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冬7 〜コウノトリじゃなく自力で

吹雪が収まった穏やかな日、神域の森にジェイドと二人で埋葬に行く。



 鳥パパと鳥ママも合流する。あの泉が凍ってる。中島の木の根本を手で掘って埋める。土に還る様に陶器などには入れない。小さい小さい、まだ形もわからない小ささだけど、ちゃんとここに、お腹にいたんだね。育ててあげられなくてごめんね。縁があれば、また戻っておいで。もっと良い場所を見つけたらそちらに行きなさい。



 ジェイドと一緒にそっと土をかける。黄色い花を供える。神殿前の花は、雪でも不思議と枯れてなかった。二人で寄り添う。木の下で、風の中にいるからdon't weep!の歌を歌う。



 歌の最後に差し掛かった時、空からいつものあの青い鳥さんが、私の手の上に降りてきた。



「久しぶりだね。こんな雪の中一人でいて寒くなかった?」


「チー」


「寒くないならよかった」


「チー」


「……一人じゃなかったの?」


「ピピ」


「そうか。じゃあ淋しくなかったね。」


「ピピ」


「急にいなくなるから私は淋しかったんだよ。」


「チー」


「……いなくなってなかったの?」


「ピピ」


「そっか。気付かなかったな。どこに隠れてたの?」



 そう聞くと青い小鳥さんは飛び立って、私達の周りをくるくる回った。ジェイドが二歩下がると、私の周りをお腹の高さでくるくる回った。



「小鳥さん……。あなたは私の赤ちゃん、なの?」


「ピピ」



 信じられない……。本当に?!青い小鳥さんが?私がこの世界に来てすぐから一緒にいて、歌ったりしゃべったりしてたのに……。最後に会ったのは舞踏会の夜。朝にはいなかった。その時お腹に入ったの?



「私のちびちゃん。……毒を飲まされて苦しかった?」


「チー」


「そっか。大きくなれないのにずっとお腹にいるのは嫌じゃなかった?」


「チー」


「……」



『君に言ったよね。早く生まれ直したいって催促されてたって。だからだよ。』


「そっか。……いえ、お腹の赤ちゃんが、早く私のところに戻りたいって思ってくれてるとは聞きましたけど。」


『あの小鳥は君らの子供だって言っただろ?』


「……鳥パパ達の子供ではないとは聞きました。」


『君のお腹に入ったからいなくなったって教えたよね?』


「……いなくなったけど何か知らないかと聞いたら、特段言うことはないと言われました。」


『……』



『……そういえば舞美は太陽の加護にもなじんだようですね。私の芸術の加護だけではなく、緑の属性の力も、もう使えるのではないですか?使い方はあなた次第ですよ。』


「ママ、ごまかし……いえ、ナイスフォロー。さすが夫婦。太陽の加護ってクロロフィルのことですか?まさか光合成できるのですか。」


『食物を取らなくても良くなったら、連鎖からも輪廻からも外れてしまうぞ。』


「それは怖い!絶対やだ!……じゃあ緑ってなんですか?」


『髪色を濃くしたいと言っただろ?だから更なる魔法力を授けるため、森で日光浴をさせたんだ。カタチなき力に意味を持たせるのは君の創造力だけど、元は森の力だから、まあそう掛け離れたことはできないよ。』


「平たい顔に翡翠色の髪が厳しかっただけなんだけど……授けてくれた加護に感謝します。これでパパとママ、二人とも同じくらいの加護バランスなんですね。それに、青い小鳥さんはパパ達の子供じゃないって言ってたけど、本当は鳥じいじと鳥ばあばだったんですね。」


『?!』


「鳥の姿でいる時もそうじゃない時も、じじばばとして私のちびちゃんを導いて下さいね。」


『この子が孫とは私も気が付きませんでした。そうですか……ちびちゃんというのね。』


「本名じゃないですよ。胎児ネームです。太陽神様を鳥の時は鳥パパと呼ぶようなものです。」


『孫!それはいいね!――僕達はもう戻る。ではな。』


『私は、ばばじゃなくてばあばと呼んでほしいわ。ではね。』



 飛んで行っちゃった。このパタン、前にもあったな。



「ちびちゃんも鳥さん達と行く?」


「ピピ」


「そう。じゃあいつでも遊びに来てね。前みたいに部屋に直接来ても良いからね。」


「そうだな。いつでも降りて来い。」



 二人で館に帰る。一応ジェイドに鳥パパと鳥ママの台詞を伝えておく。流れで分かったとは思うけど。色々びっくりだね。うれしいびっくりだ。だって私が誘拐された時も来てくれたし。なんて母想いな子なんだろう。嫌なことも悲しいことも色々あったけど、ちびちゃんが辛くなかったならよかった。またお腹に入ってくれる日の為に、お母さん頑張るよ!ミルク代稼がなくちゃ!


 




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