作戦2
『おい、そこの裏切り者を捕らえろ。』
『なんでだよ!?俺たちが裏切りなんてするわけねぇじゃねぇですか?!』
『俺はこいつをボスのところまで連行する。てめぇは後で消してやるから首洗って待ってろ。』
『そんな、、』
この日、マッキンとオリフィアはフォーランドに帰還した瞬間上司に裏切りが露見し、持ち帰った荷物と合わせて捕まってしまった。
あの作品会議から5ヶ月後のことである。
………………
『協力はしてもらうが、こちらがあんた達を全面的に信用するには早計だと思わないか。』
『ライ、、そんな言い方しなくても』
『当然ですね。では私たちの本当の能力をお教えしましょう。』
『達!?なんで俺まで!』
オリフィアが反抗的なマッキンをキッとした鋭い目つきでを見つめると男は怯んで了承した。
『ちっ、俺は同時に4人まで能力強化できんだよ。』
『実は私は先程話した電磁波の能力が秘密の能力なんです。この能力は裏ギルドのほとんどの方に知られていますのでこれが信頼に至るか分かりませんが。この能力にマッキンさんの強化をかけてもらってトーラスさんの探知をしました。』
『なるほどな。じゃあマッキンさん、俺とモコモの能力を強化してみてくれないか。あんたの能力がどのように作用するか分からないからな。』
『次はてめぇの能力の秘密を教えるのが筋ってもんじゃねぇのかよ。』
『マッキン、、さん!』
もう最初のとおりに男>女の関係ではなく女<男に逆転してしまっている。
実は今までのが演技だったんじゃないかってくらいオリフィアに頭が上がらないような。
それに、、、何だこの感覚は。
なんとも言えない違和感を抱えつつも、仕方がないので説明を行うことにした。
モコモも黙ってくれてはいるが俺の能力と情報収集の違和感に気づいているようだし、いい機会だ。ただそれでも、
『分かった。俺は能力の範囲を半径20mと言ったが、実は半径50mなんだ。それと、さっきマッキンさんを倒したのは俺が吐き出した大声を他の誰にも触れることなく直接マッキンさんの耳元に届けたからだ。』
俺自身こんな戦い方があったなんて今更気づいたが、かなり使えるんじゃないのか?これ。
『んで、てめぇは?』
『僕は、、隠してた訳じゃないんだけど生物とそれ以外のなんにでも変身できるんだん。』
『そうだったのか?』『えぇ!?』『んだと!?』
『今まで生物以外に変身する機会もなかったからん、、』
『やっぱりモコモは凄いな。』
『凄いなんてレベルじゃないですよ!なんにでも返信出来るってそんなのまるで幻獣じゃないですか!』
『すげぇな。。。』
筋肉ダル、、マッキンさんまでこの驚きよう、確かに変身系といったら自分と同じ体積の生物への変身が妥当レベルだからな。
モコモは体積も関係なし、なんにでも変身出来ると来た。、、確かにすごい、、な、、。
モコモがとんでもない能力を話した以上、俺も嘘をついているのが申し訳なくなってきた、、ただ今更嘘だと言うのも、、。
しめた、とばかりにマッキンを見つめたライは違和感なく自然な流れで話を移した。
『俺たちの能力は話したんだ。マッキンさん強化を頼む。』
『、、やってやるよ。』
マッキンが手のひらを2人にかざすと体の力がみなぎるのを感じ、ライは久々に能力を全解放すると範囲が半径125mくらいになり、『半径100mまで伸びた』と3人にある意味真実を伝えることが出来た。
お次にモコモだが強化能力がかかっても何も変化はなかった。確かに素で強化が入ったようなものだ。これ以上どう強化できるのかも検討がつかないし仕方ないということなのだろうか。
しゅんと凹むモコモを他所にマッキンはライに疑問をぶつけた。
『そういえばお前らはどっかのギルドに入ってんのか?』
『あ、いや。俺たちはギルドに入るつもりは無いんだ。』
ギルドに所属した方が収入的に安定することは間違いないのだが、何分事情が事情だ。情報管理面において隙がないギルドにいてはセルネ救出に向けて動きづらいだろう。
マキア先生はメールでちょくちょく情報を教えてくれるけれど、、、、。裏ギルド討伐依頼書とか、、、って今更だけどいいのだろうか、。
『そうなのですか?でも、それじゃあ尚更なんで2人で行動されてるのでしょうか。、!!、、まさかあなた達も、、』
『まさか???、何か知っているのか?』
『いえ、毎年何組か仲間が行方不明になってしまう方々がいらっしゃるので、、』
通りでマキア先生の対応が慣れていたわけだ。しかし、今年も俺たち以外に仲間を失ったやつがいたのか?これまでの卒業式は問題なく行われていたことを考えると、俺たちは珍しいケースなのか?あぁもう。疑問だらけだ。
『そうだったのか。堕ちたと言ってもやはり名門、情報力はさすがだな。ついでにひとつ聞きたいんだが』
『なんでしょうか?』
『魔女、について何か知っているか?』
自分たちの知らない情報を持ったこの子なら、と期待と疑念の間で質問をする。
『魔女、ですか?申し訳ありませんが私も彼も何も分かりません。』
『あぁ。』
私も、彼も?、自分はともかくマッキンさんに関しても言いきってしまうなんて。
どうやらまだ全面的に信用はしない方が良さそうだな、、。
『それで、先程の事なのですが』
『すまない。なんの事だったか?』
『ギルドに所属するつもりがないお二方には関係の無い話ですが、2人組となってしまった方々のギルドのような寄合がありまして、そこに参加するのだけはお止め下さいとお伝えしたくて。』
『そんな場所があるならむしろ入りたいくらいだが、何故なんだ?』
『はい。そちらのギルド「アーヴェンズ」は裏ギルドでさえ持っている許可証を持っていないため、国にギルドを構えることを許されていないのです。』
『国内じゃないからダメなのか?』
『ギルドは魔物たちからすれば忌むべきハンターの巣窟。国内で機能している加護も、支援も受けられないため常に緊迫状態にあるのです。』
『なぜ国は許可証を下ろさないんだ?』
『最近、国の死者数が増加しているのは知っていますよね。あれはアーヴェンズの方々によって始まったものなんです。』
『!!そうだったのか、、。』
『アーヴェンズの方々はお仲間を助けるといって、無謀にも身の丈に合わない地に赴いて無惨な死を遂げて、そのような方々が後を絶ちません、。ギルドの条件として、死者数が一定数を超えてしまうと認定されないので、それで、。』
『それで頭を冷やしてくれたらいいが、アーヴェンズのハンターは挫けることなく挑み続けているということか。』
『はい。本当にお仲間を助けたいのであれば私は参加はお勧めしません。』
急にこんなハッキリと言い切るなんて少しオリフィアらしくないのじゃないか?付き合いで言ったら砂浜に打上げる波より浅いが。
『情報交換くらいしてみたいものだが、その様子だと他にも理由がありそうだな。』
『、、いえ、、』
すると少女はたじろぎ返答を渋った。
少女を困らせるこの光景はあまり気分がいいものでは無い。それにモコモとマッキンさんの視線も少し痛い。理由は気になるところだが、まぁいいだろう。
『すまない。忠告頭に留めておくよ。』
『はい。』
『話がだいぶズレたな。本題に戻そう。作戦だが、これは長期的なものになる。まずは2人には何事も無かったかのように帰ってもらい、ギルドの下っ端連中の間で噂を広めて欲しいんだ。』
『どんな噂ですか?』
『アジトから少し離れた場所にある無人の廃屋敷で神の声を聞いたってな。』
『神の声、、分かりました。そのために私たちは内部で得た情報を渡せばいいのですね。』
『あぁ、ただその情報はアジトでも廃屋敷でもここでもなく、アジトからこちらに向かう路地でぼそっと呟いてくれ。時間は2日に1回の夕方6時頃。メンバーのどうでもいい情報から重要なものまで、何でもいい。』
『めんどくせぇな。』
『頼む。』
『あーやるよ、やってやるよめんどくせぇがな。』
マッキンは文句を言いつつ乗り気ではある。これは裏ギルドに不満を持つ者が少なからずいるという仮説を裏付けている。
『マッキンさんの芝居にかかってるんだ。ただ、向こうで騒げば分かるように俺の能力で細工をしておいたから、くれぐれも変な気は起こさないでくれ。』
『ちっ、それくらい疑っといた方がいーだろうぜ。』
最後にようやくかっこいいE級ハンターらしいセリフを残して、マッキンとオリフィアはアジトへと帰っていった。
『ライ、そんな細工できるのん?』
『あれはハッタリだ。嘘じゃないとしても、まずアジトの空間内に入った時点で機能しなくなるだろうしな。』
『それなのに言う必要あったのん?』
『向こうも俺の能力を全て信じているわけじゃない、空間能力ないでも作用する能力だと疑っているはずだ。』
『なるほどねん。廃屋敷に声を飛ばして裏ギルドのメンバーをたらし込むのねん。』
『あぁ、そうだ。今のところ順調過ぎて怖いけどな。』
『マッキンさんが協力してくれたおかげで僕が変身して侵入する必要も無くなったしねん。』
ドタバタッ
『ちょっとあんた達!』
『女将さん、どうかしましたか?』
『どうかしました?だって?!ふざけてんじゃないよ!壊れた部屋の弁償きっちりしてもらうからね!』
『、、、モコモ、、懸念が無くなったところ悪いが、、ギルドに侵入して依頼書を取ってきてくれ。。』
設定がわかりづらいでしょうか、
設定表みたいなのを書かなくても簡単に誰でもイメージできるよう頑張ります。
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