帰還後の初クエスト依頼
リナを探さないと。
俺はリナを探すため、スマホをみたりする。
だが、現実世界ではみんなどこにいるかもわからないし、
LINEもメルアドもわからない。
どうしろと…。
俺は、スマホの画面を見つめることしか出来なかった。
だが、突然スマホの画面に着信マークが表示され、ブルブル本体が震える。
「え?」
俺はとりあえず電話に出る。
「...はい。東地です」
「私、ユーシャン派遣会社の永田と申します。先日が、弊社ホームページに会員登録をして頂きありがとうございました。」
そういえば、異世界に行く前にこの派遣会社に会員登録したっけ。
「えーそれでですね、早速ではありますが東地様にご紹介したいお仕事がありましてそのご連絡になります」
「あ、はい。是非おねがいします。」
俺は久しぶりに元の世界に帰ってきたが不思議とすぐに対応出来た。
元の世界の俺は異世界の時と違って貧乏なフリーターだ。
家も家賃3万円のボロアパートでトイレと風呂は共同。
可愛い女の子すら連れ込むのも恥ずかしい惨状だ。
そう記憶を思い出しながら俺は電話の相手の話を聞く。
「良かったです!これでお役所の方も…あ!今のは忘れてください…オホン!
それでですね、お仕事の内容なのですが…【県庁の生活安全課の非常勤調査員】です」
「はい!?」
おいどうした。俺はIT系の企業を志望していたのにいきなりお役所仕事が入ってきた。
いや、待てよ。データ入力の下請けの会社か何かかな。それなら納得だ。
「あー。ざっくりしすぎましたね、失礼しました。具体的な内容は先方から直接お話したいとの事で、ご都合つく日はございますか?」
「わかりました。今のところ、他に仕事は決まってないのでいつでも大丈夫です」
「かしこまりました。では・・・・・・今から県庁に来てください」
おいどうした。いくらなんでも急すぎないか。何をそんな急いでる仕事なんだ?そもそも直接いかないと教えてくれない仕事ってなんだ?いくらお役所でもブラック臭ハンパないぞ。でも、金がすぐ欲しいから好都合だが。
「き、急ですね。わかりました。今から支度して行きます。」
「はーい。では、先方にその様に伝えておきます。あ、県庁は本館の一階受付にて【ユーシャン東地】とお伝えください。では、良い一日を」
ガチャ
電話は勝手に切られた。
はあ、ととりあえずため息をつき、財布とスマホを持って外に出た。
県庁は電車で1時間かからないくらい。これから通うにしても許容範囲だな。
しかし、リナと連絡取れないのは辛い。
近くに住んでないかな。
俺はそんな寂しさを頭に浮かべながら県庁に向かった。
そして、県庁の本館の窓口前まで来た。
周りはスーツを着た人ばかりだ。ああ、エリートって感じがする。Tシャツとチノパンに薄いジャケットを羽織った自分の場違い感が半端なかった。
だが、俺は元勇者!どんな場所にでも鎧を身に着けて踏み込んだ男だ!もう恐れるものは何もない!
俺は窓口の綺麗なお姉さんに話しかける。
「あの・・・ユーシャンの東地ですが・・・」
お姉さんは名前を聞いた瞬間、明るい笑顔になり待っていたかのような口調で話す。
「お待ちしてました。では、こちらへ」
俺はお姉さんの後ろについていくように歩いていく。
それにしてもこのお姉さん、スタイルいいな。良いお尻をしている。
俺はお姉さんに悟られない程度にお姉さんのお尻をみながら歩いていた。
「こちらになります。」
お姉さんは急に俺の方へ振り向く。 危ない危ない・・・。
「あ、はい。ありがとうございます」
俺はお姉さんにお礼を言って、案内された部屋に入る。
「失礼します・・・。ユーシャンの東地で・・」
「いやー!待っていたよケイタ君!」
俺の挨拶が終わる前にいきなり話しかけられた。
あれ?この声、どこかで・・・。
俺はその声の主の方に視線を向けた。
「あ!ダイスケ!」
そこにはなんと異世界で一緒に冒険してきた賢者のダイスケがいた。
異世界にいた時は終始、魔導士みたいな服装だったのに今は、スーツ姿に眼鏡をかけ、髪はなんか少しパーマかかってるけど超エリートな人にみえる。
「ケイタ君!久しぶりの元の世界には慣れたかい?」
ダイスケは妙にハイテンションな口調で話しかけてくる。
「あ、ああ。ついさっき帰ってきたばかりだけどダイスケはなんか楽しそうだな。てか公務員だったのか」
「おや?さっき帰ってきたのかい?僕はねー。半年くらい前に帰ってきたんだよお。」
え!?みんな同じタイミングで帰ってきたんじゃないのか?
「なるほど…どうやら異世界に来た時か元の世界に帰ってきたときの時間軸にバラツキがあるようだねぇ。」
ダイスケは勝手に理解しつつ、話す。
「で、なんでまた俺に仕事の依頼をしてきたんだ?」
ダイスケは急に真顔になり、お決まりの「眼鏡クイッ」を決めて話す。
「実はこの世界にも魔王たちがいる様だ」
俺はその言葉を聞いて驚愕した。