第5話 生き残る為に……
パル&チルVSフライ
中々戦おうとしないフライに苛立つパル。
「何で戦わないのよ⁉︎ パル達が子供だから舐めてるのよ⁉︎」
「パルみたいな小娘、相手にしてられないの〜」
「チルも同じ小娘なのよ!」
パルの疑問に応えるフライ。
「フォッフォッフォッ。お前さん達が子供じゃから戦いたく無いのは正解じゃよ」
「な、ならパル達をこのまま通すのよ! そしたらパル達も無理には戦わないのよ!」
「今日の所は勘弁してやるの〜」
「挑発するんじゃ無いのよ!」
「フォッフォッ。大人しく帰ると言うなら別に見逃してやっても良いが、先へ進みたいと言うなら通す訳にはいかんのぅ」
「じ、じゃあやっぱり戦うしかないのよ!」
「力ずくて押し倒すの〜」
「押し通るのよ!」
先程までにこやかな表情だったフライの顔が、急に険しくなる。
「やめておけ。お前さん達が強いのはよく分かる。じゃが、相性が悪い。お前さん達では、絶対にこのわしには勝てんよ」
「なあっ⁉︎ そんなのはやってみないと分からないのよ!」
「占い師なの〜」
「やるまでもなく分かるんじゃよ」
「霊能者なの〜」
「だったら試してやるのよ!」
「チル、出して!」
「わいせつ物陳列罪なの〜」
「召喚獣を出せって言ってるのよ‼︎」
パルに言われたチルが、背中のリュックから魔石を取り出し地面に置き魔導書を開くと、魔石を中心に魔法陣が描かれる。
「まずはお試しに、サイクロプスなの〜!」
チルが叫ぶと、魔法陣からひとつ目巨人の魔獣、サイクロプスが現れる。
「ほう、魔獣を呼び出した? いや、創り出したと言うべきか?
これがディア様が言っていた召喚士というものか……フォッ、面白い」
「ウケたの〜」
「面白いの意味が違うのよ! サイクロプス! 行くのよ!」
「グオオオオー‼︎」
パルの命令を受け、フライに襲いかかるサイクロプス。
「フォッフォッ。中々の迫力じゃのう……じゃがのっ!」
向かって来るサイクロプスのパンチを左手で難なく受け止め、右パンチをサイクロプスの腹に放つフライ。
「グフォー‼︎」
わずか一撃で、消滅してしまうサイクロプス。
「んなっ⁉︎ サイクロプスが一撃でやられたのよ⁉︎」
「1秒間に100発のパンチを繰り出されたの〜」
「もしそうだとしても、チルに見える訳無いのよ!」
「フォッ。ただの一発のパンチじゃよ。じゃが、魔獣であるサイクロプスでさえこのザマじゃ……お前さん達が生身で食らえばどうなるか、分かるじゃろ?」
「風通しが良くなるの〜」
「嬉しそうに言ってるんじゃ無いのよ‼︎ クッ……だったら、チル!」
「話し相手にパルを置いて行くから、チルは見逃すの〜」
「いやまさかの姉を売り飛ばしやがったのよ⁉︎」
パルが実の妹に売られていた頃、崖の上で戦っているナオとジュディ。
《ファイヤーボール‼︎》《アイスロック‼︎》
炎魔法と氷魔法を同時に放つナオ。
《とうもろこし‼︎》
魔法さえも超重力によって、ジュディに届く前に地面に落下してしまう。
「なら! 《サンダーボルト‼︎》」
ジュディの上空からジュディ目がけて雷を落とすナオ。
《綿菓子‼︎》
今度は反重力を発生させて、雷を遥か上空に飛ばしてしまうジュディ。
「いや、食べ物の名前叫ぶのは何なんですか⁉︎」
「だってナオちゃんが色んな技の名前叫んでるから、良いな〜って……」
「何の対抗意識ですか!」
(それにしても、魔法さえもジュディさんには届きませんか……やはり完全擬態で……え?)
ナオが固有能力である完全擬態を使う為に、自身の残りJPを確認した所、魔界に入ってから全くJPの数値が減っていない事に気付く。
(JPが全然減ってない? いや、むしろ増えてる? 魔界に入ってから固有能力や魔法を何度か使っているのに?)
「気付いた?」
ナオがJPの異変に気付いた事を察知したジュディが、ナオに問いかける。
「どういう……事ですか?」
逆に問い返すナオ。
「そう……せっかく人間界に行って食べ物いっぱい買って来たのに、もう無くなりそう……」
「いや、それはあなたがずっと食べ続けているからでしょう⁉︎」
「買って来て……」
「いや、知りませんよ!」
ひと通りボケた後、ようやくJPの秘密を説明するジュディ。
「人間達は魔法や固有能力を使う時にJPって言うのを消費する。でもJPの元は魔力。魔力の元は魔素。つまり……」
「そうか! この魔界にはJPの元である魔素が常に充満してるから、どれだけ魔法や固有能力を使ってもJPが減らないんですね?」
「そ。ただし、ジュディみたいに能力発動に条件がある場合、それを満たさないと、いくら魔力があってもダメ」
「なるほど。つまりあなたが、持っている食料を全部食べきるまで自分が粘りきれば、勝ちが見えて来るという訳ですね?」
(もっともその場合は、ジュディさんの能力が暴走する恐れはありますけどね)
「うん、だから食べ物買って来て……ひと口あげるから」
「いや、行きませんってば! しかも、ひと口しかくれないんですね⁉︎」




