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【ウィステリア・ユーレック・レイテッドSIDE】

◆こちらの作品は同名の短編で先に上げたものと同じ内容です◆

◆他のキャラクターのサイドストーリーも書き始めたのでこちらにまとめました◆


◆バッドエンド注意◆

後味悪いです。苦手な方はそっとじお願い致します。

本編のヒロインが鋼メンタルの上、終わった事に拘らない、好きな事にはいくらでも頑張っちゃうタイプ、恋愛なんてしている暇なんか無いよーというキャラだったので、命大事にモードでそんなつもりもないのに間接的にヒロインにダメージを与えていたら、最愛のキャラをとられて(とってない。寧ろキャラがヒロインを口説き落とした)しまったウィステリア側のお話です。


本編でざまぁ成分が足りなかった方もセルフざまぁをご覧ください。

【ウィステリア・ユーレック・レイテッドSIDE】


王妃様主催のティーパーティーに出かける時だった。正門前のアプローチに止めた馬車に乗り込もうとしていた瞬間、突風が私を襲った。

次に目を開けた時、ベッドに寝かされていたけれど、何が起こったかよりも衝撃的な事が頭の中を占めていた。

私、転生してる。


今の私はナイザリア皇国の王の右腕や心臓と呼ばれる引退したレイテッド前公爵の後を継いだ父の一人娘の金髪に紺碧の瞳を持った、ウィステリア・ユーレック・レイテッド5歳だ。前世17歳の高校生だった私は一推しの乙女ゲーム『夢の彼方に〜星の創世〜約束のアルカナ』を歩きながらプレイ中、急に浮遊感と物凄い痛みと衝撃を受けて気付いたらこうなってた。

地震か工事中の穴か、理由は知らないけど、5年間の記憶と合わせれば【約束のアルカナ】の世界に転生している。


「そうだ!ミアラス!」


慌ててベッドから起きようとすると、周囲には父や母、医者やメイド達が居て「寝ていて下さい」等声を掛けられた。


「ウィス、みんないるから大丈夫だ。何か気になる事でもあるのか?」

「お父様、私が連れていかれた所に銀髪の男の子がいなかった?」

「ああ、いたぞ。怪我をして気絶していたから保護している」

「あの子、私の事助けてくれようとしたの。優しくしてあげて」

「わかった。さ、薬を飲んでもう少し休みなさい」


やっぱり私はウィステリアなんだ。今はゲームの始まる前の状態で、私の推しキャラのミアラスと出会った所。

シナリオ通りなら、私にはバッドエンドしかない。スタートになるナイザリア学園入学まで出来る事って何かしら。

何でヒロインに転生できなかったのかしら!悔しい思いの中、私は眠りについた。


ーーーーーー


私が一番最初にやったのは、ヒロインの攻略ルートによってウィスがどうなるかの書き出しだった。可愛らしいノートを開くと、私が描いたお絵かき。家族や従者に見せて「ウィスは天才だな」とか「お嬢様は何をやってもすばらしいですね」なんて言われて、自分が天才で秀才で最高のレディだと思っていたけど、ただの普通の幼児の絵。

このノートに書けば、開くたび我がままで何でも出来ると思っていた私を思い出すから、これからバッドエンドを回避する為のおまじないみたいな気持ちで選んだ。


書き終わってかなり詳しく覚えている事にちょっとだけ安心する。ヒロインとウィスの大きな違いは、ヒロインは行動によって最低一年最大三年でエンドを迎える。ウィスの行動はゲームや攻略サイトに詳しく載っていないけど、どの攻略対象ともヒロインより早く出会える。良いイメージになる様にしたい。

それと、ゲームでは第一皇子の婚約者だけど、どのエンドでも第一皇子はウィスを嫌うから婚約しないでいたい。出来れば誰とも。

私はちょっと考えて、お爺様の部屋に向かった。


ーーーーーー


「お爺様、ウィステリアです。元気になったのでご挨拶に来ました」

「よく来たな。お前達、茶を用意しろ。ウィス、じじの隣に座ってくれるか?もっとクッションを持って来い!」


レイデッド前公爵は戦場で怪我をして引退しているけど、頭はしっかりしていて孫のウィスにベタベタに甘い。公爵夫妻も大甘だから、ウィスの周りには甘やかして褒める人しかいない。前世の記憶が無かったら調子に乗ってたんだろうな。


「もう体は大丈夫か?怖くないか?悪いやつはじじがやっつけたからな」

「ありがとう、お爺様」

「ん?本当に大丈夫か?お爺様なんていつも言わないのに」


貴族らしい言葉使いをしたつもりだったけど、失敗だったみたい。前公爵はウィスとじじって言ってるからその方が良いかも。

ちょっと意識してみると、5歳のウィステリアも自分の中に感じる事が出来る。うん、調節して話そう。


「ええと、お母様に聞いたの、ウィスも王妃様のお茶会に呼ばれるって。だからちゃんとお名前言えないといけないかなと思って」

「偉いぞ!でもじじの可愛いウィスが急にお姉さんになってしまうのは悲しいのう」

「大丈夫よ、ウィスは何があってもじじのウィスだもん」

「おうおう、ウィスはじじの宝物だ」

「それでね、ウィスじじにお願いがあるの」

「何でも聞いてやるぞ」


ウィスは幼い頃に反レイテッド家の貴族達から誘拐未遂にあって、より過保護に育てられる。

実行犯のゴロツキが使った馬車は王都にやって来たミアラス家族が乗っていたのもので、強奪された時に座席の下に隠れていたミアラス以外は殺される。保護者を失ったミアラスはウィスの侍従になる設定。

この誘拐を理由に王妃様のお茶会に出たくないとお爺様にお願いした。


「誘拐が怖かったから「皇子様達の婚約者を決める」ってお母様に聞いたお茶会はお休みしたいの。まだ怖くて婚約なんか出来ない」


お爺様は暫く考え込んでから「わかった」と頷いてくれた。

なのに後から、公爵令嬢なのだから王妃様のお茶会には出ないと今後に差し障る、どうしても出席だけはしないとダメだって言われた。その代わり護衛として一緒にお茶会に出られる家族をつけてくれる約束をした。


ーーーーーー


紹介されたのは従兄のハイドレン・アウイン伯爵令息だった。いわゆる攻略対象の一人で、元々一人娘の私が皇子の婚約者に決まったら、養子にして後継にする予定だったらしい。設定集だと【ウィステリアの従兄。レイテッド家の養子。青い髪・青い目】位しか書いてなかったけど、ちゃんと事情があるのね。

ハイドレンエンドでは、ヒロインと隣国に逃げる時にレイテッド家の不正の証拠を逃げた先の王家に提出して、政治取引も含めて子爵の地位を貰って保護されるっていう裏切りをする。ゲームでは我儘で従者扱いで命令してくるウィステリアが大嫌いで、優しくて家庭的なヒロインを好きになるんだけど、私が我儘や命令をしなければ妹として仲良くなってくれるかも。

家庭的と言えば、私はお菓子作りが得意だった。体は小さくなってるし、ウィスとして慣れていない動きはぎこちない。シェフやキッチンメイドを心配させながら、何とかクッキーを焼いた。

ハウスキーパーと可愛くラッピングしたクッキーは家族に一袋づつと、レンが初めて家に来た日に「お兄様よろしくね」と渡し、ミアラスにも「お友達になってね」と渡した。


王妃様のお茶会には、予定通りレンについてきて貰った。最初に一人ずつ王妃様に挨拶をするんだけど、他の令嬢は王妃様とちょっとしたやりとりがあったけど、約束通りお爺様が先に話してくれてたらしく「レイテッド公爵から話は聞いていますよ。今日は兄妹で楽しんでね」と一言で終わった。

せっかくなので、レンと一緒にケーキを食べていると「私の声掛けを待たない令嬢も珍しいな?名前を伺っても?」とリューカ第一皇子がやって来た。やだ、これってゲームの強制力みたいなやつ?でも絶対婚約者にはならない!みんなの前で断罪されて、国で一番厳しい修道院に閉じ込められるなんて絶対にやだ!

それでも椅子から立って、カーテシーをする。


「ウィステリア・ユーレック・レイテッドです。隣は義兄のハイドレンです」

「初めましてウィステリア嬢。レイテッドの爺さんの宝物って聞いてるよ。私はリューカ・オーソクレーズ・ナイザリアだ」


知ってる。今は笑顔の美しい金髪に瑠璃色の目の正統派王子様が最後に冷たい表情で、ウィスを断罪するんだから。

リューをたくさんの令嬢が遠巻きに見ているんだけど、こっちに来て代わりに相手してくれないかな。


「リューカ殿下、申し訳ありません。義妹いもうとは先日恐ろしい目に遭いまして、本日は王妃様にご挨拶をして帰るつもりでした。義妹が緊張して疲れた様子だったので少し休んでからと座っておりましたので、これで失礼させていただけますでしょうか」

「そうなのか。その割には美味しそうにケーキを食べていた様だけど」

「王妃様のお茶会ですので、義妹も普段食べる物より美味しいと喜んでおります」

「ふーん、レイテッド家なら王家と同じ物を食べられると思うけどね」


これで二人とも7歳なんだから貴族って凄い。取り敢えず巻き込まれたくないので手元に視線を落として黙っていると、ぱたぱたと勢いのある足音が近づいて来た。リューと同じ髪と目の色を持つ、私と同じ5歳の王子様。


「リュー兄さん、こんなとこで何してるの?」

「トル、ウィステリア・ユーレック・レイテッド公爵令嬢と義兄のハイドレン卿だ」

「へー、レイテッド爺ちゃんの孫だね。僕はトリカだよ、仲良くしてね」


リューの紹介に合わせて再度立ち上がり、トルに向かってカーテシーをした。リューがまた座るようにと手振りしたけど、私はレンを見て首を振った。レンが小さく頷く。


「両殿下、義妹が限界なので本日はこれで失礼させていただきます。王妃様には先にご挨拶のみとお許しを頂いていおりますので、また登城した際に改めてご挨拶致します」

「えー、僕まだお話してないよ」

「トル、無理を言ってはいけないよ。お母様がお許しになっているんだから」

「つまんないの。ういすてりあはお人形さんみたいで可愛いね。また遊びに来てね、次はいっぱい話そうね」


優しく微笑むリューと、天真爛漫にニコニコしたトルと別れて、私とレンは王妃様に辞去をして帰った。緊張が解けたら熱が出た。


ーーーーーー


王城から戻って、発熱でぐったりした私を見てお爺様がレンを怒鳴りつけた。必死で「お義兄様は皇子様二人を相手に長居するのを断ってくれた。お爺様が私の為にお義兄様をつけてくれなかったらどうしていいかわからなかった。お爺様が怒鳴ると怖くて眠れないから止めて」と頼むと、ちょっと不機嫌な顔をしながらも「ハイドレンよくやった」と怒るのをやめてくれた。


お爺様はミアラスに武術と侍従の仕事を覚えるように手配した。ミアラスの親は地方の街でやっていた店を王都に移す為、家族全員で来ていたので、戻る場所もいく場所も無い。「ちゃんと仕事が出来る様になったらウィスの家来にしてやるからな」とお爺様。かなり大変みたいで見かける度に声を掛けたり、作ったお菓子を渡したりしていたら、小さく笑って「ありがとうございます」と返してくれる様になった。

隠しキャラのミアラスエンドはヒロインと二人で王都を出て田舎の街で暮らし始める。ウィスは自分の従者を奪われた事を恨んで、ヒロインを殺してミアラスを取り戻す為に、暗殺者を使うんだけど王家にバレてしまってレイテッド家の弱みになってしまうらしい。原因のウィスは王家から隣国の高齢の王へ妾妃として差し出される。ジジイの嫁とか絶対やだ。


出来るだけ家から出たくないので、ケーキやクッキーを何回も作っている。最初は危険だからと調理器具を取り上げようとしたり、代わりに作ろうとしてたキッチンメイド達も、気をつけながらも手伝ってくれるようになった。手間がかかる作業をやってくれるから色々なお菓子が作れるようになった。特にタルトタタンやミルクレープはお母様に好評で、貴族夫人を呼んだ王妃様のお茶会に持って行った所、大絶賛されたらしい。

いつも必ず一番良く出来たものを「感想を聞かせて」とミアラスに渡した。ほんのり笑ってくれる。好き。大好きすぎる。


気が付けばほぼ引きこもり状態で7歳になっていた。

お母様のお茶会や手土産用のお菓子をずっと作り続た結果、王妃様からお城のお茶会用にちょっと変わったお菓子を作って欲しいと頼まれて、ゼリーやアイスクリームケーキをお城の厨房で作る事になった。ゼリーに使うゼラチンは動物の骨を煮詰めて作るってお菓子の本で読んだけど、厨房の端っこで一生懸命骨を煮たり、水を入れて濾したり色々大変そうだった。

レイテッド家のタウンハウスでアイスクリームケーキを作って、氷結魔法で冷やして運ぼうと思ったんだけど「もし溶けちゃったら困るから」と王妃様直々にお願いされたのでこうなった。シフォンケーキのメレンゲや、生クリームの泡立てや、アイスクリームに空気を含ませるみたいな大変な仕事を王宮厨房のキッチンメイドさんがやってくれる。


シフォンケーキとチョコレートシフォンケーキも一緒に、会場の広間に運んでいくと王妃様以外に、皇子達や宰相とその令息で攻略対象の白髪青目のジェダル・シェラトン・カレリスもいた。

カーテシーで挨拶をしたのち、ジャムで飾りマシュマロを入れたアイスケーキを王妃様の前で披露した。


「まあ美味しそう、ウィステリアちゃんみたいな小さくて可愛らしいお嬢さんが、こんなお菓子を作れるなんて、ねえ、リュー、トル、凄いわね。ウィステリアちゃん、息子達も貴女のお菓子のファンなのよ」


リューとトルが近寄って来たので、後ろにいたレンとミアラスの影に隠れる。


「あらあら、二人ともウィステリアちゃんに無理させちゃダメよ。私がお願いして作りに来てもらったのだから」

「では離れたままで、ようこそレイテッド嬢、出来れば作り方を知りたかったのだけれど、どうだろうか?」

「僕も知りたいな」

「ウィス、説明出来そう?」

「れ、レシピを書きます」

「王妃様、私の妻も作り方を気にしておりました」

「そうね、ねえ、ウィステリアちゃん、よかったら今度城の大広間に簡易の厨房を作るからそこで作る所から見せてくれないかしら?きっとパーティーに来たお客様みんな大喜びするわ。レイテッド公爵に許可をお願いしてもいいかしら」


皇子達にまともに挨拶出来ず、王妃様にここまで言われてしまったら頷くしかない。お爺様が断ってくれればいいのだけど。

結局、お爺様は作るところを見せるだけという王妃様のお願いを受ける様にと言って来た。

お城の大広間で上手く作れる様に、オーブン、コンロ、泡立て器を魔力入りの宝石、魔石を使った魔道具を開発した。アイデアは私。レンとミアラスが形にしてくれた。

パーティーは大成功だった。料理用の魔道具の事も色々聞かれたけど、レンに説明して貰った。

それ以来、王子達とジルがレンを尋ねるという名目で午後のお茶の時間に顔を出す様になった。そのうちリューの近衛騎士候補のアッシュブロンドに赤目の騎士見習いヴェザン・アルフェカも合流した。

お爺様達大人は、今後の為に積極的に付き合うべきと大歓迎で、私もお菓子を出しながら、ぽつぽつと会話する様になっていき、お互いを愛称で呼び合う様になっていった。せっかくいつでも部屋に逃げ込める状態なのだから、ウィスが悪役令嬢じゃない事をわかってもらう為に頑張らないとね。


私が8歳になった時、ミアラスが私の専属侍従になった。思い切ってピンク色の髪の女の子に怖い目に合わされる夢を何回も見ると言って、外に出られない私の代わりに街にいるはずのヒロイン、リアン・ルトールを探しに行ってもらった。目立つピンクの髪なのでどこに住んでいたかはわかったけど、今どこにいるかわからない。レイテッド家の力を使えば直ぐなんだけど、大事になるのは困る。理由を聞かれてもはっきり答えられないから。


ーーーーーー


「可愛いウィス、もう10歳になったのだから、婚約者を決めないといけないのう。実は5歳の時から、王から直々に皇子のどちらかとの婚約を打診されておる。あの事件があったから決めきれなくてな、最近はよくお二人と会っておるだろう?ウィスの希望があればきこう」

「ええと、私はずっとじじの側に居たいです」

「その言葉は本当に嬉しいんだが、先にじじも父さん母さんも先にいなくなってしまうからの。どうしても嫁に出たくないならハイドレンと結婚して公爵としての仕事は全部任せて家で大切にされるという道もあるぞ」

「レン義兄さんは家族にしか思えないの」


私が結婚したいのは推しのミアラス。でも平民出身の侍従となんて絶対に許可されない。それに婚約者をリアンが攻略してしまったら?もし逆ハールートが成立してしまったら?逃げ道がどこにも無くなってしまう。

私が黙っていると、お爺様は呆れた様にため息をついた。


「仕方が無いのう。もう少しだけ待つが、他の令嬢と婚約してしまうかも知れないぞ」

「それでも構いません」


何とか切り抜けた。

その後、やって来る攻略対象達が、花や手紙を送って来たり、一人で訪ねて来たりする様になった。レンやミアラスが付いていてくれるものの、手を取られる事もある。みんな優しいし私が嫌がれば直ぐやめてくれるけど、すごく疲れてしまう。

私の考えた魔道具は商品となって、レイテッド家の持っている商会で売り出されている。お菓子だけでなく菓子パンやラスクなんかも作って、ベーカリーやカフェを展開した。オーナーは私になっているらしく将来も安定して収入が見込めるとお爺様が喜んでいた。


14歳の時、ついにリアンがライアット男爵の家にいるとわかった。早速仲良くなろうと思って、男爵令嬢をお茶に招待したら緑の髪に鳶色の目のモブ、リアンの義姉メリーナがやって来た。リアンは貴族の礼儀を知らないから連れて来れないと言って、色々話しかけて来るんだけど、我儘でプライドが高くて自慢が多くて仲良くなれそうも無い。その後も妹であるリアンも一緒にと誘っても、具合が悪いとか出かけてるとかで結局会えなかった。


ーーーーーー


ナイザリア学園の入寮日。リアンがリューと出会うイベントの日。誰よりも先にリアンに会おうと思って寮の門を入った所で私に日傘を差し掛けてくれるレンと待っていた。


「ウィス、こんな所にずっと立っていたら倒れてしまうよ」

「だって、平民出身なのに、成績が第二位のルトール嬢と会ってみたいんだもの」

「平民と付き合うのは難しいと思うよ」

「学園では身分で差別してはいけないのでしょう?きっと素敵な女の子よ」


仲良くなって、私が酷い目に遭わない様にお願いしたい。そう思ってたのに、リアンは全然姿を見せない。少ししてから周辺を見て来ますと離れていったミアラスが、もう部屋に入っていると報告して来た。

どうやって見つからないで入ったのかしら?会った事も無い方の部屋に押しかける訳にはいかないし、仕方がないので入学式を待つ事にしましょう。


ーーーーーー


入学式も講堂の前で待っていたら、皇子達やジルとウェズが来て入学祝いの言葉をいただいた。お話ししながらピンク色の頭を探すけれど見つからない。


「ウィスもそろそろ婚約者を決めた方がいいと思うが」

「私は結婚がまだ怖くてお爺様に全部断っていただいているんです」

「でも、僕達はあまり怖くないんでしょ?」

「そうですが、結婚となると何が起きるかわからないので…」

「ウィスはみんなの大切なお姫様だから」

「何があっても俺達が守るよ」


みんなが優しく微笑んでくれる。良かった、今のところみんなと仲良く出来ている。

リューに促されて講堂にエスコートされた。新入生主席として一番前の席に座る。主席の挨拶を壇上でした時に会場を見回すと、一番後ろにピンク色の髪が見えた。式が終わって立ち上がった時には既にピンク色は消えていた。

どうして攻略対象者達と接触して来ないの?


ーーーーーー


同じクラスになったリアンと仲良くなろうとしても全然うまくいかない。授業時間以外席にいない。ペアで参加する授業も断られるし、食堂で声を掛けても聞こえなかったみたいで、その後食堂自体に来なくなってしまった。

リアンを見張っていたミアラスの話だと、義姉のメリーナや下級貴族の令嬢に嫌がらせをされて、お弁当もあちこちで食べているらしい。ミアラスを通じて一緒に食べないかと誘っても、上位貴族と一緒にいるだけで生意気と言われるし休み時間は勉強にあてたいと断られてしまった。

お茶会に誘っても、図書館で仕事を始めたから無理と返ってくるし、図書館に様子を見に行っても関係者専用の部屋から出て来ない。

もしかして避けられてる?いじめられてるから同じ貴族の私の事も怖がってる?可哀想なリアンを助けてあげて、仲良くしてあげようと思う。


「ルトール嬢、お時間よろしいかしら?」

「何でしょうか、レイテッド様」


入学して半年過ぎ、やっとリアンを捕まえる事が出来た。

明るくて素直で純真というヒロインのイメージと全然違う。「勉強が忙しくて時間が無い。平民だから貴族の友達には慣れない」を繰り返す。苦労しているリアンの為に、皆んなが考えてくれた楽な仕事を全部断る。一番喜ぶ筈のレイテッド家へ養女に入る話も断って来る。

おかしいわよね?いじめられて貧乏で苦労して、アクセサリーの一つも持ってなくて、適当な食事してて、不幸なのに全部断ってくるなんて。

トルが怒っても平然としているし、今までのヒロインらしくない行動から私は一つの可能性を口に出した。


「リアン嬢、最後に一つ質問させていただけるかしら?」

「はい?」

「転生者ってわかるかしら?」

「テイセンショ?ですか?存じ上げませんが?何か新しい書物でしょうか?」

「では約束のアルカナは?」

「ええと、先の言葉も存じませんが、そちらも書物関係ですか?国立図書館に半年程通っておりますが、該当の図書や資料は無いかと思います。私の勉強不足で知らないだけの可能性もありますので、ナクレイ先生に聞いてみます。それともレイテッド様が直接お問い合わせなさいますか?」


反応からは転生者かどうかわからない。知っていて誤魔化しているのか、本当に知らなくてゲームと現実が違うだけなのか。

リアンは確実に頭が良い。転生者なら私より年上だと思う。図書館の本を専門的な方法で直したり、難しい研究をしてて宮廷魔術師で国王の従弟でもあるナクレイ侯爵のお気に入り。

もしかするとギリギリまで私を安心させておいて、一気に全員攻略とかして来るかも…。

不安な気持ちと暗い表情の私を皆んなが気にしてくれてたけど、私の気持ちは落ち着かないまま。

リアンを送らせたミアラスから「ルトール嬢は大変だけれど研究が楽しく現状に満足されているそうです」と報告があった。

公爵家に来れば探りを入れなくても済むのに。ゲームシナリオが怖いから見張って欲しいなんて家族には言えないし、信用も見張りも出来る人がミアラスしかいないから、推しキャラをヒロインに近づけている現状も気に入らない。

リアンを幸せにして私も幸せになりたいのに、どうして言う事を聞いてくれないの?平民から見た公爵って怖いのかな?


ーーーーーー


リアンが武術大会に出て来てびっくりした。

私は皇子たちと貴賓席にいた。未だに誰とも婚約していない事を王妃様に心配されたけど、卒業までゆっくり考えたいと答えていたら、リアンが武器も持たないで出場して準決勝まで勝ち進んでいる。ヒロインチートってやつかしら。

結局魔力切れで棄権したけれど、王様も感心されていた。負けたレンと目の前で棄権されたウェズが不満そう。騎士の戦い方と全く違うからでは?とジルが宥めていた。

みんなはリアンの事を「女らしく無い」「卑怯だ」「平民だから目立たないと行けないと勘違いしてるんじゃ無いのか」と言っている。みんなの申し出を断ったから、イメージも最悪っぽいけど王様や王妃様やナクレイ先生みたいな実力者からは褒められてばかり。ここから逆転だって難しく無いわ。


ーーーーーー

冬休み、卒業式の打ち合わせをする生徒会室に向かって一人で階段を登っている。

とっても美味しい紅茶の葉をお母様からいただいたので、先に行ってケーキと一緒に準備してみんなを喜ばせたい。

どんっ!

一瞬、体に衝撃が走ったと思ったら、階段を落ちたらしく、ウェズに抱えられていた。ちょっとあちこち痛い。


「あの女だ!ピンクの髪が見えた!」

「ヴェザン、ハイドレン、リアン・ルトールを捕らえよ!私の近衛騎士は全員ついて行け!」

「僕の近衛兵は残ってついて来て。兄さん早く救護室に!」


勘違いだと思ったけれど、みんなピンク色の髪が覗いていたと言う。私は擦り傷だったし、リアンを見ていない。

でも、リアンに落とされた?あんなに頭が良さそうな彼女がこんな事をするかしら?それとも、あえて堂々と私を襲って一気にみんなとの距離を縮めるつもり?

騎士団やレイテッド家の侍従が調査をしたけれど、犯人がはっきりしないままリュー達の卒業式を迎えた。式が終わりパーティーに移るタイミングでリューが生徒達を引き留めた。


「ルトール嬢には、レイテッド公爵令嬢に対する無礼な態度や、危害を加えた疑いがあり、このまま学園に置いておく訳にはいかないと言うのが生徒会の結論だ。優秀な成績を収めていて勿体無いとは思うが、退学処分とさせてもらう。来年度からは文官としての仕事を国から与えるように考えよう。わかったな?」


私は必死に止めた。このままだと陛下からの命令で、リアンが私の知らない所に行ってしまう!

ミアラスがいつの間にか消えていた。リアンを止めに行ったのね。少しだけ安心して、リュー達にエスコートされて卒業パーティーに出た。

そこでみんなに婚約者になって欲しいとプロポーズされた。え?何で?何で悪役令嬢の私が逆ハーになってるの?

訳がわからないまま、まともに返事も出来ず倒れてしまった。

気がつけば自室のベッドに寝かされていた。レンにミアラスとリアンの事を聞くと眉根を寄せて「お爺様に聞いてくれ」と言われた。


「ミアラスはレイテッド家を出た」

「どうして⁈」

「あいつはこっそり隣国のサザンアルトで準男爵を叙爵されておった。知り合いと商会を作って大成功したそうだ」

「お爺様直ぐに連れ戻して!ミアラスは私の専属侍従でしょ!」

「無理だ。男爵とはいえ隣国の貴族だし、我が家があいつの親の財産を盗んだ事になっておる。あいつはその証拠を持っておって、返さなくて良いから辞職させろと言いおった!あんな恩知らず知らん!」

「財産を盗んだってどういう事?」

「ウィス、あいつを保護した時、あいつの親名義の財産があったのだ。預かっていたのだがいつの間にが我が家の財産と一緒になっておって、そのままになっていた」


それじゃあ私はミアラスにとって泥棒の仲間じゃない!

誤解も解きたいからレンに連れ戻してと頼んでもお爺様やお父様の許しが無いから無理としか言わない。

悩んでいたら王妃様からお母様と一緒に遊びに来る様にと招待を受けた。


「ウィステリアちゃん、息子達に卒業まで待ってと言ってたみたいだけれどタイムリミットよ。リューとトル、どちらかと婚約してくれるかしら?」

「ウィス、お返事なさい」

「……。」

「ねえ、ウィステリアちゃん、貴女はとても素晴らしいお嬢さんだと思うけれど、王妃としては貴女がこのままだととても困ってしまうのよ」

「妃殿下!娘は決して悪い事は…」

「わかっているわ。皆んなが好きで嫌われたくないのよね。でも、そんな令嬢は王妃にはなれないわ。王を補佐し必要に応じて厳しい処断を代わりに行う、それが出来無いと無理よ。息子達どちらかと結婚したいのなら愛妾として受け入れるわ」

「そんなっ!嫌です!私には好きな人が!」

「そうなの。カレリス?アルフェカ?それとも義兄?」

「違っ!」

「ウィス!あの妃殿下、娘はまだ子供でとても優しい子で」

「そうね、でも公爵令嬢で16歳なら言い訳にならないわ。ウィステリアちゃん、これからはレイテッド家に家庭教師を送るから家で学習して頂戴。王命か私の招待がなければ登城も遠慮してくれる?貴女に魅力がありすぎて、次代を支える人材が多数婚約を拒否しているのよ」

「え?」

「レイテッド夫人、ウィステリアちゃんを罰するつもりも責めてもいないわ。私も反省しているの。皇子達の好きにさせすぎたもの。ただ、ちゃんと落ち着くまでタウンハウスか領地の屋敷から出ないで欲しいの。そうね、他国に旅行に行くなら止めないわ。だた挨拶は無しでお願いするわね」


私とお母様が家に帰ると、お爺様にレン義兄さんと婚約する様にと命令された。泣いても、怒っても、懇願してもダメだった。レン義兄さんに断ってとお願いしても悲しい顔で「私はウィスを愛しているし、お爺様の命令には逆らえないよ」と答えられた。

とにかくミアラスに会わなくちゃ。そうよ!ミアラスはサザンアルトで叙爵されたんだから、きっと私を待っていてくれている筈!

レン義兄さんに頼んでサザンアルトに行きたいと頼むと、ミアラスのお店に手紙を書いてくれた。返事が来て直ぐ、義兄さんとサザンアルトに向かった。


ーーーーーー


何でお店の名前がルトール商会なの?

私の疑問に、義兄さんは「本人から聞くといい」と言って私達は応接室に通された。そこにはミアラスとリアンが並んでソファに座っていた。


「遠い道のりをようこそいらっしゃいました。本日はどの様な御用でしょうか?こちらにはレイテッド家の商会と取引出来る商品はございませんが…」

「ミアラス!帰りましょう!帰って私と結婚して!」

「レイテッド公爵令嬢、私はリアンと結婚しております。他にご用が無いのでしたら大変申し訳ないのですがお話はここまでに」

「何でよ⁈何でリアンなのよ!私の事を大切にしてくれていたでしょう?」

「以前はレイテッド嬢にお仕えしておりましたから。よくしていただいた事は感謝しております」

「だったら」

「しかし、今は準男爵といえどサザンアルトで叙爵され国籍もいただいております。許可をいただきレイテッド家も離れております」

「で、でも、リアンと結婚したのは同情じゃ無いの?」

「レイテッド嬢、妻を呼び捨てにしないでいただけますか?私が願って妻になって貰った一番大切な女性です。今はリアン・アルスハイム準男爵夫人です。しかも現在の妻はサザンアルトの国立図書館で、稀覯本や古文書などを補修や解読し、陛下からも目を掛けられ褒賞も約束されております」

「嘘よ!リアンがヒロインだから、みんな騙されているのよ!やっぱりリアンは転生者で、私がミアラスを愛しているのを知って攻略したんでしょ!返してよ!」

「ミアラス、私からレイテッド嬢にお話しするわ」

「でもレイテッド嬢の言葉はあまりにも酷いし、私の気持ちを無視している」

「私にご不満があるのだから一度説明させて。レイテッド嬢、一度お聞きになりましたよね『転生者か』と」

「やっぱりわかってたんじゃない!悪役令嬢に転生した私がどれだけ怖かったかわかる?貴女を助けて私も助けて貰おうと思ってたのに、全部断って!」

「転生者だから何なのですか?」

「え?」

「確かに私には前世の記憶があります。レイテッド嬢は古文学をご存知ですか?古い文、散文等を研究する学問です。私の夢はその研究を続ける事。それをナイザリアで実現する為に頑張っておりました。どこに転生しても、誰に転生しても、結局古文学を研究する為の努力をしていた筈です。ゲームシナリオの生活をする必要はありません」

「だって、バッドエンドになったら困るでしょ?」

「夢を叶えられない事はバッドエンドと同じです、実際シナリオ通りで無くても問題はありませんでした。レイテッド嬢も断罪されておられませんよね」

「でもでも、私の推しキャラのミアラスを攻略したでしょ!私ちゃんと庇って、優しくして、プレゼントもして、相談もしたのに!」

「ミアラスはキャラクターじゃありませんよ。この世界に生きて自分で考えて行動する人間です」

「でもでも、優しくして好意を持って貰ったら攻略出来る筈でしょう!リアンがヒロインだから私から奪えたんじゃない!」

「違います」


怖い!

ミアラスが今まで見た事もない様な冷たい顔で私の言葉を否定した。レンがすっと私の体を後ろに隠してくれる。


「レイテッド卿、レイテッド嬢を連れて早くお帰り下さいませんか?感情だけで話されても困ります」

「すまない。わかっただろう、帰ろうウィス」

「嫌よ!ミアラスは私の物だわ!」

「レイテッド嬢、夫は物ではありません。人間です。転生者なら人は平等と考えられませんか?与えた、してあげた、考えてあげた、助けてあげる、全部上下関係の上の立場の言葉。在学中、何度も私は苦労はあっても幸せだと言ったのに、苦労しているから不幸だと決めつけた。「不幸だから助けてあげる」いつ助けて欲しいと言いましたか?」


だって、だって、リアンは苦労してて、ミアラスは私の従者で……。


「それに怖かったなら王都に留まらず領地に引っ込めば良かったのよ。貴女の家族はみんな貴女に甘い。絶対王都に行かないと言い張れば、無理やり連れ出したりはしなかった筈。ミアラスが好きだったのなら、彼と出会って直ぐ王都を離れるべきだった。領地でミアラスとゆっくり対等に話をすれば、話をきちんと聞いてくれた筈。私達が結婚したのも、二人で少しづつ話をしてお互いを理解したから、人と付き合うのは一方的に好意を押し付けるものじゃないでしょ?」

「でも…。怖いし」

「怖かったのは可哀想だと思う。けれど、私は私の事でいっぱいいっぱい。貴女の気持ちまで考えていられない。実際、権力者に睨まれて追放された。けど、それまで積み上げた実績は報われた。貴女はこう思うかも知れない「でもリアンはヒロインだから」、だから?確かに、ヒロインだから魔力が優れていた、それで?もし私がウィステリアだったら、領地にこもって古文学を研究していたわ。その後は王都に行って、国立図書館で研究を続けた。さっきも言ったでしょ、怖いだろうが何だろうが、夢を叶える努力をしないで終わったらバッドエンドだって」

「アスハイム夫人、少々お言葉が過ぎるのでは?大体転生って何ですか?」

「レイテッド卿、私はレイテッド嬢のご希望通り、転生者としての立場で話しています。貴族のいない平民だけの世界の価値観で、です。転生について貴方に説明する義務は私にありません」

「アスハイム卿、夫人にどんな教育をされているのですか⁈」

「私達はお互いを尊重していますし、今の妻の全てを愛していますので全く問題ありません」


私とレンは追い返された。

ミアラスは最後までリアンを大切に扱って、私には冷たい瞳しか向けないまま。

私は何を間違えたの?どうしてミアラスは戻って来ないの?

だって、やっぱり、ヒロインは平民で、ヒロインは不幸で、私は破滅フラグばかりの悪役令嬢で、ミアラスは可哀想な孤児で、ミアラスが私に夢を話してくれれば何とかしてあげたのに内緒にしてて、準男爵より公爵の方が地位が遥かに上で、何で?何で?

ナイザリアに戻ると、リューとジルに婚約者が決まっていて、トルは友好国のオスワルド聖公国に留学、ウェズは辺境警備軍に赴任していた。

お爺様は「いつまでも責任を逃れてはいられない」と言うばかりで、私のお願いは聞いてくれない。学園卒業後にはレンと結婚しなくてはならない。優しくしてくれた王妃様の命令だって言う。

私は思う。ミアラスはヒロインの力に捕まっているのだと。ヒロインが追放されてバッドエンドになって永遠のアルカナゲームの舞台から離れたサザンアルトにいるから、必ずヒロインの力が無くなって優しかった大切な私を思い出して戻って来ると。

だって、ヒロインはもういないのだから。

基本どんな話でもハッピーエンドを目指すのですが、今回は完全にバッドエンド。クッキー焼いて、人の後ろにいただけだったので、こんな感じに。

一応、ハッピーエンド案もあったのですが、ウィステリアにはもうちょっと時間がかかります。ウィステリア自身が考え方を変えないといけないのでここではこの結果です。現在準備中。

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