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第32話 ドルフィンじゃなくてデルフィン

 絶好のチャンスを逃したジアが、懲りもせずまたスネルを持ち上げ始める。


「ご、ごめんなさ〜い。あなたの能力があまりに素晴らしかったから、不意打ちするしかなかったのよ〜」


「……そんなに凄い?」


 姿は見えないが、どこからかスネルの声が聞こえる。


「ええ凄いわ。昔、あなたみたいに幻術で相手を惑わせるのを得意としてる人とよく闘ったけど、その人のは単に姿が見えなくなるだけだったけど、あなたみたいに魔法攻撃まで屈折させるなんて、ホントに凄いと思うわ」


『何とジア選手、またしてもスネル選手を褒め始めましたが、スネル選手、さすがにもう騙されないでしょう』


「エヘ、エヘヘへ。そっか……僕って凄いんだ……」


 ジアに褒められテンションの上がったスネルの姿が、薄っすらと現れ始める。


「もらったー‼︎」


《龍鳴風烈‼︎》


「ガアアアー‼︎」


 まるで龍のような咆哮を上げるジア。

 その声が衝撃波となりスネルに炸裂する。


「グハアアー‼︎」


 倒れたスネルの身体中には、無数の切り傷が出来ていた。


『なんとスネル選手、アッサリ姿を現し、そして当然の如く攻撃を受けました! 馬鹿だー‼︎』


「むぅぅぅー! 2度も騙した! メル様にも騙された事無いのにぃー‼︎」


「どこかのキャラみたいな事言ってんじゃないわよ。もう分かったでしょ? あなたじゃあたしには勝てないわ。大怪我する前に降参しなさい⁉︎」


「ヤダねー! まだ僕の能力が破られた訳じゃ無いもん! どんなにおだてられたってもう絶対出て来ないもん! バーカバーカ! お姉ちゃんのバーカ‼︎」


 捨てゼリフを吐きながら、姿を消すスネル。


「いくら子供とは言え、さすがに腹立つわね」


『ああーとぉ! またしても仕留め損ないましたジア選手! スネル選手は再び姿を消してしまったぞー! さすがに同じ手はもう使えないでしょう。どうするジア選手、何か策はあるのかー⁉︎』


 スネルに逃げられたにもかかわらず、何故か余裕の表情のジア。


「フンッ。策も何も、始めからこんなお子様はあたしの相手じゃ無いのよ」


『ジア選手、負け惜しみかー⁉︎』


「違うわよっ‼︎ いい加減な事言ってると、先にあんたから片付けるわよ⁉︎」


 鋭い眼光で実況席を睨みつけるジア。


『ヒイッ‼︎ わ、わたくし少々、漏らしてしまったかもしれません!』


 再びどこからかスネルの声が聞こえる。


「相手じゃ無いって? 言ったなー! そんな負け惜しみは僕の能力を破ってから言ってよねー!」


「負け惜しみでも強がりでも無いわよ。ただ、あたしの能力は誤解を招くから、できれば使いたくなかっただけよ」


「ふ〜ん。じゃあ使う気になったって事? なら、お姉ちゃんの能力が僕の能力を破れるか、勝負しようじゃない⁉︎」


「……勝負にもならないわよ」


 そうポツリと呟いた後、何故かいきなり歌い始めるジア。

 その歌声はとても優しく、透き通った歌声だった。


『なんと〜。ジア選手、戦いの最中にいきなり歌い始めました〜⁉︎ まあ確かに歌声を武器にする戦士も居るには居ますが。しかしジア選手のこの歌声は、何と言いましょうか……敵を攻撃すると言うよりは、逆にとても癒される歌声であります』


 ジアが歌い始めてから程なくして、上空からひとつの物体が現れる。

 その飛行する物体は、イルカに翼が付いたような魔獣だった。


『ああーとぉ‼︎ 魔獣です! どこからともなくいきなり魔獣が現れましたー‼︎ イルカに翼が生えたような姿のこの魔獣は、その名の通り空飛ぶイルカ、ボラールデルフィンだー! もしやこれは、水妖館の誰かが呼び寄せたのでしょうか⁉︎』


「ボラールデルフィン⁉︎ 何でいきなり⁉︎」


 姿こそ見えないが、明らかに動揺していると分かる声を発するスネル。


「フフッ。さすがに分かったようね? ならもう一度聞くわよ? 痛い目にあいたくなかったら、大人しく降参しなさい」


「ま、まさかお姉ちゃんが呼び寄せたの? ハッ! もしかしてさっきの歌で⁉︎」


「そうよ。幽艶歌(ゆうえんか)……歌声に魔力を乗せて魔獣を呼び寄せる、あたしの能力のひとつよ。魔族なら当然、この子の能力も知ってるわよね? この子の発するパルス音なら、あなたがどこに隠れていようと見つけ出すわよ」


 ジアの再三の降伏勧告にも従わず、なおも抵抗しようとするスネル。


「た、例え僕の居場所が分かったとしても、お姉ちゃんの攻撃は僕には当たらないんだから、意味無いもんね!」


「そう……あくまでも抵抗するんだ? じゃあ仕方ないわね」


獣身練磨(じゅうしんれんま)‼︎》


 ジアがイルカに手をかざすと、ジアから発せられた魔力がイルカの全身を包み込み光を放つ。


「行け‼︎」


「キュイー‼︎」


 ジアの号令と共に鳴き声を上げながら、何も無い空間に飛び立って行くボラールデルフィン。


「キュアー‼︎」


 叫び声のようなものを上げながら猛スピードで進んで行くと、突如スネルの慌てふためく声が聞こえる。


「うわぁ‼︎ く、来るな……ギャアアー‼︎」


 イルカが飛び去った後、ズタボロの状態で倒れたスネルが現れた。


「ま、魔獣を使うなんて……ズ、ズルイよ……ガクッ」


「これがあたしの能力なんだから、問題無いでしょ⁉︎」


『何と! ジア選手に呼び出された魔獣がスネル選手を倒しましたー‼︎ しかし魔獣を呼び寄せるなんて、ジア選手はいったい何者なのでしょうかー⁉︎』


「あたしはただの、強くて可愛くて、ちょっぴりミステリアスな美少女、ジアちゃんよ」


『自分で言ったー‼︎』


 ジアVSスネル

 ジアの圧勝。









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