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第10話 ノア、ツンデレになる

 ノアを見つめてデレデレしているナオを問いただすクラフト。


「オイ、ナオ! 急に昨日から居なくなったって聞いたから、探し回ってたんだぜ? 今まで何やってたんだ?」


「それは……」


 事情を説明するかと思われたナオが、ふと何かを思い出したように手を叩く。


「あっといけません! 自分、急用を思い出しました! 失礼します!」


 そう言うと、足早に宿屋を出て行くナオ。


「なっ⁉︎ オイ! ちょっ、待てよ!」


 すぐに後を追いかけたクラフトだったが、既にナオの姿は無かった。


「チッ! 何だよアイツ⁉︎ ま、元気ならそれで良いけどよ……後はウルの行方と、あいつが目覚めるのを待つだけか……」


 意識を取り戻したナオに喜ぶ反面、ウルの安否とまだ眠ったままの仲間の事を想い、複雑な表情のクラフトだった。

 しかし、すぐに明るい表情になるクラフト。


「おっとそうだ! ノアちゃんを連れてクエストに行こう! 猛堕将をひとりで壊滅させるなんて、やはり俺様の目に狂いは無かった訳だな!」


 再び宿屋の中に入るクラフト。


「ノ〜ア〜ちゃん! 一緒にクエスト行こ〜!」


 まるで子供の様にバカっぽい誘い方をするクラフト。


「ノアお姉ちゃんならさっき裏から出て行ったよ?」


「な〜に〜⁉︎ ノアちゃん、待って〜‼︎」


 慌てて飛び出して行くクラフト。


「名演技じゃったぞ? チカよ」


「えへへ。どういたしまして」


 実は隠れていたノアがチカを褒める。


「ウル様のパーティーの人達って、みんなロリコンだって有名だもんね。ノアお姉ちゃんも気を付けないとだね」


 チカの言葉に、呆れ顔のノア。


(オイ。有名らしいぞ?)


『ホ、ホオオオオ……』


(そのロリコンパーティーのリーダーという事は、やはり貴様もロリコンなんじゃないのか?)


『ち、違う! だだ、断じて違う!』



 クラフトの魔の手から逃れたノアが、今日の予定を考える。


(さて、今日はどうするかの? もう宿の心配は無くなった訳じゃから、無理に金を稼ぐ必要も無いじゃろ?)


『ホウ。とは言っても最低限の金は必要だし、JPは常にある程度は確保しておきたい』


(ゔえっ。ではまた例の店に行くのか?)


 また愛想笑いと猫かぶり、そして客達の目に晒される事を思い出し、げんなりとした表情になるノア。


『いや、もう一度冒険者ギルドに行ってみよう』


(何じゃと? しかし以前に登録を断られたではないか?)


『ああ。しかしあの時とは状況が変わった。お前がクラフトと互角の戦いをし、誘拐された少女を助け出し、猛堕将を壊滅させた事は既に周りに知れ渡っているようだ。もしかしたらギルドも態度を軟化させるかもしれない』


(ではそれで登録が出来れば、もうあの店に行って猫をかぶらなくてもいいという訳じゃな?)


『そうだ。まあもっとも、お前があのメイド服姿を気に入っていると言うなら、話は別だがな』


(気に入っとらんわい!)

 

 ウルの提案を受け、再びギルドに行ってみる事にしたノアが、チカに行き先を告げ宿屋を後にする。


「では行ってくるぞい」


「うん。ノアお姉ちゃん、ウルちゃん、行ってらっしゃ〜い! お仕事頑張ってね〜!」


 両手を振って見送るチカ。


 以前に追い出されたギルドに到着したノアが、早速受付嬢の元へ行く。


「余は大魔王ノアーにゃああああー‼︎」


 早くもウルズクローを食らい、カウンターの前にうずくまるノア。


『完全にわざとやってるだろ?』


(こ、この方がこやつも余の事を思い出すかと思ったんじゃああ)


「ノアさんですね⁉︎ お待ちしてました!」


 受付嬢が明るい表情で、カウンターの上から覗き込むようにノアに声をかけて来る。


「う、うむ。そうじゃが?」


「ノアさんのご活躍はこのギルドにも伝わっています。以前は大変失礼しました。あなた程の実力者ならば無条件で登録させて頂きますし、優先的にクエストの依頼をさせて頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか?」


「そ、そうか? ではよろしく頼むぞい」


 受付嬢のテンションの高さに圧倒されたが、何はともあれようやくギルドに登録する事が出来たノアだった。


「さて、早速ですが本日はクエストをお受けになりますか? 現在出ているクエストはこちらになりますが」


 受付嬢がカウンターの上に依頼の一覧表を広げる。


「うむ、そうじゃな……」


 ノアが依頼に目を通していると、周りに居た冒険者達がノアとパーティーを組もうと次々に名乗りを上げて来る。


「ノアさん! 是非俺達とパーティーを組んでくれませんか?」


「いや、僕と一緒に行きましょう!」


「いいえ! 女の子は女の子同士、私達のパーティーに入って!」


『ホッ! 一夜にして大人気だな。ん? どうした? ノア』


 己の人気ぶりにどうしていいか分からず、顔を真っ赤にしてうろたえるノア。


「は、はにゃ……余、余は大魔……に、人間などに……人気が出て……う、嬉しくなんか無いんだからねええ‼︎」


 まるでツンデレ少女のようなセリフを吐きながら、カウンターの中に隠れてしまうノア。


「「「か、可愛い……」」」


 更に冒険者達の心を鷲掴みにしたノアであった。


 



木村拓哉さんとは関係ございません。

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