罵声を浴びせた学生
「ったく、虫みたいにどこにでもうじゃうじゃ湧きやがって。」
独り言を呟いたミコトはパッと剣を消した。
スペードも空気に溶ける。
深い青と鉛色を混ぜた空から雨が降る。
酸性雨だと嫌なのでミコトはそこら辺に捨ててあったビニール傘を拝借して家へと帰った。
一人暮らしをしているミコトの部屋はある程度片付いている。
遠くに住む親は自分の兄に夢中だ。
俳優みたいに顔も良くて成績優秀、おまけにスポーツ万能で生徒会長。
絵に描いたような兄にゾッコンで愛情たっぷりに育てている。
「…腹減った。」
ミコトは別にそれで良かった。
報告は明日でいいや、と適当に作った料理の前で手を合わせTVのリモコンを操作する。
丁度嫌なニュースがやっていて、ミコトは顔を歪めた。
(見てて本当に面白いな。)
国同士がいがみ合っているのは見てて意外と楽しい。
滑稽で、そして馬鹿馬鹿しくて、そして自分達が死ぬ危険にさらされていて。
ミコトは空になった皿の前でまた手を合わしてキッチンへと持っていった。
少し溜まっている。
「洗うかぁ…。」
ミコトが皿を洗い始めるとこんなニュースが舞い込んできた。
男子高校生が自殺をした、と。
ミコトほ耳を傾けながら皿を洗っていく。
興味もないが、かといって嫌なわけでもない。
ただ、名前が聞き覚えがあって。
「…兄貴の、友達だ。」
昔この人に漫画を借りた事があるのを思い出した。
別段思い出もないので悲しくないがどこかぼーっとしてしまう。
思い出さなければ良かった。
「寝よ。」
シャワーを浴びて、Tシャツとジャージを着たミコトはスマホをチラッと見て、
何も返信が無いのを確認して布団へ入った。
その瞬間、インターホンの音が鳴る。
兄が居るのは俺得な設定、妹とか弟でも良かった。




