私が懇親会で懇親出来ない理由
ビールにレモンサワー。
ハッピーアワーで1杯180円…
ちくわの磯辺揚げ、エイヒレ炙りにとり皮ポン酢。
出し巻き卵はほんのり甘くてふっわふわ。
店を移動して、
ビール、日本酒。
とり皮グルグル巻きの焼き鳥。
再び移動して、
ビール、1Lのギガジョッキサワー。
名古屋名物コショウたっぷり手羽先。
飲んだものと食べたものは覚えているのに、
13時~18時にかけての飲み会で話した内容は一切覚えていない。
しかも、半年前に出向してきた取締役とのサシ飲みで。
なんてこった。
あー、ぐっすり寝たなー
なんて部屋で目覚めた時には22時。
どうやって帰ってきたのかも覚えていない。
帰巣本能、恐るべし…
帰りの道中でコンビニでは麦茶。
近所のスーパーでは冷凍コーナーでしっかりとソフトクリームを選び購入している。
しかも、セルフレジで、クレジットカード払い…
これも部屋に散らばったレシートで判明したことで記憶には全くない。
サシ飲みで行った2件目、3件目のお会計をしっかりとしている。
いつの間にか交換していたLINEで、
「今日は楽しかったです! ありがとうございまし」
と取締役に送っているが、もちろん記憶はないし最後の「た」まで入力できていないところで酔っているのはわかる。
でも、その日のうちにお礼メッセージをしっかりと送っている自分に少し感心してしまった。
そもそも取締役とのサシ飲みは、
「赴任して半年経つけど、キンモクセイさんがどんな人なのかわからないから」
と言う理由だった。
そりゃ、そうだろう。
41年生きてきて自分でも自分がよくわからないんだから、半年そこらでわかってもらえるわけがない。
しかも初めましてで取締役と会った時の飲み会で私は荒れ果てていた。
といってもビール瓶を持って暴れるわけではない。
普段は口数が少なくクールを気取っている私。
一見、大人しく見えるそうだが心の中は荒くれ者。
口も悪いし、性格もきつい。
ありのままの自分を出してしまうと周囲の人をめっためたに傷つけでしまうし、文句とか愚痴とか言わないようにしーよう!
と決意したら、ただ無口になっただけで根っからのクールじゃなく、ぶってるクールなのだ。
偽りのクールは脆い。
飲み会となるとその仮面は木っ端みじんに砕け散る。
普段は全くお酒を飲まないし、飲みたいとも思わない。
それがコミュ力0で上手く立ち回れない飲み会の数時間を埋めるためにひたすらお酒を飲むと不思議なものでお口がとまらない。
普段はひた隠しにしている口の悪さが解放され荒くれ者が登場してしまう。
初めましてでその姿を見てしまっているもんだから取締役は赴任してきてから別人のような私に戸惑っていたようだ。
サシ飲み中、
「キンモクセイさんが本当はどんなことを考えているのか知りたいし、少しでも距離を縮められたらいいなと思って…」
と気遣ってくれる取締役に、
「ちょっと飲んだだけで心の距離が縮まると思うんじゃないよ! あたしゃ、距離が縮まったと思ったら猛ダッシュで逃げるし、心のシャッター閉めるんだからな」
と海賊か?ってくらい大きなジョッキ片手にわっはっはと笑いながら言った自分をうっすらと覚えている。
あーあー、やっちまってるよ。
でも、まあいいか。
そんな姿が見たかったんだろうし。
いや、ダメだろ!
いっそ海賊と化した自分も記憶から消し去ってほしかった。
あの時、取締役はなんて言ったっけ?
大事な部分は記憶から消えている。
いい加減、お酒の飲み方覚えろよ。
この思いは忘れないように日記にしっかり記し、ふと数年前の日記を読み返すと同じような事を過去の自分も書いていた…
その時は
『飲み会。お酒を飲んで気が付くと砂利道の上。
山積みにされたタイヤに寄りかかり体育座りのまま寝てお尻が痛かった。気を付けねば』
と書いてあった。
ここ数年、成長はしていないけれど帰巣本能はしっかりと鍛えられたようだ。




