艶
艶々したものを
書いた
細かく毛穴まで
色白の蛇がゆっくり
くねるように
筆をすすめて
こんなものをかいてしまった
こんなものでもみてほしい
背中合わせの欲
後ろ手はしっかり握られて
迷いはうわべ
こころは決まっていた
あなたがこれを書くなんて
わらい声はひきつり
すぐに黙った
みせなければよかった
出鱈目な色がぐるぐる回る
これもわたしなのだ、と
開き直れば少しは
気が紛れた
艶々なものは
本当に艶々しているのか
一度手から離れてしまうと
わからなくなる