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少女にされた魔王は、人助けをしないとミジンコになっちゃうそうです  作者: こーちゃ
第三章 選考会開催

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第30話 胸熱展開! にはならない

 クラフトがかろうじてスチームを撃破した頃、シャンプーのボトルを手に構えているラルムと対峙しているニーナ。

 手に持ったシャンプーを己の目に入れようとするラルムを、必死になだめようとするニーナ。


「ね〜、良い子だからそんな馬鹿なマネはやめて、普通に戦いましょ? そんな事やってもお互いの目が痛くなるだけで、戦いは全然進まないでしょ?」


「あたしはいつもやってるから慣れてるもん。だからお姉ちゃんが参ったするまでやり続けるもん」


「そんな事に慣れるんじゃないわよっ‼︎」


(でも、ああ……そういう事? こうやって自分自身を犠牲にしながら、相手に激痛を与えて降参させるって訳? はぁ……何とも非効率的だけど、いやらしい戦法ね。まあ要は、この激痛に耐えながら接近して倒せって事ね。ノアちゃんの事は気になるけど、倒した後であの娘から聞き出せばいいわ)


 剣を構えて、ラルムに向かって走り出すニーナ。


「ヒッ! 来ないでー‼︎」


 ニーナの接近に恐怖したラルムが、遂に手にしたシャンプーの液を目に垂らす。


「イギャアアアー‼︎」


 ラルムが激痛にのたうち回ると同時に、走っていたニーナも思わず剣を落とし、地面を転がり回っていた。


「痛ああああー‼︎」


『ああーとぉ‼︎ ラルム選手、遂にシャンプーを目に入れるという奇行に出ましたー‼︎ ラルム選手は当然、ニーナ選手も能力により同じように苦しんでおります‼︎』


 地面をのたうち回りながら、次なる作戦を考えるニーナ。


(無理! この激痛に耐えながら攻撃するなんて、とても無理! し、仕方ないわね。出来ればこの方法は使いたくなかったけど……)


 渋々固有能力を発動させるニーナ。

 同じく激痛にのたうち回っているラルムが、ふと騒いでいるのが自分だけだと気付く。


(あれ? お姉ちゃんの声が聞こえない? こんなに痛いのに、平気な筈は……)


 ニーナの様子が気になり、何とか片目を開くラルム。

 すると何と、いつの間に接近したのかすぐ目の前にニーナが立っていた。


「キャー‼︎」


 ビックリして叫ぶラルムの頭を、刀の峰で殴るニーナ。


「痛ああーいっ‼︎」


『ニーナ選手の一撃が遂にラルム選手に炸裂したー‼︎ しかし、どうやら峰打ちのようですが、これはニーナ選手の優しさかー⁉︎』


 目の痛みに頭の痛みも加わり、更に大泣きするラルム。


「もうあちこち痛くて、どこが痛いか分かんないー‼︎」


 しかし泣きながらも、ニーナが平然と立っている事を不思議に思うラルム。


「ヒックヒック。な、何でお姉ちゃん泣いてないの〜⁉︎ あたしの能力効いてないの〜⁉︎」


「ええ、その通りよ。もうあんたの能力は私には効かないわ」


「うえ⁉︎ 何でよ〜?」


「この涙や痛みはあんたの固有能力によるものだから、治癒魔法で治す事は出来ない」


「そうだよ〜」


「それなら、こっちも固有能力で対抗すれば良いだけの話よ」


「でもでも、お姉ちゃんの能力は肉体操作でしょ〜? 幾ら肉体を若返らせても、あたしの能力は有効な筈だよ〜?」


「逆よ」


「逆?」


「若返らせるんじゃなくて、老化させたのよ。目の周りだけね」


「え⁉︎ どういう事?」


「つまり、目に関連する神経だけを老化させて死滅させたのよ。そうすれば、涙を流す事も痛みを感じる事も無くなるって訳よ」


『なな、何と⁉︎ ニーナ選手、敵を倒す為に己の目を犠牲にしたと言うのかー⁉︎ 血も涙も無い冷血な女性かと思っていましたが、こんな熱い心を持っていたとは、わたくし感動いたしましたー‼︎』


 勝手な事を言う実況者に反論するニーナ。


「この私がそんなリスク背負う訳無いでしょ‼︎ 自分の能力で老化させたんだから、能力を解除すればちゃんと元通り見えるようになるわよ‼︎ それとあんた、後でぶっ飛ばすからね」


『ヒイッ!』


 ニーナが実況者と揉めている中、焦りながら対策を考えているラルム。


(どうしよどうしよどうしよー⁉︎ あたしの能力が通じないんじゃ、もうあたしに勝ち目無いよねー⁉︎ 潔く降参したら、命だけは助けてくれるかなー? さっきだって峰打ちだったし……)


 痛む頭を押さえながらニーナを見つめるラルム。


(いや待って? 目の神経を殺したって事は、今お姉ちゃんは完全に目が見えて無いって事よね? なら、状況は大して変わらないんじゃないの? いやむしろ、あたしも能力を使わないで済む分、普通に攻撃出来るんじゃ?)


 勝機を見つけたラルムが、物音を立てないように静かにニーナに接近して行く。

 ある程度近付き、隠し持っていたナイフを振りかぶった時、突如ニーナが刀の切っ先をラルムに向ける。


「ヒッ‼︎」


 思わず漏れた声を押さえるように口元を手で覆いながら、再びニーナの左側に回り込むラルム。


(物音立てちゃった?)


 しかし、ニーナの刀の切っ先はラルムを追跡するように動き、その後もラルムがどこへ行こうと、ニーナの刀は常にラルムを捉えていた。


(な、何であたしの居る場所分かるの〜⁉︎)


「どんなに静かに動いたって無駄よ。私は僧侶剣士。例え見えて無くても、あんたの命の波動は手に取るように分かるわ」


「そ、そうなの〜⁉︎」


「さあどうする? あんたの能力が私を泣かせる事だけって言うなら、もうあんたに勝ち目は無いわよ?」


 だが、納得の行かない様子のラルム。


「むうう〜。そ、そんな事が出来るなら、何で最初からやらなかったのよ〜⁉︎」


「確かに、この方法は早い段階で思い付いてたわ。でもね……目の周りを老化させたら、目尻にシワが増えてかっこ悪いでしょ‼︎」


「そ、それだけの理由〜⁉︎」


(攻略法があったのに、たったそれだけの理由で使わなかったの? お姉ちゃんにとって、初めからあたしなんて敵じゃ無かったんだ……)


 その事実を知り、泣きながら降参するラルム。


「グス……うえ〜ん‼︎ あたしの負けです〜‼︎」


『ラルム選手、負けを認めました‼︎ これでクラフト選手に続き、ニーナ選手も勝利しましたー‼︎』


「それだけって何よ⁉︎ 女性にとっては重要な事なのよ。まあ、お子様にはまだ分からないでしょうけどね」



 ニーナVSラルム

 結果的にニーナの圧勝

 




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― 新着の感想 ―
[一言] ニーナ、苦渋(笑)の決断にて圧勝( ˘ω˘ )
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