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踠いた学生
遊園地から帰宅したミコトは疲れた顔で布団にダイブした。
そのまま動かなくなって深い眠りへと落ちる。
久しぶりに、夢を見た。
揺れる長い黒髪、
自分よりも高い背丈。
にっこりと笑うその人が差し伸べた手をミコトは取ろうとした。
ずぶ、と。
足を引かれる。
黒い地面に落ちる。
息が出来ない。苦しいと踠く。
大量の虚無達がミコトの足を更に深い場所へと誘う。
「×××××!」
その言葉は、声に出なかった。
目が覚めると朝になっていた。
汗で濡れた体をシャワーで洗い流す。
…まだ、手が震えていた。




