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第1話 いきなり最終決戦!

約一年ぶりに連載を開始しました。

前作よりも、更にユルく楽しい物語にして行けたらいいなと思います。


 魔王ノアール。

 この世界に現れてより十余年。強大な魔力を持ち、世界を手中に収めんとした大魔王。


 ここはその魔王ノアールの居城。

 その城に、勇者ウルとそのパーティーが突入して約3時間。

 次々に倒れて行く勇者パーティーの中、ただ1人残った勇者ウル。

 苛烈を極めた勇者ウルと魔王ノアールの戦いは、今まさに決着の時を迎えようとしていた。



「ハッハッハー‼︎ 余を相手によく頑張ったが、これで終わりじゃ! 勇者ウルよ‼︎」


「くっ! まだだ! まだ終わらんよ‼︎」



 魔王ノアールが勇者ウルにとどめを刺そうとした時、勇者ウルの全身が黄金の光に包まれる。


「な、何じゃ⁉︎ 何をする気じゃ、勇者ウルよ⁉︎」


「ノアール‼︎ この魔法がお前を倒す最後の切り札だ‼︎」


(この魔法を放てば、おそらく俺の命は燃え尽きるだろう。しかし! 俺の命ひとつでこの世界が救えるのならば、本望だ!)

 

 左右に広げた腕を体の正面で合わせた時、勇者ウルの命をかけた究極魔法が発動する。


「リジェネレーション‼︎」


 勇者ウルより放たれた魔法は、眩い光を放ちながら魔王ノアールに迫って行く。


(何じゃ⁉︎ どういう魔法なのじゃ⁉︎ くっ! リフレクション‼︎)


 勇者ウルが放った魔法に脅威を感じた魔王ノアールが攻撃をやめ、咄嗟に反射魔法を放つ。

 しかし、魔王ノアールの反射魔法は勇者ウルの究極魔法を完全に跳ね返す事が出来ず、魔王ノアールと勇者ウルは黄金の光に包まれる。


「ぐわああああああ‼︎」


 2人を包んでいた光が大きく広がってゆき、魔王城すらも覆い尽くしてゆく。


 そして暗黒時代の終わりを告げるように、朝日が辺りを照らし出す。





『オイ、起きろ』


「な、何じゃ? 無礼者! 余の額をつつくのは誰じゃ⁉︎」


『俺だ』


「うん?」


 渋い口調の人物が目を開けるとそこには、見た目はベンガルワシミミズクのような、羽角のある体長20センチ程の白いフクロウが居た。


『やっと起きたか、魔王ノアールよ。もうとっくに日は昇っているぞ』


 フクロウはクチバシを開けて喋っているのではなく、クチバシを閉じたまま魔王ノアールに語りかけていた。


「何じゃ貴様は、どこの魔物じゃ? 魔王であるこの余を呼び捨てにするとは⁉︎」


『分からんか? 俺だ』


「分かる訳なかろう⁉︎ 貴様のような雑魚魔物、いちいち覚えて……」


 そう言いかけて、ジッとそのフクロウを見つめる魔王ノアール。


「その声……それに、その目つき……まさか貴様、勇者ウル、か?」


『やっと気付いたか、魔王ノアールよ』



 その変わり果てた姿を見て、思わず笑い転げる魔王ノアール。



「ギャハハハハハハッ‼︎ な、何じゃ貴様、その姿は⁉︎ ワハハハッ‼︎ も、もしや例の魔法か⁉︎ あの魔法の影響なのか⁉︎ ワハハハッ‼︎ 自分で仕掛けておいて、ザマァないのう! ワハハハハハッ‼︎」


「ホアッ!」


 次の瞬間、怒りの表情に変わったフクロウウルが、くちばしで魔王ノアールの額をつつきまくる。


「イテッ‼︎ 痛たたたたたっ‼︎ や、止めろ‼︎ 止めんかー‼︎」


 冷静になり地面に降り立ったウルが、静かに語り出す。


『まあいい。俺のことを笑う前に、まず自分の姿を確認したらどうだ?』


「なん……じゃと?」


 嫌な予感がした魔王ノアールが、近くにあった湖をそおっと覗き込む。


「な、な、な、な、なっ! なんじゃとおおおおおおっ‼︎」


 そこに映ったのは推定年齢12歳程の、黒髪ショートのとても可愛い人間の少女の姿であった。


「こここここ、これは一体どういうことじゃ⁉︎ な、何故、余がこんな人間の小娘の姿になっとるんじゃああっ⁉︎」


 慌ててウルに詰め寄る少女ノアール。

 

『俺が最後に放った究極魔法。あれは、あらゆる生物や物質を原点回帰させる魔法だ』


「原点回帰、じゃと?」


『そうだ。物質は原子に。そして生物は今より更に弱い生物へと変化させる』


「なっ⁉︎」


 絶句している少女ノアールを他所に、更に説明を続けるウル。


『本来ならば、お前をミジンコの姿に変化させて、プチッと潰すつもりだったのだが……』


「ミジンコッ⁉︎」


『お前の反射魔法の所為で中途半端に魔法がかかり、そんな姿で止まってしまったようだ』


 ウルの説明にピンと来た、少女ノアール。


「ワハハッ! そうか! 余が貴様に魔法を跳ね返したから、その影響を受けて貴様までがそんな哀れな姿になった訳じゃな⁉︎ ワハハハハハッ‼︎ こりゃ愉快じゃ‼︎ ザマァみろ! ワハハハハハッ‼︎」


「クワァーッ‼︎」


 再び怒ったウルが、少女ノアールの額の一点のみを集中してつつきまくる。


「痛っ‼︎ 痛たたた‼︎ やめぃ‼︎ 寸分違わず同じ所ばかりつつくなー‼︎」


 この技は後に《ウルズストライク》と名付けられた。


 ウルと少女ノアールがじゃれていると、何者かの気配を感じて動きを止める2人。


『魔物、か?』


 2人の目線の先に、四つ足の魔獣が3体現れる。


「何じゃ、只のフェンリルか。余は今、非常に機嫌が悪い! 失せよ!」


 立ち上がり、野良犬を追い払うかのように手を振る少女ノアール。

 

「グルルルルー!」


 しかしフェンリル達はまるで気にかけずに、唸り声を上げながら少女ノアールに近付いてゆく。

 その様子に更に不機嫌な表情になる少女ノアール。


「余の声が聞こえんのかっ‼︎ こんなゆるキャラごとき、余ひとりで十分だと言っておろう! 退がれ‼︎」


『誰がゆるキャラだ!』


 だが、なおも迫るフェンリル達。


「貴様らああ!」


 怒りに震えながら拳を強く握る少女ノアール。


「余の命を聞かぬ愚か者共‼︎ 死ぬがよい‼︎ 《ダークショット》‼︎」


 右手の人差し指をフェンリル達に向けて叫ぶ、少女ノアール。


 しかし、何も起こらなかった。


「んなっ⁉︎ ダークショット‼︎ ダークショット‼︎ ダークショット‼︎ ダンクシュート? ダークショットおおおっ‼︎」


 少女ノアールが何度も何度も叫ぶが、全く何も起こらなかった。

 そんな少女ノアールを見ながら、冷静な口調で語りだすウル。


『ホゥ。やはり魔法は使えないようだな?』


「何っ⁉︎ どういう事じゃ⁉︎」


『当然だろう? 今のお前は、か弱い只の少女なんだからな。それにそんな姿では、魔物達もお前が魔王ノアールだとは気付かないだろうしな』


「何……じゃと……」


 その間も、フェンリル達はジリジリと少女ノアールに近付いて来ていた。


「勇者ウルよ! 貴様は戦えんのか⁉︎」


『お前のように人の姿をしていればまだしも、こんな姿ではどうしようもない』


「で、では我らはどうなる?」


『このままだと、フェンリル達に食い殺されるだろうな』


「な、何故貴様はそんなに冷静でいられるのじゃ⁉︎」


『俺は元々、お前と相討ち覚悟でここに来ているのだ。今更死をおそれたりはせん』


「もっと命を大事にせんかー‼︎」


『お前が言うなっ‼︎』


 どうしようもない事を悟った少女ノアールが、ジリジリと後ずさりをする。


「よ、余は……余は……こんな情けない姿で死ぬのはイヤじゃあああーっ‼︎」




 魔王は逃げ出した。


 



正直かなりの見切り発車ですので、誤字脱字、矛盾点等発見しましたら、教えて頂けると助かります。


因みに、えんどろ〜とは関係ございません。

クワトロ・バジーナとは関係ございません。

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