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魔王討伐!そして、元の世界へ

「魔王!これで最後だ!!」

俺はボロボロになりながらも握っている光輝く剣を目の前に片膝をついて息を切らしている魔王に向かって全身全霊をかけて斬りかかった。

ズシャ!

「ぐおおおおおおおおおお!お、おのれ勇者め!」

魔王は斬られた傷口から黒い炎の様なオーラを吹き出しながら俺を睨みつける。

「ケイタ!」

俺の横にセミロングでブロンドカラーのヘアスタイルをした女の子が立派な宝石の装飾を付けた杖を握りしめながら駆け寄ってくる。

「リナ!」

これで終わりだ。これが終われば俺はリナと結婚して平和に暮らすんだ。

俺はリナの手を強く握りしめながら魔王が朽ち果てていく姿を見届ける。

「…勇者よ…これで終わると思うな…私が果ててもまだ貴様の敵はいる…さあ!死ぬまで戦え!」

「ふん!そんなの俺達がいれば負けることはない!」

「…フ…フハハハハハハハ!」

魔王は最後に大いに高笑いをしながら朽ち果て、塵となって消えた。

俺はこの時、魔王の言葉なんて気にしなかった。

ただの負け惜しみだと思っていた…。


魔王討伐後、俺たちは城に戻るなり、王様と王女様に祝福された。

なんというか昔、アニメや映画で見たような王道のハッピーエンドの様な宴だった。

「勇者ケイタとその仲間達よ!よくぞ魔王サタスを討伐してくれた!今夜は存分に楽しんでくだされ!」

王様からの激励の言葉を合図に会場から大勢の歓声が上がってきた。

「さあ!ケイタ!今夜は楽しもう!」

魔王と戦っていた時の魔法防具の鎧を脱いで、薄いピンク色した綺麗なドレスに着替えたリナが俺に酒の入ったグラスを満面の笑みで渡してくる。

ああ、可愛い。可愛すぎる。早く結婚したい!

「ありがとう、リナ。今夜は楽しもう」

俺はリナを目を見つめる。リナの綺麗なブロンドの瞳が俺を吸い寄せるように見つめてくる。

だんだんと俺とリナの顔の距離が縮み唇と唇が近づき…。

「おい!そこのカップル!公衆の面前だぜ!」

突然、俺とリナの世界に割り込んできた野郎のせいで俺とリナはハッとなり、とっさに離れてしまった。

「ち、ちげーよ!ミツヨシ!」

「ケイタ。時と場所をわきまえろ。いくら世界を救った勇者であっても我慢というのをだな…」

「だから違うって!」

金髪剣士のミツヨシからの弄りにしれっと便乗してきた賢者のダイスケは眼鏡をクイッと人差し指で上げ直す。

お前いつも何かした後に眼鏡クイッてするよな。

「わかっている…お前がリナを今すぐ抱きたいのをー」

「だから違うって!お前何妄想してるの!?このスケベ眼鏡!」

賢者のダイスケは冷静に言っているようにみえて実は結構なスケベ野郎だ。

「ケイタ!あっちにすげー旨そうな肉があるんだよ!行こうぜ!」

性欲より食欲が旺盛なミツヨシは子供の様に俺の手を引っ張っていく。

リナはそれでも微笑みながら俺の事を見つめていた。

…リナ…後でゆっくり話そう。

俺はミツヨシの後ろ手に引かれながらリナに目で合図を送った。

そんな感じで時を忘れながら宴を楽しんだ。大いに楽しんだ。

そして、夜は深まり、宴は終わりを迎えた。

ミツヨシは欲しいおもちゃを買ってもらった子供の様に目を輝かせながら豪華な料理を食べ、満腹になると同時に近くのソファーにいつの間にか寝ていた。

ダイスケも王様から貰った本を片手に眼鏡を人差し指で押さえながら用意された自分の部屋へと向かっていった。冷静を保っている様にみせようとしていたが妙に早歩きだった。

きっとまた何かエロい本でも見つけたのだろう。

やっと、俺はリナと二人きりになり俺の部屋で二人肩を並べてソファーに座っていた。

「ねえ、ケイタ。世界がこうやって平和になったけどこれからどうするの?」

リナはお酒に酔っているのか恥ずかしいのか頬を赤く染め、うつむきながら俺に聞いてくる。

「そうだな…リナはどうしたい?」

「うん…わたしはここでケイタ達と一緒に暮らすか…「元の世界」に帰れるなら帰って、ケイタに会いに行く」

元の世界。そう、俺やリナ、ダイスケは元々はこの世界の人間ではない。

別の世界からやってきた人間だ。俺たちの他にも日本語らしい名前の人間は数人いたからきっとその人達も元の世界から来たのだろう。ただ、記憶を失っているのかどこから来たかわからないと答える人がほとんどだった。俺たちはたまたまなのか元の世界の記憶をちゃんと覚えていた。

俺は確か派遣会社に仕事の面接に行って、契約書を書いていた時になぜかこの世界に気が付いたら来ていた。リナはアルバイトの面接。ミツヨシは専門学校の説明会。ダイスケは本屋で新作の本を予約した時。

みんなきっかけは違うが…。

「元の世界か…俺もリナと同じだな。このままここで暮らすか。元の世界に帰ってリナに会いに行く。」

俺はリナの肩を優しく抱く。リナはさらに顔を赤らめる。

「リナ。俺はリナの事が…リナの事が…」

あれ…突然、全身の力が抜け、視界が暗くなり、意識が遠のいていく。

この感覚…元の世界から来た時と…

リナの顔がブラックアウトする…。

これで元の世界に帰れるのか。元の世界に帰ったらリナと結婚しよう…。その前にちゃんとお付き合いをしたほうがいいな…。

あれ?そういえばリナってどこに住んでるんだっけ・・・・・・・。

俺の意識は完全に消えた。

そしで、次に目が覚めるとそこは…。


元の世界だった。


久しぶりに見る部屋。ここは俺の部屋だ。

どれくらいぶりだろう…。1年は向こうにいたかな。

俺は寝起きの様な感覚であたりを見渡す。

ああ、帰ってきたんだ。

あ、俺のスマホ。久しぶりに見たな。

俺は久しぶりに握るスマホに懐かしみを感じつつ、スリープ解除をする。

  2019年6月11日 19:23

あれ?この日付…向こうの世界に行く前と同じ日付…のはず。2020年ではなく、確かに2019年だ。

時間までは流石に覚えてないが昼間だった。

なんと向こうの世界には1年近くいたが元の世界では、半日ほどしか経過していない。

どういうことだ!

俺は驚いた。

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