《 マイミィの混乱 》
瞬きをする。
私は庭園にいた。天気がいい。白いガーデンテーブルでお茶を飲んでいる。
美味しいねって顔を向けると、隣でお茶を飲むのはジェイドじゃない。あれっ?おかしい。振り返るとメリーがいる。もう一度隣を見る。知らない人だ。
「あなたは誰ですか?」
「おや、淋しいことをおっしゃいますね。あなたの夫ですよ。」
「マイミィ様は混乱してらっしゃるのです。ご勘弁下さい。」
「えっ?!何言ってるの?ジェイドは?どこにいるの?」
「ジェイド様はもういらっしゃいません。」
「何で?!どういうこと??」
「マイミィ様、落ち着いて下さい。」
意味が分からない。メリーがいるのにジェイドがいない?ここは鳥さん達の世界だよね?何で?今はいつなの??唯一知ってる存在、メリーに縋り付いた。
「申し訳ありません。マイミィ様は退席させていただきます。」
「それがいいね。落ち着かせてあげてくれ。」
メリーに支えられるまま歩いて、少し離れたベンチに座る。
「あなたメリーでしょ?何でジェイドがいないの?どこに行ったの?」
「ジェイド様はもう戻られません。亡くなられたのです。」
「どう……して?何で?」
「神域の森で襲われたのです。護衛騎士も皆、殉職しました。」
「う、そ……そんな訳ない!そんなこと知らない!何でそんなこと……」
「落ち着いて下さい。息が乱れます。……賊にやられたのです。犯人は分かっていません。」
「そんな、そんな訳……だって魔法が……」
「手練れだったようです。」
「……まさか、まさかあなたがっ?!」
「違います。落ち着いて下さい。」
「そんなの無理!ジェイドのところに行かせて!!」
メリーを掴んで揺すって詰る。泣いて、喚いて。でも意識は失わない。こんな現実、受け入れられない。いっそ気絶したい。……後ろから声を掛けられる。
「……こんなに泣いて。落ち着くのは難しそうだね。部屋に戻ろうか?歩けるかい?」
「あなたは……あなたは誰なんですか?」
「私は、ーーーーーー」




