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第31話 シリアスになってたまるもんか!

 固有能力により、魔王ノアールの姿となったノア。


「クッ! 『武具精製‼︎』」


 身の危険を感じたウルが、固有能力で兜、鎧、盾、剣を創り出す。

 だが剣は鞘に納まったままで抜こうとしないウル。


「やめるんだノア‼︎ もうお前とは戦いたくない‼︎」


「フハハハハハ! 怖気付いたか勇者ウルよ! 戦わぬと言うなら、そのまま死ぬがよい!」


「クッ!」

(俺にノアを斬れと言うのか? そんな事、出来る訳が無い)


 ノアールと戦う事が出来ないウル。

 しかし剣を抜けないのはアイバーンも同じであった。


「やめろジア! 私はお前と戦いに来たのでは無い!」


 ジアの攻撃を反撃せずに、ただかわすことに専念しているアイバーン。


「何甘い事言ってるのさ⁉︎ なら、あたし達の事は諦めて大人しく帰りなさいよ!」


 お構い無しに攻め続けるジア。


「それは出来ない! 私はお前を皆の元に連れ帰ると誓った!」


「だったら力尽くであたしを倒して屈服させてみなさいよ!」


「それも出来ん‼︎」


「ワガママかっ!」


 一瞬動きの止まった隙に、魔法を発動させるアイバーン。


『アイスフィールド‼︎』


 地面に突き立てた剣より氷の輪が広がりジアの足下を通過する。


「しまっ!」


 足から順に首元まで凍り付き、動けなくなるジア。


「グッ。動け…….ない……」


「少し落ち着いて話をしないか? ジア……」


「ア、アイ君と話す事なんて何も無いわよ!」


「お前は自分が魔族だから、私達とは一緒に居られないと言うのだろう? だが彼女を見ろ!」


 ユーキを指差すアイバーン。


「ん? アイ君、僕を指差してる? 何だろ?」


「さあな」


 何の事か分からないが、一応手を振ってみるユーキ。


「なあに? 新しい彼女自慢?」


「違う! 彼女だって見た目は普通の少女だが女神だ!」


「可愛い女の子を指して女神だなんて、やっぱり彼女自慢じゃない!」


「いや、そうでは無い!」


「もう良いわよ……どちらにせよ、あたしを説得しようとしても無駄よ! あたしが魔族でこの魔界の次期大魔王なのは変えようの無い事実なんだからさ!」


「人の話を最後まで聞かないかっ!」


 そんなアイバーンの言葉を無視して、氷付け状態のまま何故か歌い出すジア。


「ジア? そんな状態で何を……まさかっ⁉︎」


 何か思いあたる事があるように、周りを警戒するアイバーン。


「フッフッフッ。そうよ、あたしの能力のひとつ『幽艶歌(ゆうえんか)』よ。この魔王城の周りに居る魔獣達を呼び寄せたわ」


「なんだと⁉︎ いかん! ユーキ君‼︎ ウル‼︎ カオス‼︎ 魔獣の群れが来る‼︎ 警戒するんだ‼︎」


「魔獣? そっか……確かこの世界の魔獣は召喚されたものじゃ無くて本物だったね? カオス! アイ君達の戦いの邪魔にならないように僕達で食い止めるよ!」


「おう! やっと出番が来たか!」


 喜び勇んで構えるカオスだったが、いくら経っても何も現れなかった。


「オイ! 何も来ねぇぞ⁉︎ こんなに時間かかんのか⁉︎」


 ジアも分からないと言った表情で不思議がる。


「あっれぇ〜? こんなに時間かかる筈は……あっ!」


 何かに気付いたジアが声を上げる。


「ジア?」


「ここがお城なの忘れてた。出入り口が閉まってるから、みんな入って来れないんだ……テヘッ」


 可愛いく舌を出して誤魔化すジア。

 ジアの言葉通り、大量の魔獣が城の中に入れずに壁や屋根を引っ掻いたり体当たりをしたりしていた。


「どうやら頼みの綱の魔獣も来れないようだな? さあ、大人しく観念するんだ」


「なぁに? この程度で勝ったつもり? あたしを……いや、あたし達姉妹をナメないでよね! ノアちゃん‼︎」


「うむ!」


 素早くウルを巨大な手で掴んだノアール。


「し、しまった!」


 そして掴んだウルを氷付けのジア目がけて投げ付けるノアール。


「クワアアアアー‼︎ に、人間に戻ってもこんな扱いなのかあああー‼︎」


 かつてフクロウ時代にノアにぶん投げられた事を思い出すウルであった。


「クワアッ‼︎」


 投げられたウルが氷付けジアにぶち当たり、ジアを包んでいた氷が砕けた。


「な、何だいったい⁉︎ 何が飛んで来たのだ⁉︎」


「ノ、ノアちゃんありが、と……で、でも、出来ればもうちょっと優しく、助けてほしかったな〜……キュウッ」


 余りの衝撃に、その場でうつ伏せに倒れ込むジア。


「す、済まぬ。この姿だと力加減が難しくてのぅ」


「ウルかっ⁉︎ かなりの衝撃だったが、大丈夫なのか?」


 ジアと違い、無傷のウル。


「し、心配無い。咄嗟に鎧を何重にも着込んでガードしたからな」

 

「そ、そうか……ならば良いが」


 すぐさま起き上がり、再びノアールの元へ向かうウル。

 そして、うつ伏せに倒れたジアを心配して覗き込むアイバーン。


「大丈夫、か? ジア……」


「ハッハッハー‼︎ これぐらいどうって事無いわよ!」


 うつ伏せ状態のまま強がるジア。


「ほ、本当に大丈夫なのか?」


「全っ然大丈夫よ! ただ、今はちょおっと動けないけどねっ!」


「いや全然大丈夫じゃ無いだろう」







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― 新着の感想 ―
[一言] 大丈夫、致命傷だってやつだな
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