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第4話 少女VSロリコン

 ノアの現在の残りJPは30。

 しかし肉体強化魔法であるストレングスが持続中の為、時間と共にJPは徐々に減少していく。


 迫り来るクラフトに、人差し指を向けて魔法弾を放つノア。


《ダークショット‼︎》


 3JP消費。

 ノアより放たれた黒い魔法弾はクラフトの顔面に直撃するが、御構い無しに突っ込んで来るクラフト。


「ハハアッ! なかなかの威力だが、こんなもんじゃ俺様の愛は止まらねーぜ‼︎」


「愛ゆーな! 気色悪い!」


 クラフトの突進を、フワリとジャンプしてかわすノア。


「グハッ‼︎」


 その直後、見えない壁のような物にぶち当たって止まるクラフト。


「アイスウォールじゃ。ダークショットの爆煙で、よぉ見えなんだじゃろ?」


 2JP消費。

 クラフトの背後に降り立ったノアが、更に魔法を放つ。


《エアバインド‼︎》


 1JP消費。

 風のロープがクラフトの身体に絡み付き、動きを封じる。


《メテオライト‼︎》


 10JP消費。

 エアバインドで身動きの取れないクラフトの頭上から、直径2メートル程の岩の塊が落ちて来る。


「うおおおおー‼︎」


 落下した岩の衝撃で辺りに砂埃が舞い、何も見えなくなる。


「やったか⁉︎」


『定番のセリフだな』


 ノアの残りJPは、ストレングスの消費分を差し引いて12となる。

 ノアが警戒しながら砂埃が晴れるのを待っていると、いきなりノアの眼前に拳が現れ、顔の数ミリ手前で止まる。

 その拳圧でノアの髪の毛が、激しく後ろになびいた。


「ヒイッ‼︎」


 慌てて距離を取るノア。

 

「あっぶねー! 予想外の攻撃だったから、つい本気で反撃するとこだったぜー! 顔には当たってねーよな? ノアちゃん」


 頭をかきながら砂埃の中から出て来たクラフトは、全くの無傷だった。


「バ、バカな⁉︎ メテオライトを食らって無傷、じゃと⁉︎ 確かあの時は大ダメージを受けておった筈」


 あの時とは、魔王ノアールと勇者ウルパーティーの最終決戦の事である。


『あれがクラフトの固有能力、《絶対防御》だ』


(絶対防御、じゃと?)


『そうだ。発動した瞬間は文字通り、あらゆる物理攻撃や魔法攻撃を完全に無効にするのだ』


(何じゃそのチート能力は? そんな能力、余は知らんぞ?)


 何やらテンプレ小説のような設定を語り始めたウル。


『勿論弱点はある。効果は一瞬だし、使用するにはJPを50も消費する。そうおいそれとは使えないさ。お前との最終決戦の時にはもうかなりJPを消費していたからな。残ったJPは攻撃に回した為、使用出来なかったのだろう」


(何、と……フッ。全くもって貴様等は、余を楽しませてくれるわい。だがつまりじゃ! あやつのJPが50を切れば、もう余の魔法が防がれる事は無い訳じゃな⁉︎)


『ホウ。そういう事になるが、俺達と違い他人のJPを知る術は中々無いぞ?』


「そんなもん、本人に聞けばよかろう?」


『ホッ⁉︎ 何を言っている? いくらクラフトがバカとはいえ、答える訳が……』


「オイ貴様‼︎ 貴様のJPはあといくつじゃ⁉︎」


 クラフトにど直球の質問をするノア。


「ん⁉︎ 10だが、それがどうかした……あっ! しまったあああー‼︎」


 あっさり教えたクラフトが、すぐさま後悔する。


『いや、答えるんかいっ‼︎ しかも残り10って何だ? 60JPしか無かったのに絶対防御を使ったのか? 他にやりようはあっただろうが!』


「フッフッフッ。そうか。つまりもう貴様は、余の魔法を絶対防御とやらで防ぐ事は出来ない訳じゃな? ならば次で終わりじゃ!」


 ノアの言葉に疑問を抱くクラフト。


「え⁉︎ 何でノアちゃん、俺様の絶対防御の事を知ってんだ? これは奥の手だから、パーティーメンバーにしか教えてねぇ筈なのに」


 つい口を滑らせたノアに呆れるウル。


『バカ……』


「はにゃっ⁉︎ そそそそそ、それは……ま、前に勇者ウル様にお会いした時に教えてもらったニャン!」


 苦しい言い訳をするノア。


『それは無理があるだろう……』


「なーんだ! そうだったのかー! なら、ノアちゃんが知ってても全然不思議じゃねーな!」


『いや、信じるんかいっ‼︎』


 あっさり納得する、おバカなクラフトであった。


「貴様が絶対防御を使うには50JP必要なんじゃろ? つまり、残り10ならもう使えない訳じゃ!」


 ヤバイと思ったクラフトが、慌てて誤魔化そうとする。


「なな、何言ってんだ⁉︎ そんなもん、ノアちゃんを油断させる為の嘘に決まってんだろ?」


「何いっ⁉︎ そうか。危うく騙されるとこじゃったわい」


(いや、本当だと思うがな……)


 2人のやり取りを呆れながら見ていたウルだったが、面白そうだったので、敢えて口出しはしなかった。


「では本当はいくつなんじゃ?」


(まだ聞くのか?)


「お、俺様の残りJPは……1万だ‼︎」


(いや、ハッタリにしても言い過ぎだろう⁉︎)


「何じゃと⁉︎ さ、さすがは勇者パーティーのひとりじゃわい」


(信じるんか〜いっ‼︎)


「じゃが、本当か?」


 やはりおかしいと感じたノアが、疑いの目でクラフトをジーっと見つめる。

 頬を赤くして、目をそらすクラフト。


「あーっ! 目をそらしたという事は、やっぱり嘘だったんじゃなー⁉︎」


「いや違っ! いい、今のはノアちゃんに見つめられたからであって……」


「もう騙されぬわ! 《エアバインド‼︎》」


 1JP消費。

 再び風のロープが絡み付き、クラフトの動きを封じた。


《メテオライト‼︎》


 クラフトが絶対防御を使えないと確信したノアが、とどめの魔法を放つ。


 しかし、何も起こらなかった。


「ふえっ⁉︎ 何故じゃ? 何故魔法が発動せんのじゃ⁉︎ 余の計算では、メテオライトを撃つだけのJPは残っておる筈じゃ!」


『ホッ。忘れたのか? ストレングスにより徐々にJPが消費するのを。今のお前のJPは8だ。従って、10JP必要なメテオライトはもう撃てない』


(何じゃとおおおっ⁉︎ くっ! ならば、《ダークショット‼︎》」


 急遽威力の劣る魔法弾に切り替えたノアだったが、寸前でエアバインドの拘束を振りほどいたクラフトにかわされてしまう。


『残り5だ』


「分かっとるわい!」


 一瞬にしてノアとの間合いを詰めたクラフトが、正拳突きを放つ。

 クラフトの拳はノアに触れてはいないが、その拳圧だけで吹き飛ばされるノア。


「うにゃあああー‼︎」


 猫のようにクルリと受け身を取り、何とか着地するノア。


(な、何じゃ今の威力は⁉︎ あれが人間の力か⁉︎)


『どうやらクラフトもストレングスを使ったようだな。もっとも、お前の身体を気遣って直撃は避けたようだがな』


(何……じゃと⁉︎)


 手加減されたと知り、怒るノア。


「上等じゃ‼︎ 受けて立ってやるわいっ‼︎」


 そうして2人の戦いは、小細工無しの肉弾戦へと突入した。

 そこから激しい打撃戦が続いたが、それは唐突に終わりを迎えた。

 ノアのJPが尽きたのである。


「かはっ!」


ストレングスの効果が切れたと同時に、JPがゼロになった事によりリジェネレーションの進行が始まった為、その場に座り込んで動けなくなるノア。


『JPがゼロになった。これまでだな』


(ぐぬぬぬー。ぐやじいいー)


 へたり込んでいるノアに近付くクラフト。


「やるじゃねぇかノアちゃん‼︎ 見直したぜ‼︎ 元気になったら、また手合わせしようぜ‼︎」


(ハッ! ミジンコになってなければな)


「じゃあな! 楽しかったぜノアちゃん。ありがとな‼︎」


 とても嬉しそうに手を振りながら去っていくクラフト。

 その瞬間、ノアの全身が光に包まれる。


『ホウ。良かったな。JPが70まで増えたぞ』


「なっ⁉︎」


 JPが回復した事により、リジェネレーションの進行も止まった。


『毎日クラフトと手合わせすれば、クエストを受けなくともJPを稼げるんじゃないか?』


「こ、こんなに疲れる事を毎日は勘弁じゃああ〜」









モンスターハンターとは関係ございません。

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