第33話 ネタバレ厳禁
お馬鹿なメルにより能力の正体を知ったノアとウルが、攻略法を考える。
(どう思う? ウル。あ奴、自分で能力をバラしおったが、本当じゃと思うか?)
『ホー。でまかせを言って相手を惑わせるのは戦いの定石だが……あの娘に限ってそれは無いだろう』
(じゃな……となると、どう攻略するか? 氷の壁が駄目なら、鉄の壁でも作るか?)
『ホー。仮にそれで攻撃を防げたとしても、守るばかりではラチがあかん』
(なら、全身に鎧をまとって突撃するか?)
『ホッ。全身に鋼鉄の鎧をまとえば、どれ程の重量になるか。乙女なお前のヤワな身体で動けるのなら、別に出してやっても構わんがな』
(ぐぬぬぬ〜。この軟弱な肉体が恨めしいわい)
考え込んで中々動こうとしないノアに苛立つメル。
「ねぇ‼︎ 何やってるのよ⁉︎ 来ないなら遠慮なく仕掛けるよ⁉︎」
(ええーい! あれこれ考えるのは余の性に合わん!)
『ホッ⁉︎ だがどうする? あの娘、お馬鹿ではあるが戦略無しに勝てる相手では無いぞ?』
(余の固有能力、英雄召喚で呼び出した者に戦ってもらう!)
『人任せかっ⁉︎ だが、誰を呼び出すんだ? あの娘の攻略法も決まっていないのに』
(フンッ。適当に呼び出せば、何かまあ……いい感じの奴が出て来るじゃろ?)
『運任せかっ⁉︎』
(つべこべ言うとらんでやるぞい! 後のフォローは貴様に任せる!)
『丸投げかっ⁉︎』
ウルの言葉を無視し、固有能力を発動させるノア。
《英雄召喚‼︎》
ノアが叫ぶと、ノアの全身が光に包まれ、その光が消えると以前にも現れた、まるでノアが成長したかのような、ノアにとてもよく似た少女が現れる。
『ああーとぉ‼︎ おそらくは固有能力を使ったと思われますノア選手! そこに現れたのは、以前に現れたピンク髪の超絶美少女とは違う、ノア選手と非常によく似ていますが、ノア選手とは少し雰囲気の違う美少女であります!』
その姿に戸惑うメル。
「だ、誰⁉︎ た、戦いの最中に入れ替わるのはルール違反なんだからね〜! 勇者パーティーがそんなズルい事しちゃダメなんだからね〜!」
『メル選手、魔族なのに正論を言っているぞー! しかしこれはノア選手が能力により変身した姿なので問題ありません。というか、以前にもノア選手はこの能力で全くの別人に変わった事がありますが、メル選手は見ていなかったのかー⁉︎』
「そ、その時はおトイレに行ってて見れなかったんだもん!」
『メル選手、やはりお子様だー‼︎』
「ムキー‼︎ 子供じゃ無いって言ってるでしょー‼︎」
怒りにより更に噴き出した汗を刃に変え、ノアを攻撃するメル。
だが、いつの間にか両腕に装着した手甲でメルの刃を弾き飛ばすノア。
「んなっ⁉︎」
『何とノア選手! あれ程手こずっていたメル選手の攻撃をアッサリ防ぎました‼︎』
少し時が戻って、能力を使った直後のノアとウル。
ノアの姿に戸惑うウル。
『ホー。君はノア、なのか? ノアにとてもよく似ているが……』
(ええ〜! 私を忘れちゃったの〜⁉︎ あんなに長い時間を共に過ごしたのに〜?)
『ホォッ⁉︎ す、済まない! 物覚えは良い方なんだが、君の事は思い出せないんだ。いや、ノアに似ている時点で他人のような気はしないが……』
(フフッ。ゴメンゴメン。そりゃあ、この頃のウルはまだ私の事は知らないよね)
「ホー。この頃の、という事は……推測だが君はもしかして、未来のノアの姿なのか?』
(ファイナルアンサー?)
『ホッ⁉︎ ファ、ファイナルアンサー』
(……正解! そうだよ。私は未来からやって来たノアちゃんでしたー!)
『ホー。やはりか……』
(ノアちゃんの固有能力英雄召喚は、文字通り英雄を召喚する能力。本来は明確なイメージを持って呼び出すものなんだけど、初めて使った時はまだどんな能力なのかも分からなかったから、単純に未来のノアちゃんである私が現れた)
『ホー』
(その後はちゃんとイメージしてたから、その場の状況に相応しい英雄を呼び出せた)
『ホー。そして今回はまた闇雲に呼び出したから、ノアの未来の姿である君が現れた訳か』
(そゆこと。私が基準、みたいなものだからね。さあ、まずはあのお馬鹿娘を倒さなきゃでしょ⁉︎ だから手甲出してよ! うんと頑丈な奴ふたつ!)
『ホ、ホー⁉︎ それは構わんが、手甲だけであの娘の見えない全方位攻撃を防げるのか?』
(大丈夫だよ。私はこれでも魔王の端くれ。本来のノアちゃんはメチャ強いんだから!)
『ホー。分かった。では行くぞ! 《武具生成‼︎》』
そして、元の時間軸に戻る。
「さあ! いっくよー!」
ウルが固有能力で出した手甲を両腕に装着したノアが、メルに向かって突進する。
「ハハッ! どうやらヤケクソになったみたいね⁉︎ 安心しなさい! 死なない程度に斬り刻んであげるわ!」
メルの糸状の刃がノアに襲いかかる。
だが、見えない筈のその刃を難無く手甲で弾き飛ばしながら、メルに接近するノア。
『ああーとぉ‼︎ ノア選手、メル選手の攻撃を物ともせず進む進む! やはり変身したノア選手は強かったー‼︎』
「な、何でメルの見えない攻撃が分かるのよー⁉︎」
「見えないって言っても元はあなたの汗から作り出された刃。僅かだけど熱を持ってるのよ。その熱を探知すれば容易い事!」
「そんなの、分かってても出来る事じゃな〜い‼︎」
あっという間にメルの懐に飛び込んだノアがボソリと呟く。
「だって私、メチャ強いもん」
そして、メルの左頬をフルスイングでビンタするノア。
「ブギャフゥゥゥー‼︎」
その勢いで吹っ飛ばされるメル。
「や、やっぱり……ノア様は……お強……い……ガクッ」
気を失うメル。
『なーっ⁉︎ 何とノア選手、ビンタ一発でメル選手をKOしました! 桁違いの強さだー‼︎ しかし何はともあれ、これでチーム水妖館は全滅! 勇者パーティーの完全勝利です‼︎』
だが、会場中が歓喜で溢れる中、ある重要な事に気付くウル。
『ホッ⁉︎ ま、待てよ⁉︎ 本来ノアはリジェネレーションの魔法の効果により少女の姿になった元魔王。未来のノアがまだ少女のままという事は、俺もずっとフクロウのままという事か⁉︎ 君は未来のノアと言う割には、口調や雰囲気が今のノアとまるで違うし。俺達はいったいどうなったんだ⁉︎』
(ん〜。その辺の事はぁ……ネタバレになっちゃうから、ヒ・ミ・ツ)
『いや、ネタバレって何だー⁉︎』




