第13話 ガンニャム! 行きまーす!
クラフトの頭がお花畑になっていた頃、ネムとロロの2人もまた魔族と遭遇していた。
「ロロ、歩きにくい。もうちょっと離れて」
「だだだだ、だって……周りは木ばっかりで暗くて怖いのです! 何か見てはいけない物が出て来そうなのです!」
「ロロは召喚獣でしょ? 何でオバケを怖がるの?」
「し、召喚獣とはいえ、元は普通の人間なのです! 乙女ロロなのです!」
そんな2人の前に、ひとりの少年が現れる。
「ヒイッ! 出たのです〜!」
「失礼なお姉ちゃんだなー。僕はオバケじゃないよ?」
「ホッ。良かったのです。ただの男の子なのです」
安心するロロを窘めるネム。
「油断しないでロロ。ここは魔界なんだから、ただの子供の筈無い」
「ハッ! 確かにそうなのです。」
「うん、そだよ。僕はザムス。七星魔天、第ニ位のザムスだ」
「七星魔天⁉︎」
警戒を強めるネムとロロ。
だがそんな2人とは裏腹に、地面に座り込んで土で魔獣を作っているザムス。
そんなザムスに尋ねるネム。
「何、やってるの?」
「ん? 見ての通り魔獣の土人形を作ってるんだよ?」
「戦わないの?」
「これが完成したらね」
困った顔でロロに尋ねるネム。
「う〜ん。今のウチにぶっ飛ばしちゃダメかなぁ?」
「道徳的に待ってあげるのです」
ネム達が律儀に待っていると、ザムスの土人形が遂に完成する。
「出来たー!」
「良かったね。じゃあ、もうぶっ飛ばしても良いよね?」
「フッフー。出来るものならね!」
ザムスが手をかざすと、先程完成した土の魔獣が巨大になり、ネム達に襲いかかる。
「ロロ!」
「ハイなのです!」
素早くネムの前に立ったロロが、土魔獣をパンチ一発で粉々に破壊してしまう。
「ああー! せっかく作ったのにー!」
「あ、ごめんなさいなのです。つい壊してしまったのです」
「ロロ! 謝んなくていいから」
「もー! 仕方ないなー」
頬を膨らませたザムスがまた座り込み、再び土をこね始めた。
そんなザムスに尋ねるネム。
「何を……やってるの?」
「何って、さっき見てたでしょ? せっかく作った魔獣が壊されちゃったから、もっと強い魔獣を作ってるんだよ」
「えと……またそれを待ってなきゃいけないの?」
「待ってくれないの?」
「待つと思う?」
「んー。思わない!」
ニコッと笑いながら答えるザムス。
「当たり前! ロロ!」
「ハイなのです!」
「そっか〜、じゃあさよなら〜!」
そう言って森の中に走り去って行ったザムス。
まさかの行動に固まって動けないネムとロロ。
「逃げ、た?」
「逃げたのです! 追いかけるのです!」
後を追おうとするロロを止めるネム。
「待ってロロ! 戦う気が無いなら無理に戦わなくても良いよ」
「ん〜。分かったのです。今日の所は見逃してやるのです」
ザムスを無視して先へ進もうとした時、逃げた筈のザムスが身長10メートル以上はある巨大な人型魔獣の中に入って突然森の中から現れた。
「七星魔天の僕が逃げる訳無いだろー!」
魔獣の拳がネムに振り下ろされる。
「ロロ!」
ネムが叫ぶ前に既にネムの前に立ち迎撃態勢をとっていたロロ。
「ネムには、指一本触れさせないのです!」
巨大な拳を身体全体を使って受け止めるロロ。
「僕のガンニャムのパンチを素手で止めたー⁉︎ 何なんだキミはー⁉︎」
「そうです! 私がロロなのですー‼︎」
ガンニャムの拳を掴んだまま、後ろにぶん投げるロロ。
「ガハアアー!」
仰向け状態で地面に叩きつけられたガンニャム。
「な、何て馬鹿力⁉︎ とても人間の力とは……」
ゆっくり全身を起こすガンニャム。
「そうか……君も作られた何か、か……?」
「ロロはネムの母上に作って頂いた、召喚獣なのです! でも元は普通の可愛いメイドさんなのです!」
「召喚獣? へえ〜、興味あるね〜」
「ロロ。敵にペラペラバラし過ぎ」
ロロの頭に軽くチョップするネム。
「はうあっ! お口チャックロロなのです!」
ネム&ロロがザムスと戦いを始めた頃、今度はメルクが逃げたマッドを追いかけていた。
「居ない⁉︎ まさか本当に逃げたんですか? まあ、戦う気が無いなら別に構いませんが……」
メルクが一瞬気を抜いた時、メルクの背後から加速した泥団子が飛んで来る。
「……‼︎」
紙一重の所でかわしたメルクが、泥団子が飛んで来た森の中に無数の矢を放つ。
「サウザンドアロー‼︎」
「いやいやいや‼︎ あ、あぶっ! 危なっ‼︎」
たまらず森の中から飛び出して来るマッド。
「あ、あんな数の弓矢、反則だよー! それに、何で死角から投げた泥団子を避けられたのさー⁉︎」
「あ、あまり言いたくはありませんが、背後からの不意打ちには苦い思い出が沢山ありますからね」
背中から刺されキャラが確立してしまっているメルクである。
「ふ〜ん。それなりに経験は積んでるんだね? なら……」
身構えるメルク。
「さよならー‼︎」
何と、再び森の中に走り去るマッドであった。
「え……⁉︎ ま、待ちなさ〜い‼︎」




