置物の猫
更新は不定期です
気長に更新をお待ちください
僕もなんとか隙をみつけて(汗
「なんだこれは!?」
音がどこにも反響しない。
返ってくる音がない。
音自体がどこかへ飛んでいって消えてしまったような感覚。
声はまるで発せられなかったかのような静寂。
ただ立っているだけなのにどこかひんやりとした空気。
竜也は内心焦る。
さっきまであった冷たいながらも、ちゃんとあった温もり。
存在したものがない。
竜也の腕から子猫が何時の間にか消えていた。
竜也が目を瞑った瞬間猫も世界も何もかも変わってしまった。
だけど竜也はまず猫の心配をした。
あんな凍えた体で動けるはずもない。
じゃぁどうなったんだ?
どこいった!?
あんな体で!
「どこいった、あんなからだで……ですか」
突然後ろから落ち着いた声がかかった。
どこか紳士的な物言いでやんわりとした雰囲気を帯びていた。
だがここはまだ竜也の未知の領域。
声が聞こえたというだけで心臓は跳ね上がった。
その声に仰天し、竜也はバッと後ろを振り返る。
そこには少し離れたところに確かな存在が。
この空虚な世界でそこだけ生活圏があるような……。
そこだけこの世界とは切り離されているようだった。
あるのは白いテーブルクロスに四角型の机。
何も置かれておらず、真っ白な卓上だった。
そしてそこに頬杖を付き、こちらを片目を瞑り興味深々に眺める男が一人座っていた。
「貴方が探しているのはこれですか?」
そう言って、テーブルの下から何かがさごそと取り出す。
「なにを!」
何が出る?
拳銃?
刀?
襲ってくるのか?
そういえばどっか本で読んだなぁ……。
こうやって油断させておいて殺すみたいな……。
竜也はいつでも逃げられる様に腰を低くして身構える。
そんな様子を男はニヤニヤと見ていた。
そして男はそれをコトッと机に置いた。
「……猫?いや、これは……!」
取り出したのは、猫の置物。
だがただの置物ではない。
それは竜也が確かに感じていた温もりがあった猫そっくりなのだ。
「……どういうこと?」
男はその質問には答えずちょんちょんと置物をつついただけだった。
しかし置物はそれに反応するかのようにうにょんと跳ねる。
まるで命を得たように動き出す。
足がしっぽが耳が……。
ぴんっと元気いっぱいにたった。
そして今起きたと言わんばかりに背伸びをする。
「え?ちょ、え?なに?」
子猫は混乱する竜也の足元まで小走りで駆け寄り、足に擦り寄った。
「……その子がそんなに懐くなんてね。珍しいお客が来たもんです」
竜也は擦り寄る子猫を抱き上げ、またおそるおそる頭を掻き撫でた。
置物なんかじゃない……。
確かに生き物の体温を感じる。
それがなんだか不気味に思えて竜也は体を強張らせた。
「そ、そうなのか?」
「ええ、そうです。まず誰が来ても置物になったままですから」
「へぇ……。お前、特別扱いしてくれんだな!」
それだけで竜也は嬉しかった。
この子が少しでも助かって、それで懐いてくれたなら嬉しいことはない。
「ありがとな?」
にゃ!
器用に右手をあげ、竜也の言葉に「どういたしまして!」と言わんばかりに嬉しそうに目を細めた。
さて今回は不思議な世界に迷い込んだ竜也
そこに居たのはさっきまで竜也の腕に居た猫
猫は不思議な置物でした
まぁ完結にまとめるとこんな感じですかね?
この猫ただの猫じゃないんです(猫
所謂、置物が命を持ったもので勝手に動き出してしまうんです
それに命を持って長いため自分の体をコントロールすることが出来、置物の感触とは違った質感を持たせることも出来ます
ようするに半置物、半猫って感じですね
さて…次は男はなにものなのでしょうか?