第10話 サービスターイム!
脱衣所でニーナに追い詰められているナオ。
「ナオちゃ〜ん。逃げ場は無いわよ〜」
「じ、自分は自分で脱げますからー‼︎」
「目を離すと逃げるつもりでしょ? ノアちゃん! 出入り口は押さえててね!」
「うむ、了解じゃ」
「ほら! 観念しなさい、ナオ!」
「ちょ、ちょっと待ってください! イヤアアアア‼︎」
ニーナに無理矢理服を剥がされたナオが、洗い場の隅で涙目になってイジケている。
その間に二人掛かりで、ウルの身体を洗うノアとニーナ。
「クワッ! クワアア! クワーッ‼︎」
「こりゃ! 暴れるでない! 上手く洗えんじゃろうが!」
「裸の幼女2人に身体を洗ってもらってるんだから、もっと喜びなさいよ!」
今この風呂場に、リアルな幼女はひとりも居ない。
「クワアアアアー‼︎ ……ホーーーー」
「よし、終わったわ」
「これで獣臭に悩まされる事は無くなったわい」
「さて、次は……」
チラッと隅っこでイジケているナオを見る、ノアとニーナ。
「自分で洗いますからねっ‼︎」
身体を洗った後湯船に浸かり、ひと息つくノア達。
ナオはノア達に背を向けて湯船に浸かっている。
その側を、放心状態のウルが仰向け状態で湯船に漂っていた。
「でもまさか、こんなにも早く新たな魔王が出て来るなんてね」
「余が居なくなったからの。今が好機と見たんじゃろう」
「それに、七星魔天とか言いましたか? 今回は何とか勝てましたが、部下達でさえかなりの強さでしたよ」
「そうね。頑丈なだけが取り柄のクラフトが、ああもダメージを受けたんですもの、相当厄介な連中みたいね」
「あともうひとつ謎なのが、ノアさんの固有能力です」
「確かに。姿が変わるだけならナオの変身能力と大差無いけど、あの強さは本物だった。それに、見た目こそノアちゃんだったけど、知らない筈のウルの固有能力を知っていたのも変だしね」
「もしかして、未来のノアさんの精神が一時的に乗り移る、みたいな能力でしょうか?」
「そうね。そう考えれば、あの強さもウルの能力の事を知っていた事も、説明がつくわね」
ニーナ達の考察に、ある事に気付くノア。
「ち、ちょっと待つのじゃ! もし本当に未来の余が乗り移ったと言うなら、余はずっとこの姿のままということになるではないか⁉︎」
ノアの発言を、キョトンとした顔で聞いているニーナ。
「それが何か問題有るの? 魔族は男女の区別が曖昧なんでしょ? なら、このまま女として生きればいいじゃないの」
「いやしかし、そうは言っても今更のう……」
ノアと同じような境遇のナオも賛同する。
「そりゃあ自分だってずっとこの姿のままと言うのは抵抗ありますが、ミジンコよりはうんとマシですからねえ」
「う、うむ……それはそうじゃが……」
一夜明けて食堂に集まったノア達。
「あっ!」
ニーナが突然声を上げる。
「何だよニーナ⁉︎ びっくりするじゃねーか⁉︎」
「思い出したー! 私の刀!」
ギクッとなるノアとウル。
「ああー、そういえば綺麗に折れてましたねー」
「そうよ、ノアちゃん! さあ、弁償してもらいましょうか!」
「いや、いきなり弁償と言わ……」
「そう? お金無いのね? 分かったわ、ならこうしましょう!」
ノアに弁解する隙を与えず、どんどん話を進めて行くニーナ。
「まだ何も言うとらんじゃろうが!」
「あれは50万ゴールドもした名刀なのよ? ノアちゃん払えるの? ねえ、そんな大金払えるの? なら払ってよ! ほら、ねえ!」
「そそ、それは……今すぐには無理じゃが……」
「そうよね? ならこうしましょう!」
「完全にノアさんが弁償出来ない事を見越してますね」
「今後ノアちゃんには日替わりで、私が用意した様々な衣装を着て過ごしてもらうわ。そしてその姿を写真に撮らせてちょうだい。そうすれば、弁償するのは勘弁してあげるわ!」
「んなっ⁉︎ むぐぐぐ……く、屈辱じゃが、し、仕方あるまい。して、それをいつまでやれば許してくれるんじゃ?」
「ん〜。まあ、私が満足するまでね」
「そんなの、お主のさじ加減ひとつじゃろおお!」
そんなやり取りを聞いたクラフトとナオが、ニーナと小声で相談する。
「お、おいニーナ。その写真、俺様にも回してくれるんだろうな?」
「じ、自分だって欲しいですよ」
「またあんた達が役に立ったら分けてあげるわよ」
「よっしゃああ」
「頑張りますよ」
「そこで何を悪巧みしとるかっ‼︎」
そしてこの日より、ノアのコスプレショーが始まるのであった。
「じゃあ服は改めて買いに行くとして、まずはとりあえず偶然たまたま奇跡的に私の荷物の中に紛れてた、このセーラー服を着てもらいましょうか」
「いやそんな物、偶然には入ってませんよ」
「ハッ! 大方この年増が趣味で持ってた……グボッ‼︎」
その瞬間、ニーナの右拳がクラフトの顔面にめり込んでいた。




