンター試験の面接官などやっている男ではない。


いや、ハンター試験は大事だけど、、。


『が、ガイダーさんが面接官、、ってことは他の部屋にもあなたと同じB級ハンターが!?』


『いやいや。B級も暇じゃないからな。今回ここに来てるのは俺だけだ。そんなことより早くそこに座るといい。』


力が上手く入らない足で、なんとか席に着くと空気はさらにピリついた。


『俺からする質問は3つだ。』


これから俺は尋問でもされるのか?

言葉を選ばないと「死」、つまり二度とハンターにはなれない、そんな重圧を感じながら冷静に返答する。


『はい。』


腕から滴り落ちる汗が手の甲に到達し、握りこぶしから零れたそれは制服の白が灰に滲ませた。


あぁ、左手。やっぱりちゃんと治ってるな、感覚が元通りだ。


こんな時にどうでもいいことばかり考えてしまう。相手の目を見て、質問の意味を理解せねば、冷静に冷静に。


『えーと、まずハンターへの志望動機はなんですか』


えっ、


つい3秒前からの落差に拳を弛めかかるが、冷静に言葉を探す。


ハッキリと正直な気持ちを言えばいい、それでいいよな。


『幼い頃に命を救ってくれたハンターがいます。』


『そのハンターの名は?』


『ガイアさんです。』


『、、、』


男はふむ、としばらく考えた結果ゆっくりと口を動かした。


『ハンターガイアは今や伝説の存在だ。』


それもそのはず。なんせ彼は国に一人しかいないAランクハンターなのだから。


『つまり、お前は彼を超えることを目指しているわけだな。』


あれ、敬語は?面接官スイッチが入ったんじゃなかったのか。それにそこまでは言っていない。ただ、俺は彼に恩を返したいだけなんだが。


『まぁいい。これは3つの質問とは関係ないが、俺と対面してお前はどう思った』


なんと答えるのが正解なんだ。ええい、これも正直に言う他あるまい。


『とても大きな存在だと、、』


『まぁそんなとこだろう。お前に俺が越せるか?』


無理だ。


真っ先に不可能の文字が頭を支配した。


できるわけが無い。扉に入った瞬間から今までずっと命を迫られているような感覚を受けているんだ。


魔女と対面していなければ、卒倒していただろう。むしろこの圧はやりすぎだと思うが。


『、、分かりません。』


ようやくの思いで口から出た言葉はなんとも情けないものだった。


セルネを助けるために、強くなるために、この男を来せる存在に俺はならなければならないのに。


去り際にセルネ越しに見えた魔女の本領は恐らくガイダーが支配するこの息苦しい空間の非ではない。


『まぁ当然だな。まぁそんなもんだ。否定しないだけお前には見込みがあるよ。』


『え、あ、ありがとうございます。』


これで良かったのか。しかし頭にある意識を保つための線がギリギリ千切れずに張っているかのようで、まだ気は抜けないがこの苦しい空間に出来た僅かな綻びが冷静さを取り戻させる。


『じゃあ次の質問だ。あなたの能力はなんですか?』


もう驚かないぞ。


『音を操る能力です。』


『音か。音でのし上がったハンターは、、、ソフィーとかがそうだったかな。しかし、少し厳しいな。これまでもそうだったんじゃないか?』


やはりこのレベルの男の音に対する認識もこの程度か。。


『はい。ですが、俺はこの能力によって学園ではチームを学年2位に導きました。』


ライはもちろん間接的なサポートしか出来なかったが、それにより完璧な連携を生むことが出来たのだ。ライの手によって学年2位になった、というのは事実といえば事実である。


『なるほど。だがこれからは1人で戦うことを想定して鍛えるんだな。チームメイトがいなくなった時のことを考えておけ。』


これからハンターを目指すものにとって残酷なその一言は、ライにはオスミウムのように重くのしかかった。


『はい。』


『ちなみに能力の詳細はどんなもんだ』


『音を自分から半径20mまで自由に飛ばしたり、拾ったり出来ます。』


『そうか。音は大体拡張とか、癒しが主流だよな。お前のようなタイプは珍しいかもな。』


そうだ。普通には大きな声で相手にまで情報を教えてしまう音能力者だが、ライのそれは音をそのままの音声で範囲内のあらゆる場所に持っていくことが可能だった。


つまり、普通なら聞こえない小言程度の声を自身の耳元まで持ってきたり、それを味方に伝えたりと、離れていても耳元で囁いているような指示が自由に行える。


これによってライは2位までのし上がったのだ。


『はい。そうかもしれません。』


もう大丈夫だ。


少しずつこの息苦しさにも慣れ始め、回答が流暢に行えるようになったライは落ち着いて言葉を紡ぐ。


『では最後の質問だ。』


、、、、、、


大丈夫?とんでもない、息が出来ているか、ちゃんと座れているか、まず今どこにいるのか、普段感じることの無い疑問が脳を支配しライの視界は酔い潰れたかのようにぼやけ初めた。


男はこれまで、文字通り息をして普通に会話をしていただけだったのだ。


男は両肘を机に着くと握り合わせた拳の上で鋭い眼光と共に言い放った。


『お前の本当の能力はなんだ?』



2話です!


最後敬語じゃないんかーい!

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