第6話 どんなときも〜、どんなときも〜
サテラを倒したナオが、ニーナに写真の返却を求めていた。
「撮った写真を渡してください、ニーナさん!」
ニーナのカメラを奪い取ろうとするナオ。
「イヤよ! 私が撮ったんだから、これは私の物よ! 欲しいならお金払いなさい!」
「どんな屁理屈ですかっ! 自分は撮る事を許可した覚えはありません!」
「イヤああ‼︎ ナオに襲われるー‼︎ ロリコンの変態に襲われるー‼︎」
「人聞きの悪い事を言わないでください!」
本来ならば、成人男性が成人女性を襲っている構図だが、実際には可愛い姉妹がただじゃれている様にしか見えなかった。
そんな中、ニーナが何かを思い出したように足を止める。
「あっ、そういえば忘れてたわ! 私はクラフトのバカを治療してくるから、あなたはその人達を守ってなさい!」
「ち、ちょっと! ニーナさん⁉︎」
「絶対にその人達の側を離れちゃダメよー‼︎」
「あなた、おもいっきり離れていたじゃないですか……」
そして、最後に残ったルーネスと対峙しているノア。
「あーあ。ラパンもサテラも負けちゃった……どうせ僕も負けるんだろうなー」
酷く落ち込み、ネガティブ発言をするルーネス。
「しょ、勝負はやってみんと分からんじゃろうが⁉︎」
『ホウ。何故お前が励ます』
「やらなくても分かるよ。だって僕は七星魔天の第7位だよ、第7位。7人中7位だよ? つまり1番弱いって事なんだ。あーあ、来るんじゃなかったなー」
「な、何てネガティブな奴なんじゃ? そんなに負けるのが怖いなら帰ればいいじゃろう? そっちが何もせんのなら、こっちも手出しはせんぞ?」
「ハア……そうしたいのは山々なんだけど、一応僕は七星魔天のひとりだからねー。君達が勇者パーティーだと分かった以上、見過ごす訳にはいかないんだよねー」
「勇者パーティーと言われるのはまだ抵抗あるが、どうしてもやると言うなら行くぞい! 《ストレングス‼︎》《ダークショット‼︎》」
肉体強化魔法をかけておいてから、闇の魔法弾を放つと同時にルーネスに向かって走って行くノア。
(魔法弾を弾くにせよ防御するにせよ、その直後に肉弾戦じゃ。さあ、貴様の戦闘スタイルを見せてみよ!)
ルーネスの反撃を見越して警戒しながら接近していたノアだったが、全く避けようとも防ごうともせずに、魔法弾の直撃を受けて倒れるルーネス。
「ぐはあっ‼︎」
「何じゃと⁉︎」
まさかの展開に急ブレーキをかけて止まったノアが、呆気にとられていた。
「な、何なんじゃ貴様は⁉︎ 何故何もしようとせんのじゃ⁉︎」
倒れたまま両手で顔を塞ぎ、また愚痴を言い始めるルーネス。
「ほらあ、やっぱり僕なんかじゃ勝てないんだー。やっぱり来るんじゃなかったー」
「いや貴様、何もしとらんじゃろうが‼︎」
ツッコミを入れたノアだったが、ルーネスの様子がおかしい事に気付く。
「何じゃ⁉︎ 奴の姿が霞んで……?」
ノアの目には、ルーネスの姿が透けているように見えた。
(オイ、ウル! 奴の姿が透けて見えるのじゃが、気のせいか⁉︎)
『ホッ。老眼だろ?』
(余はそこまで老けておらんわー‼︎)
『まあそれは冗談だが、確かに俺の目にも奴の姿が透けて見える。奴の能力かもしれん、気を付けろ』
(う、うむ)
だが、依然として立ち上がろうとはせず、更に泣き言を言い始めるルーネス。
「あーあ。身体も痛いし、寝てる方が楽だし、このまま目をつぶったら城に帰ってないかなー」
すると、益々ルーネスの身体が透け始める。
『いかん! やはりあれは奴の能力だ! このままでは奴の姿を完全に認識できなくなる恐れがある。すぐに攻撃するんだ!』
「お、おう!」
ウルに言われて、すぐさま攻撃魔法を放つノア。
《メテオライト‼︎》
巨大な岩の塊が空から落ちて来てルーネスに迫る。
どんどんルーネスの魔力が高まって行く。
「ムギュッ‼︎」
岩がルーネスを押し潰した。
「いや潰されるんかいっ‼︎」
抵抗する事無く岩に潰されたルーネスにノアがツッコミを入れていると、ウルが異変に気付く。
『待て‼︎ 様子がおかしい‼︎』
ルーネスが潰された岩の下からドス黒いオーラが溢れ出し、ノア達を包み込む。
「何じゃ、この魔力は⁉︎」
ノア達の周りが完全な闇に覆われ、何も見えなくなる。
(何じゃこの闇は? オイ、ウル! 貴様フクロウじゃろう? 夜目がきくんじゃないのか?)
ジッと目を凝らして闇を見つめるウル。
『ホー。ダメだ、何も見えない。ただの闇では無いのだろう』
(何じゃ、やっと役に立つかと思うたら、相変わらず使えん奴め!)
「クワッ⁉︎ クワアアアア‼︎」
容赦の無いウルズクローが、ノアの肩に食い込んでいた。
「いだあああ‼︎ ば、馬鹿者‼︎ こんな状況でやめんかああ‼︎」




