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第11話 敵か味方かロリコンか?

 カウンターに隠れているノアに困惑する受付嬢。


「あ、あのー、ノアさん? こちらは関係者以外は立ち入り禁止ですのでー」


「わ、分かっておるわ! 少々待っておれ!」


「は、はあ……」


『何を照れているんだ? お前は』


(べ、別に照れとらん! 戦闘以外であんな大勢の人間共に迫られた経験が無いから、ちと戸惑っただけじゃ!)


『ホウ。まあ、既にお前は有名人になった訳だから、そういう目にも慣れていかねばな』


(むう……よし!)


 カウンターの裏でうずくまっていたノアが、気合いを入れてから顔を出す。


「ノアちゃん見〜っけ‼︎」


 ノアがカウンターから顔を出した時、反対側に居たのはクラフトだった。


「にゃああああっ‼︎」


 思わず反射的にクラフトの顔面に、カウンター越しにカウンターパンチを撃つノア。

 だが、ダメージを受けたのはノアの拳の方だった。


「いっだあああー‼︎」


「あ、悪りぃ。つい絶対防御使っちまった。素手で殴るとケガするぜ?」


 右拳を抑えながら、またうずくまるノア。


(な、何故こやつはJPを50も使う固有能力を、こんな事で使うとるんじゃ? バカなのか?)


『バカなんだよ……』


「それより聞いたぜノアちゃん。クエストに行くんだろ⁉︎ だったら俺様とパーティー……」


「お断りじゃっ‼︎」


 クラフトが言い終わる前に拒否するノア。


「ええー⁉︎ 何でだよー? 俺様は仮にも勇者ウルの仲間なんだぜ? 俺様と行けば並のクエストなんて楽勝だってのに」


 その理由は、その場に居たクラフト以外の全員が分かっていた。


(そりゃあ、クラフト様はロリコンで有名だしなー)


(ああ、わざわざオオカミと2人きりでクエストになんか行かねーよなー)


(そんじょそこらの魔獣なんかよりよっぽど危険だっつーの)


 そこへ、ひとりの男が名乗りを上げる。


「ならば、自分も一緒に行くのではいかがですか?」


「何⁉︎」


 クラフトが振り返ったそこに居たのは、先程行きなり出て行ったナオであった。


「ナオ⁉︎ 何だよお前? 急に出て行ったと思ったらまたいきなり現れやがって」


「急用だと言ったでしょう? 用が済んだので宿屋に戻ったら、ノアさんがこちらに居るとうかがいましたからね」


「チッ! やっぱお前もノアちゃんが目当てか⁉︎ まあ、分かるけどよ」


 改めて、カウンターの奥でうずくまっているノアに確認を取るナオ。


「さあ、いかがですかノアさん? 自分が共に行けば、あなたをクラフトの魔の手から守ってあげられますよ?」


 ナオの言葉に反論するクラフト。


「何言ってやがる! お前だってロリコンだろうがっ! ノアちゃん! こいつはこんな口調だが、俺様よりも危険な男なんだ! こんな危ない奴はほっといて、俺様とだけ行こうぜ!」


「あなた。そんな事を言っていると、ニーナに言いつけますよ?」


「二、ニ、ニーナは関係無えだろー⁉︎」


 言い争いをしている2人だったが、全く反応の無いノアを不審に思いカウンターを覗き込むクラフトとナオ。

 そこにノアの姿は無かった。


「ノアちゃん⁉︎」


「ノアさん⁉︎」


 受付嬢がノアの行き先をバラす。


「あのー、ノアさんなら先程出て行かれましたよ?」


「な〜に〜⁉︎ また逃げられたか⁉︎ ノ〜ア〜ちゃ〜ん!」


「あっ! 待ちなさいクラフト!」


 ノアを追いかけて外に出て行くクラフトとナオ。

 その時ノアは、ギルドのすぐ隣にある屋台の裏に隠れていた。


「何やってんだい? お嬢ちゃん」


 屋台の店主が、ノアに尋ねる。


「ソフトクリームひとつじゃ」


「まいどあり〜」


「しかしどうしたもんかのう。2人揃ってロリコンだなどと、あんな奴等とは危なっかしくてクエストなんぞ行ってられんわい」


『だが、実力は本物だぞ?』


「いくら実力があろうと、変態共と行くのはお断りじゃ!」


「クエストに行きたいのなら、私と行きませんか?」


「何?」


 そこへ現れたのは猛堕将のボスとの戦いの時、ノアを援護してくれた少女だった。


「お主は……」


 また人が増えた事に困惑する店主。


「お嬢ちゃん達? ここは休憩所じゃねえぜ?」


「おじさん。イチゴソフトひとつ」


「まったく……食べ終わったら出て行ってくれよ?」


 ノアの説得を始める少女。


「事情は分かっています。クエストに行きたいけど、ロリコン達に付きまとわれて困っているのでしょう? ならば、私と先にパーティーを組んでしまえば、さすがに彼らももうあなたを追い回す事はしないと思いますよ?」


「むう。確かに一理あるのう」


 乗り気なノアに対し、少女を警戒しているウルが反対する。


『オイ、ノア! この少女はどこか得体が知れない。やめておいた方がいい』


(何を言っておるのじゃ? こやつは余を助けてくれたではないか? 敵ならば何故助ける?)


『それ自体、お前を信用させる為の罠かもしれんだろう?』


(貴様は人間のくせに同じ人間を信じられんとは、哀しい奴じゃのう)


『いや、お前は魔王のくせに、何故簡単に人間が信じられるんだ⁉︎』


 黙ったままのノアに確認する少女。


「どうしますか? 一緒に行ってくれますか?」


「あー、うむ。構わんぞ」


「ありがとうございます。では早速、私が受けたクエストに一緒に行きましょう!」


「うむ」


『ホー。どうなっても知らんぞ?』


「ああ、そういえばお主、名は何と言うのじゃ?」


「私ですか? 私は、ナ……」


 何かを言いかけて口をつぐむ少女。


「な?」


「泣く子が居れば、すぐに駆け付ける! 美少女戦士、ルナール!」


 店に迷惑がかからないように、小さくポーズを取りながら名乗りを上げる少女。

 それを見て固まるノアとウル。


「怪しいと言うより痛過ぎる。やはりやめておくかの?」


『そうだな。そっとしておいてやろう』


「いや、痛い娘じゃないですからぁ! 可哀想な人を見る目で見ないでくれませんかぁ⁉︎」







セーラームーンとは関係ございません。

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