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第14話 レポーターじゃなくてリポーター

 全参加チームの初戦が終わり、2戦目へと突入する。

 いくつかの戦いが行われた後、いよいよチームHEN隊、クラフトの出番となった。


「よっしゃあー‼︎ バシッと決めてくるぜ‼︎」


「逆に決められなければいいがのう」


『さあみなさん、お待たせ致しました! 再び新生勇者パーティー、チームHEN隊の登場です! 今回の代表者は歩く要塞、クラフト選手だー‼︎』


 勇者パーティーの本家メンバーの登場に、大歓声が沸き起こる。


「おおー‼︎」


「クラフト様ー‼︎」


「おかえりなさいませー‼︎」


「ノアールを倒してくれてありがとうー‼︎」


「倒されとらんわい!」


 ボソッとツッコミを入れるノア。


『対するは、チームMCのリポーター選手です! 勇者パーティーのクラフト選手相手に、どこまでやれるのかー⁉︎』


「試合開始‼︎」


 レフェリーの合図により前に出て来たリポーターが、マイクのような物を自身の口の前に持ってくる。


「さあ、試合が始まりました! 新生勇者パーティーのクラフト対わたくしリポーター! あの魔王ノアールを倒した勇者パーティーのひとりクラフトに、わたくしの技がどこまで通用するのかー⁉︎ 現場よりリポーターはわたくし、リポーターがお送り致します!」


 マイクを片手に、いきなり実況を始めるリポーター。


『な、何とー⁉︎ リポーター選手、試合開始と同時にいきなり実況を始めましたー⁉︎ これはその名の通り、リポーターだー!』


 左手にマイクを持ちながら、右手を上げて振り下ろすリポーター。


「リポーター、クラフトに向けて風魔法を放ちました!」


 すると、右手から風の刃が飛んで行き、クラフトに襲いかかる。


「へっ! 何のこれしき!」


 腕に装着された小手で難なく弾くクラフト。


「リポーターの風魔法はクラフトに簡単に防御されてしまいました! しかし、間髪入れずに風魔法を放って行くリポーター!」


 リポーターの実況通り、無数の風魔法がクラフト目がけて飛んで行く。


「効かねえって言ってんだろ⁉︎」


 全ての風魔法を弾き飛ばすクラフト。


「ん⁉︎ 何だ⁉︎」


 リポーターの風魔法を受けたクラフトが、何か違和感を感じていた。


「何と⁉︎ あれだけの数の刃を全て防がれてしまいました! さすがは勇者パーティーのひとりと言うことかー⁉︎」


 リポーターに全て実況される為、オロオロしている実況者。


『あ、ええっと……リ、リポーター選手が無数の風魔法を放ちましたが、その全てを弾き返しましたクラフト選手!』


 タイミング遅れの実況を、観客にいじられる実況者。


「それもう、さっき聞いたよー!」


「違う事言えー!」


『お、思わぬ状況にわたくし、大変戸惑っております。それにしても、何故リポーター選手は自分で実況しながら戦っているのでしょうか⁉︎ どうか、わたくしの仕事を取らないでいただきたいー!』


 そんな実況者の疑問に答えるリポーター。


「ただ今スタジオより、何故わたくしが実況をしながら戦うのかという質問がありましたが……」


「スタジオって何だよ⁉︎」


「それは、これがわたくしの固有能力、疾口筝刃(しっこうそうじん)だからです」


『何とー⁉︎ リポーター選手が実況をしながら戦う理由が、本人により明かされましたー! どうやらリポーター選手の固有能力によるもの、という事ですが、いったいどんな能力なのかー⁉︎』


 実況者の疑問に、また律儀に答えるリポーター。


「お教えしましょう!」


「教えるのかよ⁉︎」


「固有能力、疾口筝刃とは、わたくしが噛まずに上手く実況すればする程、どんどん風魔法の斬れ味が増して行くという能力であります!」


『皆様、お聞きになりましたでしょうか⁉︎ そういう能力だそうです!』


「実況の奴、端折りやがった!」


 リポーターの説明に、納得するクラフト。


「そうか。何か風魔法の威力が上がって来たような気がしたが、気のせいじゃなかったか」


「しかし、いくら能力の正体が分かった所で、放つ度に威力の上がるわたくしの風魔法を防ぐ事は難しいでしょう!」


「へっ! なら、力比べと行こうじゃねーか‼︎」


 避けようとせず、仁王立ちのままリポーターの風魔法を受けるクラフト。


「何と⁉︎ 防御するでも避けるでもなく、わたくしの風魔法をモロに食らいましたクラフト! これはいったいどういうつもりだー⁉︎」


「避ける必要が無えからだよ!」


『そう! 避ける必要など無いのです! 何故ならクラフト選手には、どんな攻撃をも無効にする無敵の固有能力、絶対防御があるのです‼︎』


「さあ! いくらでも撃って来やがれー‼︎ どんなに威力を上げようが、俺様には通用しねぇがなー‼︎」


 無防備のままどんどんリポーターに近付いて行くクラフト。


「な、何という威圧感でしょうか⁉︎ こうも無防備で迫られると、さすがにわたくし恐怖を覚えます!」


 実況しながら次々に風魔法を放つリポーター。

 しかし御構い無しにずかずかと歩いて、間合いを詰めるクラフト。


「何故通用しないのかー⁉︎」


 そのまま間合いに入ると同時に、リポーターをぶん殴るクラフト。


「どっせーい‼︎」


「グハアアー‼︎ わ、わたくし一度も噛まなかったにもかかわらず……ク、クラフトにわたくしの能力は全く通用しません、でした。で、出直してまいり、ます……ガクッ」


 レフェリーが腕を交差させて、試合終了を告げる。


『決まったああー‼︎ クラフト選手の勝利により、チームHEN隊の勝ち残りが決まりました‼︎ しかし終わってみれば、リポーター選手の攻撃を物ともしなかったクラフト選手が、一撃で勝負を決めてしまいました! さすがに勇者パーティーは強かったー‼︎』


 そんなクラフトを見て、感心するナオ。


「少々JPの無駄遣いな気もしますが、力の差を見せつけるには効果的な戦い方でしたね」


 そんなナオの言葉を否定するニーナ。


「無駄遣いどころか、クラフトのJPなんてとっくに無くなってるわよ」


「え⁉︎ でも現に無傷で……」


 振り返って親指を立てたクラフトが、いきなり全身血だらけになりながら倒れ込む。


「どうやら筋肉を締めて、無理矢理出血を止めてたみたいね」


『な、何とクラフト選手もボロボロだー‼︎ 無傷かと思われましたが、単なるやせ我慢だったああー‼︎』




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