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第7話 プレイボール!

 3階に上がる階段の前に、3人の男達が待ち構えていた。


「よくここまで勝ち残って来たな!」


「だが、決勝へは行かせんぞ!」


「何のじゃ⁉︎」


「我らは、猛堕将のクリーンナップトリオ!」


「やはりこやつら、分かってて言うとるじゃろ?」



 順番に名乗りを上げる、クリーンナップトリオ。


「俺の名はゴロ!」


「俺の名はフライ!」


「俺はサンシンだ!」


「三者凡退しとるではないか‼︎」


「「「これでサヨナラだ‼︎」」」


「上手いこと言うたつもりかっ‼︎」


 3人一斉にノアに襲いかかる。


「出直して来ーいっ‼︎」


「「「グハァッ‼︎」」」


 だが、いとも簡単に打ち取ら……討ち取られるクリーンナップトリオ。


「練習不足じゃ! 愚か者共」


「2軍からやり直しか……ガクッ」


 2階に潜んでいた敵を難なく倒したノア。

 しかしなんやかんやで、残りのJPは45まで減少していた。


「チッ! 雑魚ばかりとはいえあれ程の大人数だと、さすがに消耗したわい」


『最悪人質を助け次第、即脱出する事を考えた方がいい』


「貴様! 魔王である余に逃げろと言うかっ⁉︎」


『いや、思いっきりフェンリルから逃げてただろう?』


「あ、あの時は戦う術が無かったから仕方なくじゃ!」



 そして決勝……3階に上がったノアが、大きな扉を開き中に入る。

 部屋の中は仕切りの無い、巨大なフロアだった。


「よお! 待ってたぜ! お前がたったひとりで乗り込んで来たっていうガキか」


 そのフロアの奥にある椅子に座っていた男が話し出す。


「貴様が、親玉じゃな?」


「ああそうだ。俺が猛堕将のボスのスランプだ」


「いや、貴様が一番ダメじゃろっ⁉︎」


「あ? 何の話だ?」


「何でもないわい」


「随分と暴れてくれたみたいだな? おかげで、せっかく復活したばかりの猛堕将がいきなり総崩れだぜ」


「まあ、噂程では無かったがのう」


「テメェ……」


 一瞬怒りの表情に変わったスランプだったが、すぐにまた平静を取り戻す。


「フッ、また強え奴らを集めてやり直しだ。そこでだ! どうだガキ。お前、俺の部下にならねぇか?」


「何じゃと⁉︎」


『オイ、ノア! 耳を貸すな!』


「そうだ。俺は強い仲間を求めている。その点、お前の強さは申し分無い。俺と来れば、正のオーラなんかに頼らなくとも、自由に魔法を使える方法を教えてやるぜ?」


「何っ⁉︎ それは本当か?」


『ノア‼︎』


 懲りもせず、また良からぬ事を考え始めるノア。


(正のオーラが無くても、じゃと? ならば人間共に媚びへつらって感謝されずとも良いのでは……)


『オイ、ノア……』


(な、何じゃ?)


『悲しいお知らせだ』


(ぐっ! ま、まさか⁉︎)


『察しの通り、JPが15まで下がったぞ』


(なああっ⁉︎)


『お前、また変な事を考えただろう?』


(ち、ちょっと魔が差しただけじゃろ? 魔王だけに)


『10になったぞ?』


(何でじゃあっ⁉︎)


 中々返答しないノアに、確認を取るスランプ。


「オイ! どうなんだ? 俺の部下になるのかならねえのか?」


「き、貴様が……」


「あん? 何だって?」


「貴様がくだらん事を言いだしさえしなければ、JPを失う事も無かったのに……」


 怒りに震えるノア。


「だから、そのJPに頼らねえで済む方法を教えてやるってんだろ?」


「黙れ雑魚が‼︎ 何故自分よりも弱い奴の下に付かねばならんのじゃ‼︎ 身の程をわきまえよ‼︎」


「この野郎……交渉、決裂だなああ‼︎」


 怒り狂ったスランプがいきなり立ち上がり、ノアに殴りかかる。


「やかましいわっ‼︎」


 一瞬でスランプとの間合いを詰めたノアが、強烈なカウンターパンチをスランプの左頬に炸裂させる。


「ぶぐぅおぇああああー‼︎」


 ノアのパンチの威力で、さっき座っていた椅子まで吹っ飛ぶスランプ。


「ハッ! やはり雑魚ではないか。JP残量を気にするまでも無かったわい。さて、小娘の場所を聞き出して帰るとするかの」


『待て、ノア!』


「何じゃ?」


『どうやら、まだのようだ』


「何じゃと?」


 ウルの言葉通り、足元がフラつきながらもまだ立ち上がって来るスランプ。


「ヘッ、へへ。な、中々やるじゃねぇか」


「ハッ! どの道次で終わりじゃ」


 とどめを刺そうと、スランプに近付くノア。

 ニヤリと笑い、指を鳴らすスランプ。

 すると奥に隠れていた部下が、チカを連れて出て来る。

 その手に握られたナイフをチカの顔の前にチラつかせながら。


「小娘……」


「ノアお姉ちゃん‼︎ ウルちゃん‼︎」

 

『やはりこうなったか』


 そしてスランプが、定番のセリフを吐く。


「抵抗したらこのガキの命は無ぇぜ? なぁに、大人しく俺の部下になると誓うなら、このガキは返してやってもいいぜ?」


「お断りだと言ったじゃろうが!」


「ヘヘッ! お前、ノアって言うのか? 部下が嫌なら、俺の嫁にしてやってもいいぜ?」


「いやこの街にはロリコンしかおらんのかっ‼︎」


『どうするんだ、ノア? 何か手があったんじゃないのか?』


(色々考えておったが、あくまでJPがあればの話じゃからのう)


『いや、半分はお前が悪いんだろう』


(ふう、仕方ない。こうなったら奥の手を使うか)


『奥の手? 何だそれは?』


(これは、余自身にも危険が及ぶ可能性がある手なので、出来れば使いたくなかったんじゃが……)


 何やら、深刻な表情のノア。


『何だ? 俺に何か出来る事があれば協力するぞ?』


(何? そうか、ウルよ。協力してくれるのか?)


『あの娘を助ける為だろう? 何でも言ってくれ!』


(そうか……)


 急にニヤリと笑うノア。


「確かに証言は取ったぞ! ハッハー! これでリジェネレーションが発動する事は無い筈じゃ!」


『ホ?』


 右手でウルをがっしりと掴んだノアが大きく振りかぶる。


『オイ、待て‼︎ な、何をする気だ? ま、まさか⁉︎』


「お主の見せ場じゃ! 役に立ってこおおーい‼︎」


 そして、チカを捕まえている男に向けて思いっきり投げた。


「クワアアアアアアー‼︎」


 きりもみ状に激しく回転しながら飛んで行くウル。

 そのクチバシが凄まじい勢いで男の額に激突する。


「ガハアアアアアーッ‼︎」


 ウルと男は共に目を回して倒れたが、チカは全くの無傷だった。


「ウ、ウルちゃん⁉︎」


「うむ。我ながらナイスコントロールじゃ」


 得意げに、ガッツポーズをするノア。


 この技は後に、《ウルズヴォルテックス》と名付けられたそうな。





アラレちゃんとは関係ございません。

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