第15話 やっぱ技の名前は叫ばないとね
マルダの火球により、気を失い倒れているウル。
火は既に消えているものの、お腹部分の毛が焦げ落ち、綺麗な円形ハゲになっていた。
「意味も無く格好つけるからじゃ! 後で治す前に写真を撮って、みんなで大笑いしてやるわい!」
(しかしどうするかの? 武器は期待出来ないとなると魔法のみで行くしか無いが、ウルがあのザマではJP残量も分からんしのう。戦略の立てようが無いぞい)
ノアが色々考えていると、何やらマイクスタンドの様な物を取り出すマルダ。
「貴様! それは何じゃ?」
「お前が動こうとしないからよー! 俺様の熱い叫びで、お前の心を動かしてやるぜえええー‼︎」
マルダがマイクに向かって叫ぶと、強烈な熱風がマルダから放たれる。
「ぐうっ! な、何じゃこの熱量は⁉︎ 《アイスウォール‼︎》」
氷の壁を作り出すノアだったが、マルダの放つ熱風により瞬く間に氷が溶けてしまう。
「くっ! なら《アイスバーグ‼︎》」
巨大な氷の山がノアの前に現れる。
「そんなもんじゃ、俺様の燃えるハートは止められない、ぜええええー‼︎」
先程よりも更に高い声でシャウトするマルダ。
「ぐっ! 何じゃ⁉︎ さっきより熱量が上がりおったぞ⁉︎」
「そう! これが俺様の固有能力! 《六霊苦》だ、ぜえええー‼︎」
「り、六霊苦じゃと⁉︎」
「俺様が高音を出せば出す程、俺様の炎も高温になって行くんだ、ぜえええー‼︎」
「何じゃそのダジャレみたいな能力はっ⁉︎」
一方、ノアとは違う意味で大ピンチなジア。
ジュールの攻撃により、どんどん服が消滅して行く。
「ちょっと‼︎ やめなさいよあんた‼︎ こんな攻撃して、恥ずかしくないの⁉︎」
「何を仰る? 恥ずかしいのはあなたの方でしょう?」
「上手く言ったつもりかー⁉︎」
「それに、これは攻撃では無く、単に我輩の趣味です」
「余計にタチが悪いじゃないのさー‼︎ もう、仕方ないなー」
なす術無しかと思われたジアが身体を隠すのをやめ、スッと立ち上がり短剣を構える。
「おや? 隠すのをやめたのですか? では存分にあなたの淫らな姿を堪能させて頂きますよ」
「表現がいやらしいのよ! まあいいわ! いくらでも見せてあげるわよ! ただし、あたしの身体じゃなくてこの舞を、だけどさ‼︎」
そう言って右手に持った短剣を空に、左手に持った短剣を地に向けるジア。
すると、ジアの立っている場所に魔法陣が現れる。
両腕を水平にして叫ぶジア、
「魔装‼︎」
まるで舞うように、その場で回り始めるジア。
するとジアの周りに風が巻き起こり、ジアの姿を隠して行く。
回転が止まると同時に周りの風が消え、そこに現れたのは、まるでアラビアの踊り子のような衣装をまとったジアだった。
「なっ⁉︎ 服が変わった⁉︎ 何ですかそれは?」
「あれ? 魔装知らないの? そっか……普通の魔族は魔装なんてしないもんね」
「魔装? しかし、服装が変わったからといって、それが何だと言うんです⁉︎ 我輩の能力でまた、剥ぎ取ってあげますよ!」
「やれるもんならね!」
全く防御する事無く、仁王立ちでジュールの攻撃を受けるジア。
ジュールの黒い球がジアの魔装衣に当たりそうになるが、何か見えない壁のような物に遮られて、服に当たる前に全て落下していく。
「魔法障壁⁉︎」
「そ。魔装衣はただの服と違ってあらゆる障壁に守られてるからさ。並の攻撃じゃ当てる事も困難だよ!」
悠然と歩いてジュールに近付いて行くジア。
焦るジュール。
「わ、我輩のささやかな楽しみがー!」
「最低!」
「ぐうっ! ならば趣味の時間は終わりです! ここからは全力で攻撃させてもらいますよ!」
「最低の趣味!」
黒い球に魔力を集中させるジュール。
連射速度は落ちるものの、今までよりも大きくなった球を撃ち出すジュール。
「この球の威力は先程までの比ではありません! 当たれば大ダメージを受けますよ!」
「当たれば、でしょ?」
その言葉通りジュールが撃ち出す球を、まるで舞う様にことごとく剣で弾いて行くジア。
「ば、馬鹿なっ⁉︎ 全く威力の無い、衣服を剥ぎ取る為だけの先程までの球とは違い……」
「ホント最低……」
「殺傷を目的としたこの球まで簡単に弾き返すとは⁉︎」
「魔装はただ防御力が上がるだけじゃない。パワーだってスピードだって上がるんだから! ましてやさっきより速度の落ちた球を打ち返すなんて、赤子の手を撫でるより簡単!」
「それを言うならひねるでしょー⁉︎」
「そうとも言うわね!」
間合いに入ったジアが両手の短剣を逆手に持ち替え大きく振りかぶり、その場で高速回転を始める。
《龍双……連舞うう‼︎》
回転の勢いのまま、2本の短剣でジュールを斬り刻むジア。
「ガハアアアー‼︎ そうとしか、言いません」
ピタッと回転が止まり、ビシッとポーズを決めるジア。
「そ、その服も……剥いで……みた、かった……ガクッ」
仰向けに倒れ、気絶するジュール。
「ほんっと最低……うぷっ! ヴエエエー‼︎」
ジアは吐いた。
四乃森蒼紫とは関係ございません。




