表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/118

第35話 シリアスのまま終わらせない

 ニーナ達が動揺している中、まるで気にかけないようにゲートに入ろうとするジア達。


「ま、待ちなさい‼︎」


 思わず呼び止めたものの、少し後悔するニーナ。


(呼び止めてどうするの? ノアちゃんは魔族で大魔王ディアの妹なのよ? ただ故郷に帰るだけじゃない? ここであんなとんでもない魔力を持った連中に暴れられるより、このまま大人しく魔界に帰ってくれるなら、その方がいいんじゃないの?)


 心の中で激しい葛藤が起こり、動けずにただじっとノアが連れ去られるのを見ているニーナ。


「待ちなさい‼︎」


 そんな中、誰よりも早く飛び出したのは、巨大なドラゴン型魔獣に変身したナオであった。


「ナオ⁉︎ ダ、ダメ……」


 ドラゴンナオがジアに襲い掛かろうとした時、ジアの固有能力が発動する。


炯眼支配(けいがんしはい)‼︎》


 ジアの眼を見た瞬間、動けなくなるナオ。


「ガアッ! う、動け……な……い……」


「残念だったね。あたしの炯眼支配は、魔獣を使役する能力。もしナオちゃんが魔獣以外のものに変身してたなら、届いてたかもね」


「残念ざんねーん!」


「どうします? ディア様。始末しますか?」


「いいよ。今は早くノアちゃんを連れ帰りたいからさ」


「フッ。命びろいしたのぅ、小娘」


「命びろい命びろーい!」


 そんな状況を見ても、まだ動こうとしないニーナに怒るクラフト。


「オイニーナ‼︎ テメェ何でノアちゃんを助けようとしねーんだよ⁉︎ 今、多少なりとも戦えんのはオメェぐれぇだろ⁉︎」


「わ、分かってるわよ! だけどノアちゃんは魔族なのよ⁉︎ なら、魔界に帰るって言うなら、別にいいじゃない?」


「はあっ? 何言ってんだテメェ⁉︎ ノアちゃんが魔族なんて事は初めから知ってただろうが? 知ってた上で今まで一緒に戦って来たんだろうが⁉︎ 魔界に帰る⁉︎ ノアちゃん自身が帰りてぇって言ったのかよっ⁉︎」


「っ⁉︎」


 クラフトの言葉にハッとなるニーナ。


「フフッ、そうよね……ノアちゃんが魔族なのも魔王ノアールなのも、初めから分かってた事よね。分かってた上で私達はノアちゃんを受け入れたし、ノアちゃんだって精一杯私達と打ち解けようとしてた。馬鹿ね、私……いったい何を迷ってたのかしら。答えはとっくに出てたっていうのにね」


 迷いが晴れたニーナがスッと立ち上がり、観客達に正直に全てを打ち明ける。


「みんな聞いて‼︎ ノアちゃんが元魔王ノアールなのは本当よ‼︎ 最終決戦で勇者ウルの放った究極魔法によって、魔王ノアールは人間の女の子ノアちゃんに生まれ変わったの‼︎ でもその魔法の影響でノアちゃんは絶対に人間を傷付ける事は出来なくなったし、むしろ人助けをしないと生きて行く事すら出来ないの‼︎」


「マ、マジか⁉︎」


「究極魔法ヤベェ」


「俺にもかけてほしい」


「え⁉︎」


「そりゃあノアールを憎んでる人は大勢居ると思う‼︎ 許せないって人も居ると思う‼︎ でも、魔王ノアールはあの最終決戦で死んだの‼︎ 今ここに居るのは、魔王ノアールの記憶を持った普通のか弱い人間の女の子なのよ‼︎ そして今は私達勇者パーティーの仲間なの‼︎ 私はそんなノアちゃんを助けたい‼︎ だけど、今の私じゃ力が足りないの‼︎ だからお願い‼︎ みんなの力を私に貸して‼︎ 私にノアちゃんを助けさせて‼︎ お願い‼︎」


 ニーナの熱い想いを聞き、しばらく静まり返る観客達。


「そんな事言われてもよー。ノアちゃんは元魔王ノアールなんだろ?」


「何で魔王を助ける為に力を貸さなきゃいけねぇんだよ?」


「バカ! 聞いて無かったのか⁉︎ 魔王ノアールは人間の女の子ノアちゃんに生まれ変わったんだよ!」


「せ、拙者は単純に可愛い娘を助けたいでござる」


「そうだよな……ノアちゃんの戦いぶりを見てたけど、とても悪い娘には見えなかったもんな」


「私もノアちゃんを助けたい!」


「俺も!」


「僕も!」


 少しずつ、しかし着実に想いが高まって行く観客席。

 そしてその想いは光となり、ニーナに集まって行く。


「あ、ありがとう‼︎ みんな‼︎」


「何やら騒がしいのぅ? 蹴散らしますか? ディア様」


「ほっときなさい。ひ弱な人間が騒いだ所で、何も出来ないんだからさ」


「ハッ」


 だが、そんなジアの表情は、どこか嬉しそうだった。


(フフッ。愛されてるね、ノアちゃん。さすがあたしの妹……)


 その時、みんなの想いを一身に受け、全身から眩い光を放ちながら剣を構えるニーナ。


「ジアちゃん‼︎ ノアちゃんは置いていってもらうわよ」


「フフッ。返してほしくば、あたしを倒してみろってやつだね。やってみなよ?」


「死んでも知らないわよ⁉︎ でやああああー‼︎」


 凄まじいスピードで、一瞬にしてジアの間合いに入るニーナ。


(速いっ⁉︎)


「覚悟‼︎」


 低い姿勢から剣を振り上げようとした瞬間、凄まじい風に弾き飛ばされるニーナ。


「グハアアー‼︎」


 弾き飛ばされた勢いのまま激しく地面を転がった後、ようやく止まるニーナ。


「な、何なのよ……この、デタラメな威力は……ガクッ」


 そのまま気を失うニーナ。


「……いや、瞬殺かーいっ‼︎」


 その場に居た人間全員から突っ込まれるニーナであった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ペッパーボムを投げれば( ˘ω˘ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ